【ダンスの歴史】"バレエを基礎に"のときのバレエってなんですの??〜ショーダンサーを語るならやっぱりデニショーンから〜
みなさん、こんにちは。ソノです♡
今回は、モダンダンス以降のダンスを語るには外せない(?)「デニショーン」のお話をしたいと思います。
最近、『Denishawn dances on!』を観ました。
デニショーンの作品を集めて円盤化したものです。
まず、「デニショーン」とは何かからお話しようと思います。
「デニショーン」は、1910年代から20年代にアメリカに開校した、ダンスカンパニー兼ダンス学校です。主宰者である、ルース・セント・デニスと夫テッド・ショーンの名を合わせて「デニショーン」です。
デニショーンは、興行としての舞踊=バレエだった20世紀前半にバレエではない動きのダンスを用いて舞踊の興行を行いました。この時期はイサドラ・ダンカンがバレエに反抗して全く異なるダンスを発表したりした時期でもあります。
舞踊=バレエの時代から、モダンダンスがダンスとして認められる時代に先駆けたパイオニアの1人(2人?)と言えるのです。
モダンダンスの代表的なメソッドを作ったマーサ・グラハム や、ドリス・ハンフリーはかつて「デニショーン」の生徒でもありました。また振り付け法の開発を試みたルイ・ホーストもです。
「デニショーン」は、エジプトやアジア、アフリカ、インドをイメージしたダンスで人気を博しました。
年間に相当数の興行を行っていたようです。
「デニショーン」は、バレエではないショーダンス、シアターダンス、それらの興行の礎となっているとも言えるでしょう。
そんな「デニショーン」の主要な作品をかつて「デニショーン」に所属していたダンサーが再構成したフィルム。それが『Denishawn dances on!』です。
その映像の最初には、デニショーンが作品に使った動きの説明。それは、バレエを基礎にしたものだという解説が流れます。
レオタードを着てバーレッスンをする生徒の写真が流れます。
その後エクササイズとして映像に残るのは、フロアを使ったデニショーン独自のエクササイズ。
東洋趣味やエジプトをダンスで表現しようとしたデニショーンが、真逆とも言える西洋のバレエを基礎にしていたことは興味深くあります。
まあ当時は、ダンスを習得=バレエを習得だったのでしょうから無理もないですが、、
それでも独自のフロアエクササイズを作り出したのであれば、デニショーンの言う「基礎となるバレエ」とは一体なんだったのでしょうか??
フロアエクササイズを見ると、
両膝を揃えて膝立ちするスタイル、そこからの展開、
両腕を体側のラインまで広げる形(バレエのアラスゴンドよりさらに真横です)は、グラハムテクニックのフロアと似ています。
グラハムはかつてデニショーンに所属していたので、似ているのも頷けます。
2つの明確な違いを分析するには、1つの映像では不十分なので、今は"似ている"程度の表現に留めます。
グラハムテクニックでは、フロアに座っていたとしても、"4番"、"パンシェ"などバレエ用語を用います。
もちろん本来のクラシックバレエでは、床にベタ座りするなど言語道断なので、これらは用語の名残りに過ぎません。
数多ある技を区別するためには、名前をつけるのが最適です。
グラハムテクニックはバレエ用語を名前だけ残しています。
グラハムですらバレエ用語がまだ使われていたということは、遡ってデニショーンでも使われていたことでしょう。
つまり、デニショーンの言うところの「バレエを基礎に」した動きとは、技やポジションを指すときの呼び方をバレエらしくしていたと言うことではないでしょうか?
もちろんデニショーンでは、クラシックバレエのレッスンもあったようです。
しかし、デニショーン作品の動きはバレエではありません。
それが「バレエを基礎に」していると言うのなら、そのバレエは"技の呼び方"に残留しているに過ぎなかったのではないでしょうか?
20世紀以降、何をもって"バレエ"と言うのか?という問題は未だベールに包まれている気がします。