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立会人


父親が出発する日ということだったけど、さすがに2人はまだ会う機会があるのかな、と思っていた。2人が交わした挨拶でもう会わないんだなぁというのが分かった。
父親が家を出発した時、私はまたね〜って言ったけど母親はじゃあお元気で、って言ってた。父親も同じ感じの言葉を発して出ていった。
母親に聞いたらやはりもう会う気はないらしい。私は両親が顔をつきあわせた最後の立会人ということになる。
まぁ分かってはいたことだけど結構きつかった。これを書いてる時に泣いてしまうくらいには。しょうもない感じの万引き家族見せられてる気持ちになった。しょうもない感じの万引き家族ってなんだろうね。万引き家族は傑作です。

父親。
若い頃はバンドマンでそれなりに面白くて目立つタイプの男だったらしい。手先が器用で几帳面。煙草を吸ったりパチンコをしてたりもしたらしいけど私が生まれてすっかりやめた。

母親。
若い頃は喋らなければ美人と言われていたらしい。お父さんと結婚してなかったら誰とも結婚せず独身だったと思うとか一年に一回くらい言ってる。

父親と母親。
昭和42年の未年生まれ。
多分2人とも負けず嫌い。喧嘩してもお互い謝る方ではないと思う。

母親がする父親の悪口を聞かなくていいのはいいことだ。
いつも適当に流してしまっていたから、母親が死んだあとですごい後悔するんだろうな。もっとちゃんと話聞いてあげればよかったとか。
父親は母親の悪口を言わない。
そこはすごいと思う。でもそれならもう少し一緒にいて欲しかったなぁ。もう30にもなる自分がいうのはなんですが、私たち兄妹にとっての家族はここなのですから、やはり家族がバラバラになるというのは悲しいです。

でも2人が出会ってくれたおかげで今の自分がいると思うと感謝しています、ありがとう。

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