
れんげ、すみれ、たんぽぽ、しろつめくさ、クローバー、カラスノエンドウの野原で - 山脇百合子さんのこと
画家・絵本作家の山脇百合子さんが先月29日に亡くなられていたとの報道。80歳。
山脇百合子さんといえば、文章を書いた姉の中川李枝子さんとのコンビ『ぐりとぐら』シリーズ。この絵本、ほとんどの日本人が知っている/目にしたことのある国民的絵本なのではないか。我が家も二代にわたりお世話になった。
『ぐりとぐら』シリーズだけでも何冊もあるが、その他にも姉妹で出した児童書や絵本はたくさん。
中川李枝子さんの書くおはなしももちろんすばらしいけれど、山脇百合子さんの絵が、おはなしを何倍も魅力的にしている。
『ぐりとぐら』という名前は、ピエール・プロブスト作のフランスの絵本『カロリーヌ』シリーズ(これも大好きだった)に出てくる歌からつけられたという。山脇百合子さんは上智のフランス語科卒。それだからかどうかはわからないけれど、1962年が初版発行と思えないほど絵がとにかくあかぬけていて、ぐりとぐらのファッションも2匹が暮らす家のインテリアもおしゃれ。料理上手でちゃんと生活感もある。

1997年 福音館書店
他の絵本でも、部屋の中の様子がとても楽しい。チェックのクロスをかけたテーブルには手作りのおいしそうな料理やお菓子、片隅にはシロップや果実漬けなどの保存瓶、床や小さなスツールには鉢植え…。細々としたものがたくさん描かれていて、いつまでも見ていられる。
雑然としていてもあたたかく、生活することの楽しさが感じられる空間。

この絵本に出てくる家は、娘にとって「こんなとこに住みたい!」という理想の家だった。

あまんきみこ さく
やまわきゆりこ え
1996年 PHP研究所
幼年童話の挿絵も楽しい。


この頃はまだ旧姓で大村百合子さん。『ぐりとぐら』の表紙も、シリーズ1作目は「なかがわりえことおおむらゆりこ」となっている。
場面の絵にもちょっとした遊びがあって、

この絵本には、ぐりとぐらや、「いやいやえん」に登場するメンバーも「その他大勢」でカメオ出演。


前にいるのはしげるくんかな?
赤いバケツ持っているのは、こぐちゃん。


このお話はすごくかわいい!
子どもや動物たちの描写だけでなく、おばあさんの絵もいいのだ。

こういうおばあさん、いるわ〜!

前掲の『ひみつのひきだしあけた?』の文章はあまんきみこさん。山脇百合子さんは、姉の李枝子さんをモデルに主人公のチイばあちゃんを描いたんじゃないかな、と密かに思っている。

私もこの感じ、目指したいけれど
もったいなくて使えない切手。

れんげ、たんぽぽ、しろつめくさ、クローバー、カラスノエンドウが咲く野原。
その絵を見ると、いつでもあの頃に戻れる。
気持ちがささくれている時、慰めてくれる。
山脇百合子さん、どうもありがとうございました。