終末世界のエンドフィルム

終末世界。
あと数ヶ月で人類の住める場所が消える『終末宣言』が出た世界。
映像制作が趣味の男子高生は廃墟で映画撮影をしていた。
そんな彼は、廃墟で横たわる謎の女子高生と遭遇する。
彼女は目を覚ますも、自分が誰なのかを忘れてしまっていた。
ただ、制服は同じものだったので同じ学校なのはわかった。
女子高生は自分の名前だけを覚えている。
男子高生は世界が戦争が原因でもうすぐ滅ぶことや、自分が趣味で映画を撮影していることを話した。
すると女子高生はニヤリと笑みを浮かべた。

「ふぅん、面白そう。ねぇ、私を映画にして未来に残してよ」

人類がこの世に存在したことを残すための映画。
その主演となるヒロインに自分がなりたいと少女は言った。
女優を探していた男子高生は彼女をヒロインにすることを決め、二人は映画撮影を開始する。

『終末宣言』が出ても、人類文明は意外と崩壊しない。
スーパーも開いているし、学校で授業もある。
電気も走っていて、常に平常運転だ。
最初は機能しなくなったが、人間は自分の役割を必要とする。
案外人は簡単には壊れない。

彼らの映画撮影を協力してくれる老婆がいる。
女子高生はどこかその老婆に既視感を抱く。
自分の祖母によく似ているのだと思い出す。

「映画が出来たら持ってくると良い。上映してあげる」

老婆は撮影機器を貸し出してくれたり、良い撮影スポットを教えてくれる。
代償は出来上がった映画を老婆の経営する映画館で上映することだった。

紆余曲折あり二人は映画を完成させる。
二人は出来上がった映画を約束通り老婆の映画館で上映する。
誰もいない映画館。
老婆は上映室におり、二人は唯一の観客として映画を見る。
すると疲れていた女子高生は眠ってしまう。
目が覚めると彼女は何十年もの過去に居た。

女子高生は元々自殺をしようとしてビルの屋上から飛び降りたのだった。
そして目が覚めたらあの廃墟に居た。
女子高生は自殺したことでタイムリープしていた。
だがそのことに女子高生は気づかない。

――自分が見たのは夢だったのか。

絶望にくれる彼女は頭を垂れる。
すると胸ポケットに異変を感じた。
ポケットに記録媒体が出てくる。
それは二人が撮影した映画を記録したものだった。
女子高生がタイムリープしたのは夢ではなかった。

数十年後の未来では戦争が起因して世界が滅亡していた。
そして女子高生が戻ってきた世界はまさに、戦争が行われるか行われないかの瀬戸際だった。
女子高生は作った映画を動画サイトに流す。
まるで本当に崩壊した世界を映したかのようなその映画は瞬く間に普及。
話題となり、世論を動かすきっかけとなった。
そして本国から相手国にミサイルが発射される歴史は変わった。
本来ならミサイルが相手国に着弾する日だった翌日、相手国から和平条約の提案が打診された。

数十年後――

近未来の文明が発達した世界。
文明は豊かになり、人々は希望をもって暮らしている。
そこに、見覚えのある男子高生が映像を撮影していた。
かつて女子高生だった老婆は、彼に声をかける。
「映画が出来たら持ってくると良い。上映してあげる」
男子高生は怪訝に思ったが、その言葉を何処か知っている気がする。


概要

ふと思いついてTwitterで呟いたのでざっくり形にしてみました。
いつかちゃんと書いてみたいなと思いましたとさ。


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