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愛着障害について〜理論と私の経験談

愛着障害」について、皆さんは聞いたことがありますか?
対人関係において、問題を起こしたり、生きにくさを感じる時、そこには愛着の問題が関わっている可能性があると言われています。

今回は、精神科医の岡田尊司先生の著書「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」を参考にして、私自身のこれまでの子ども時代や大人になってからの人間関係を振り返りながら、私自身の愛着の問題を克服した経験を語ります。

愛着とは何か

ある特定の対象に対して強い情緒的結びつきを持とうとする人間の特性のことを愛着(アタッチメント)と言います。

愛着形成は人が生まれてすぐ始まります。赤ちゃんと母親との間には、強い心の絆、感情的な結びつきが形成されていきます。この絆が形成されていくためには、赤ちゃんが泣き叫んでおっぱいを求めるときに、母親が迅速に適切に反応していくことが必要があります。

でも、もし赤ちゃんが泣き叫んでいても母親がほったらかしにしてしまっては、愛着が不安定になってしまいます。アタッチメントが築かれる乳幼児期に母親と離別してしまったり、本来なら守ってくれるはずの親から虐待を受けることも、愛着に大きな傷をもたらしてしまいます。

親に愛されたいという思いを満たされずに育った人は、心の底では「愛されたい」という思いを引きずることになるのです。

愛着スタイル

愛着のスタイルは4つに分けられます。

安定型・・・対人関係における絆が安定している。素直で前向きな姿勢をもつ。
回避型・・・親密な関わりを避けようとする。問題と向き合わないことで自分を守ろうとしている。
不安定型・・・相手に自分が受け入れてもらえるかという不安が強く、他者からの評価や批判に過敏になる。
恐れ・回避型・・・不安と回避がどちらも強いタイプで、情緒的なつながりは求めているが、拒否されたり傷つけられたりすることを恐れるため、親しくなりたくても接近できない。

私の場合〜愛着の問題を克服した秘訣

私自身は「恐れ・回避型」に当たるのではないかと思っています。
人前で話すことができない場面緘黙があったため、本当は私も学校のクラスメイトとおしゃべりしたり、グループの輪の中に入って遊びたかったのに、
「断られるのではないか」「みんなは私のことを嫌っているのではないか」と思い込んで、拒絶されることを恐れて、一人でいることを選んでいました。人と関係を築くことに消極的になっていました。

愛着障害の人は、些細なストレスに対してもネガティブな反応を起こしやすいといいます。精神的なトラブルを生じやすく、心身症、うつ病、不安障害などになるリスクも高いと言われています。私自身も子どもの頃からちょっとしたことでストレスを感じやすく、ネガティブ思考で、心身が弱かったので、愛着の問題によって色々な問題が出てきていたのではないかと思い当たりました。

親との関係を振り返ってみると、母親が心配性で、いつもイライラしているように感じられて、私も母親の顔を窺っていました。学校での悩みなどを親に相談することもほとんどありませんでした。母親と一緒にいても安心感を感じられなかったように思います。それが私の愛着形成に関わって、他者との関係においても影響を及ぼしていたのではないか。

「恐れ・回避型」の愛着スタイルを持っていた私は、この愛着の問題を解決することができました。そのきっかけは、大学生の時にイエス・キリストと出会って、神様の無条件の愛を知った時です。

人に対する恐れを克服できるようになったのは、本当に信頼できるという、安全基地となる神様が私と共におられることを体験したからです。

子どもの頃に満たされなかった愛着の傷が神様の愛によって満たされ、癒されました。まだイエス様を受け入れる前の私は、教会のクリスチャンの人々に愛されていることを嬉しく思いながらも、まだ人を疑う気持ちがありました。

でも教会に行くと、クリスチャンの人たちが温かく迎えてくれるので安心感がありました。愛着が不安定だった私は、神様との信頼関係がしっかりとできているクリスチャンの方々と共にいることで、自分の安全基地を見つけられたのです。


私にとって、教会でのクリスチャンの集まりが安全基地となり、究極的には神様が一番の安全基地となりました。


教会においても、愛着に問題ある人と出会う時があると思います。
信徒や牧師などが根気よくその人と向き合って、愛情を注ぎ、傷が修復されるまで共に時間を過ごすことが、その人の問題解決に必要だと思います。

私自身も、クリスチャンに対して反発していた時期がありました。それにも関わらず、私のことを見離さずに、一緒に会ってくれる人がいました。そのおかげで、神様の愛は決して私のことを見捨てないものであると体験することができました。

今回は「愛着障害」についてその理論と自分の経験を書きました。
愛着の問題で人間関係に悩み、生きづらさを抱えている隣人のために、今度は私がその人にとっての安全基地となり、そして一番の安全基地である神様に繋げられるようにメンターとして寄り添うことができたらと願います。


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