見えない致命傷では死ねないから
覚えてる、
悲しかったこと 全部
忘れられない、全部
去年の傷
一昨年の傷
もっとずっと前の傷
子供だったころの傷も
大人になってからの傷も
そのときどきの
悲しいことがあった私の
たとえば25キロとか40キロとか
そのときどきの体重が
そのまま私にのしかかる
悲しいことから走り去りたいのに
足をとられて逃げられない
足がもつれて転んでしまう
そしてそのまま重みに沈む
窒息するように 溺死するように
浮き輪がふいにはずれたように
水のなかにするすると沈むように
もう地上