依存とお金と淋しさと恋愛
あるお騒がせ女性タレントさん。
芸能界は引退しているようだが、時々ネットニュースに上がってくる。
彼女の名前、ニュースを見るたびに、思い出す遠い昔の子ども時代の出来事。
そして、人間はへたにお金がある方が不幸になるのだ、と思った思春期の話。
本当のところはそんな単純な話では勝ったのかもしれないが。
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お金持ちの夫婦と芸能人の娘さん
小学生の時、近所にすごく大きく豪華なおうちがあった。
玄関ドアに上がるのには広い手すり付きの10段ほどの階段。
玄関は吹き抜けで2階に続く階段も長い。
居間にはシャンデリア、ソファーやよくわからない飾りもの。
大きな頑丈なガラス棚がたくさんあって、中にはお酒が並んでいたり。
自分の家にはないものばかりで珍しかった。
そこの家のおじさんとおばさんは、私たち子どもを家に招き入れてくれた。
「子どもが好きなんだ」と言ったような言ってないような。
でもそのおうちには子どもはいなかった。
おじさんは、自分の父親よりもっと年上でおじいさんに近いように感じた。
おばさんはお母さんよりは年上だったかもしれないけれど、よくわからない。子どもだったから。
お菓子も食べさせてくれた。
ペロタンチョコ。
そのおうちには山のようにたくさんペロタンチョコがあった。
当時のペロタンチョコは、マンガだけでなく芸能人の写真も印刷(?)していて、そこにあったチョコはある女優さんの顔ばかり。
おじさんが「この人知ってる?おじさんの娘なんだよ」と言った。
子ども心に『おじさんの娘ならおばさんの娘じゃないの』と疑問がわいたけど聞かなかった。
おばさんはニコニコしていただけ。
あとで、誰に聞いたか忘れてしまったが、そこのおじさんはおばさんとは再婚だと知った。
色々な話を、様々な時期に聞いたのかもしれないが、つなぎ合わせてまとめると、
おじさんの娘が芸能界に入ることになった。反対していたおじさんだったが、当時の奥さんは娘さんの気持ちを尊重し、夫婦の意見は決裂。奥さんは娘さんと一緒に東京に行ってしまい娘さんがデビューした後に離婚となった。
でも、おじさんは離れていても娘さんを応援していた。ペロタンチョコを買って。
載っている雑誌を買って、近所の子どもたちに見せて。
「帰ってくることもあるよ」と言ったかどうか忘れたけれど、友達は「その日のため」と色紙を買って待っていた。
結局、その女優さんには会えることはなかったし、来たこともなかったんじゃないかな。こんな田舎町には。
友達は「おじさんは嘘つきだ」と怒ってた。
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淋しさをお金で埋める
子どもの成長は早い。
半年もすればすぐに大人っぽくなり、同じ遊びはしなくなる。
私たちは、おじさんの家にも行かなくなった。
そして、数年後、おじさんが死んだと、これも誰から聞いたのか。
親からだったのか。
確か、病気だったと思う。
子どもがいないので、おばさんは一人になった。
「若い男の人が出入りしてる」「お金を貢いでいるらしい」
それは、私の母が近所の人たちから聞いてきた話だった。
若いちゃらちゃらした男の人が出入りしているのを近所の人たちが見ているし、おばさんから直接聞いた人もいる。
おばさんは「いいの、私淋しいから。お金ならいくら使ってもいいのよ」と言っていたとか。
そして、おばさんはいなくなった。
家を売っていなくなった。
もうその頃は、私も中学生ぐらいだったのかな、高校生だったのかな。
大人の話を小耳にはさみ、何となくの事情はわかる年代だった。
若い男に夫の残した財産を全部取られて一文無しになってどこかに行ってしまったんだ、と。
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依存される依存する依存させる
その女優さん(おじさんの娘さん)も結婚では上手くいかず離婚をしているし、大変なお金の苦労を味わったのは芸能ニュースで見聞きしている。
そして、7年前に57歳の若さで亡くなった。
あの「おじさんの娘さん」。私の中では、いつもそう思ってテレビで見ていた。
そして、残されたその母親に依存していた出来の悪い娘さん。
冒頭のタレントさん…そう、坂口杏里さんのことだ。
勉強もできない、生活能力もない、生きる上での正しい判断もできない、とても危なっかしい人。
でも、母親に守られていたから、公的な支援も療育も何も受けられないまま大人になってしまった。
それは、娘が依存していたのではなく、母親坂口良子さんの方が娘に依存し自分に依存させていたのだと思う。
坂口良子さんは杏里さんに、万単位でお金を渡していたという話も見聞きする。
坂口良子さんの遺産がかなりあったらしいが、全て使い切り、更に借金を作ったとか。
杏里さんは、母親が亡くなったあと、ホストにハマり、AV女優になり、事件を起こし逮捕され…。
母子の関係、時代は繰り返す
お金持ちの夫と離婚してまで、娘と東京で暮らすことを選んだ「おじさんの元奥さん」はどんな人生だったのだろうか。
そう坂口良子さんとその母親の関係はどうだったんだろうか、と、今、思う。
夫の反対を押し切って娘と二人で東京に出てきて、あっという間に大スターになった娘をどう思っていたのだろうか。
坂口良子さんが最初に結婚した時には一緒に暮らしていたという話もあるので、再婚はしなかったのだろう。
ずっと、娘坂口良子さんのそばにいた母親だったのかもしれない。
坂口良子さんと杏里さんの関係ばかり取り沙汰されるが、その前の母子関係が大きな影響を与えている気もする。
娘のデビューについてきた無職のお母さん。昔の芸能界ではありがちなのかもしれないし、両親が離婚したこともひっそり隠されてきたのだろうか。
坂口良子さんにしてみれば、自分がしてもらったことを、娘にもしてきただろう。
母親というのは、そういうものだと思っていたんだろう。
淋しさを乗り越えられないから
おじさんが亡くなり独りぼっちになったおばさん。
おじさんの娘の坂口良子さん。
その娘坂口杏里さん。
そして詳細は知らないけれど、元奥さん。
それぞれの女性の人生を考えると、みな、誰かに依存し、対象がいなくなると別の対象を求めているように感じる。
夫だったり、男だったり、お金だったり、母親だったり、娘だったり。
近所のおばさんやうちの母親たちは、中年女性が若い男と恋愛することを眉をひそめて噂していた。
「お金があるから寄ってきただけ」「騙されている」
男を責めるより、中年女のはしたなさを責めていたように感じた。
坂口杏里さんが求めているのは「無償の愛」だと言うことをみんなわかっている。問題行動を取るのがその証。
でも、それを与えられる人はもうこの世にはいない。
そして、また世間は杏里さんを責める。彼女が一番苦しいのに。
坂口杏里さんの本名が、野澤(沢)である本当の理由
おじさんは、娘の芸能界入りを反対したのにね。
残念ながら、お孫さんが今、あまり幸せではないようですよ。
今でも、あの大きなお屋敷のいかつい表札「坂口」という文字を思い出す。
杏里さんが逮捕された時、本名が野沢瑞恵ということがわかり、みなが「なぜ?」とざわついた。
「坂口良子さんが芸名だった」というもっともらしい記事もあるけれど、
母親の坂口良子さんがデビューした後に両親が離婚し母方の野澤姓になったため。と私は認識しています。