日記

あれほど恐れていた未来に私はいま立っていて、しっかり生きている。息をしている。そのことを思うと、不思議な気持ちになる。
どれほど未来を恐れていても、それは生きている限りやってくる。きっと毎日を忙しなく過ごしたり、たまに苦しくなったりしながら、クタクタになりながらでもそれでも前を見て、気づいたらそこへ行き着いているのだろう。そうやって生きていくのだろう。

努力しないと、小さな幸せや美しいものに目を向けることができなくなってしまう。けれど、逆に言えば、少しの努力でそういったものに目を向けながら、救われながら生きていけるのかも、しれない。

長袖1枚で外を歩けるようになった。肌に当たる夜風がとても心地良い。まだ少し肌寒いけれどサンダルで歩ける気温。体が軽い。

その子がそばにいてくれるというだけで少し明るくなれた。その子が読んでいた本がとても素敵に見えた。寂しいとすぐに人に寄り掛かってしまう自分の弱さ。いつでも、どんなときでも、自分の状態とかではなく、大切な人を純粋に愛すること。

何もかもどうでもよくなってしまうときでも、それでもやっぱりと思わせてくれる人たちのことは、ちゃんと大切にしたいと思う。

大好きな彼女と再会したのはちょうどこんな季節のときだったな。
風が甘かった夜。静寂が愛おしかった。公園のベンチで隣に座って、何を見るわけでもなくただ何かを見ていた。彼女の纏う空気を感じていることがただ幸せだった。

大丈夫だ。人はどうしたっていまを生きることしかできないけれど、あのときの私の想いはまだ私の中に生きているし、私はそれを感じることができる。

過ぎ去るものは遠く、手を伸ばしても触れられない。でもきっと、だからこそ美しい。






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