バレエは非現実を夢見る?〜現実に近づきたがる現代バレエの写実的表現〜
みなさんこんばんは、ソノです♡
今回は、まるで実世界の仕草!な、バレエの中の写実的表現についてお話しします。
バレエダンサーは、クラシック・バレエ のメソッドを厳格に守り、訓練を重ねます。
その厳しさは皆々承知のはず。
お客様だって、単なるバレエ ファンだって知っています。
でも、よくよく近年のバレエ 作品を見てみると、バレエ のポジションってフォームって、一体なんなんだろうと思わされます。大きく考えると、"バレエ"ってなんなんだろうと思わされるのです。
バレエは、18世紀に現在クラシック・バレエ・テクニックと呼ばれるような独自のフォームやテクニックを確立しました。
5つの足のポジションを駆使し、つま先立ちをして、ジャンプ、回転、あらゆるポーズやステップを繰り出す…そんなテクニックです。
それらを使って、トゥシューズを履いて、チュチュを着て…妖精のように…人間以上の存在を目指す…それがバレエでした。
しかし、実のところ、20世紀になってバレエは、これまでのクラシック独自の動きから逸脱してきています。
腕は円形でなくても良くなったし、ターンアウト (足を外転させる形のことで、これはバレエのフォームの基盤です)じゃなくてもよい…。
ベジャールの『ザ・カブキ』では、武士の切腹シーンが、本当に腹を切るような仕草で振り付けられるし、なんならケネス・マクミランの『ロミオとジュリエット』では、リアルなキスシーンが挿入されています。
しかし、これらがバレエと言われて興行をすすめていることに違いない…。
バレエダンサーは今も、厳格なフォームやポジションを丁寧に丁寧に守りながら訓練を重ねているはずなのに。
バレエの振り付けはどんどん写実的動きを取り入れています。
今やバレエは、妖精や幽霊ではなく、現実世界を目指すようになりました。
『ペンギンカフェ』は動物の手足を真似ます。
『マノン』は腕をしっかり振るって走ります。
先に述べた、切腹やキスシーンも、写実的動きの例は枚挙にいとまがありません。
妖精を目指して履き始めたトゥシューズは、
トゥシューズを履いたままいかに現実に近寄れるかという挑戦に用途を変化させました。
あと200年経てば、バレエがもう一度非現実的な世界を目指す姿を見れるかもしれません。
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