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令和6年度1級建築士製図試験を終えて(角落ちから)

はじめに

令和6年10月13日、4回目となる1級建築士製図試験を終了した。
勉強期間中に感じたことや、当日の心境を忘れないためにnoteに記載したいと思う。

1回目は高齢者介護施設。
ユニット玄関を1階に設置し、基準階もユニット化されておらず不合格。
というより、そもそも内容も不足しており、記述も曖昧で、条件を満たしていても不合格だったと思う。

2回目は集合住宅。
エスキス・作図スピード共に一番仕上がっていた。
Sの講師から、計画面積はオーバーしている分には問題なし。という教えを守り、
大幅に増加した住戸を計画して不合格。そして2階がスカスカな図面で明らかに断面形状が変だった。

事務所ビルの年は2人目の子供出産期間となり、延期に。

3回目は図書館。3回目ということもあり、様々なことを調べ検証をし臨んだ。
3回の図書室を南側に計画。チェック時間不足による様々なミス。
道路斜線計算式ミス。南側に開架書架を計画。ランク3で不合格。

今思えば、、言い訳だけど、
試験慣れしてしまったのと、1年のブランクがあり、なんか試験に集中していなかった。
N長期の問題はこなしていたものの、そもそも勉強量というか、気合、熱意が足りていなかった。

同じ試験に3回落ちるなんて、、自分はなんて能力のなく、甘く、失格した人間なのだろうという自責の念に苛まれた。
そして、職場のほとんどが1級建築士を取得している同僚、先輩、後輩からは「これは触れてはいけないやつ」扱いされた。

それでも不合格だった場合、すぐに学科の勉強を始めると決めていた。

このまま諦めてしまったら、ずっと遊んでいたやつと結果が同じ。というのが悔しかった。そして何か諦めた自分に嫌気が差してしまうのが嫌だった。

1級建築士にどうしてもなりたい!という事よりも、そういう気持ちが勝っていた。

くよくよ悩んでいるなら勉強する以外方法はなかった

令和6年度

角落ちとなり学科から。
製図試験の不合格発表日にメルカリで総合資格のテキスト・問題集一式を即落札した。

コメントで「角落ちしました。よろしくお願いします。」といれたところ
落札者から「自分も角落ちをしてその後、合格をしました。来年は絶対大丈夫!」とコメントを頂き、なんだか少し元気が出た。

1月から本格的に勉強を始めた。

学科の勉強を始めたが、文章が全然頭に入ってこない!
計画の、近代建築、西洋建築、、、頭が拒否反応
環境、、日射遮蔽係数、、懐かしいな
力学の計算がすげーめんどくさい。
法規の線引き全然進まない。。。
施工こんなに難しくなったのか。


勉強法というと1回目に学科合格の時と変わらない方法を取った。
というか新しい勉強法を試すのが面倒くさかった。

テキスト、問題集、トレトレそれの繰り返し。
Sの模擬試験は一般受講も有料で受け付けており、1ヶ月ごとに受けられたので指標にもなったし、テンションも保つことができた。

学科の勉強中はとにかくプレッシャーに悩まされた。
「角落ちをして、その後の学科も不合格。」という結果になってしまったら、、、負けの取り返しで負けるのが1番きつい

子供ができて「時間がない」なんて思っていたが時間なんてものはいくらでも作れるということを再認識した。
平日は朝1時間、昼30分、帰りにスーパーの飲食コーナーで30分勉強して、計2時間

普段のスマホを見る時間が一日で一番無駄な時間だった。
スマホをいじくる時間は本当に人生のなかで無駄な時間。

学科試験当日

そして学科試験日、結果は103点で学科合格。

うれしいというより、一安心というのが正直なところだった。

家族の反対もあり製図の通学は諦めNの通信・ウラ指導・Sに通う友人から問題を共有にて勉強をした。

製図試験当日

試験当日は暑かった。製図版を持って歩いていると汗がTシャツを湿らせた。緊張をほぐすため断面図・免震基礎を簡単に書いてから試験に臨む。

初年度枠だからか芝浦工大大宮キャンパスの教室は空席が多かった。
おそらく1年飛ばした人たちなのだろう。

サプライズ出題は必ずあると想定して試験に臨んだ。

問題を読み進める。

災害時72時間の待機。講堂で待機させればいいのか。
3年・4年・大学院生が80人にて使用、、フロアでゾーニングすればいいのか?いや階で分けるということか?と半分疑問、半分理解。

4階はそもそも計画不可。5階ならギリ入る。コンパクトな5階で検討する。

そしてエスキス用紙にびしっと書いた。

「不確定要素・・・・
大学生の区分。災害時の利用。→まずは意匠と法規をクリアする。」
サプライズ出題は考え込まず、まず意匠と法規をクリアしようという作戦だ。

免震層、、、詳細まで深く理解していない。が、最低限のことは書けそうだ。

道路斜線、、免震層+車いす駐車場を計画してるので5階なら余裕でかわせる。。なぜ?ギリギリでないのか?当てに来ていない斜線。意味が分からない。

採光、、商業地域なので3m離隔でも計画可能。。なぜ?ギリギリでないのか?

はめられてる???

いや、何度も計算したがはめられてない。

諸条件を整理してプランニング開始。ここまでで40分くらい。

プランニングを開始して気づいた。

プランが上手い具合に納まらない。

まずは基準階。
研究室の50㎡以上を綺麗に確保しようとすると、どこかが納まらない。

「あ、X方向を1m広げれば全て上手くいくじゃん。」と進める
「しまった。免震基礎+車いす駐車場だった。東は6m空けないと。」

どこかを取るとどこかが納まらない。
迫りくる時間。

1階は大空間の講堂。
コアの位置が制約され、上階の重複区間オーバーが懸念される。
記述にある天井の脱落防止、、つまり特定天井か。と認識。

2層か。ん、いや1層か?

この講堂を1層にするとプランはかなり簡単になる。
しかし、過去の試験ではプランを簡単にする方向性はほとんど罠。

結果、講堂は2層で計画。

1階のゴミ置きスペース、、???屋外か?いや屋外だと建築物になる可能性が。屋内か。
1階に計画?基準階に計画?意外とここで思考する時間を取られた。
結果1階の階段下に計画。

エスキスを上限とした2時間20分で終える。

プランニングミス

ここで一つプランニングのミスをしてしまう。
車いす駐車場からアプローチとして計画予定だったサブエントランスが計画できなかった。
プランニング途中で完全に抜けてしまった。

そもそもこの手のプランニングが苦手だった。習得しきれていなかった。
短辺入りの両サイドから入館させる基準階型。
難しいんだよ。

結果。管理階段脇の通用口を引き戸にして「サブ出入口」と修正して入館する作戦。
EPSの前を通り、細い廊下を通り、管理用倉庫や免震層ハッチ前を通り、メインEHに向かう車いす使用者、、
セキュリティ管理として警備室を一応設けよう。

苦しいがもうしかたねー。

というか思考の連続の果てに「この形にしかならなかったんだから別にいいよね。」
くらいにしか考えていなかった。
2階の教室も製図室も無柱で整形だし採光もクリアしている。廊下もまっすぐだ。
講堂はSの課題テキスト通り1人1㎡で計画し320。ホワイエをつくり使い勝手も良い。
メインEHは階段、EV、事務室がしっかり見える広々空間。

エスキス時間も上限ギリギリだった。

作図は2時間40分。試験開始から5時間経過。
記述と進む。

補足とチェック時間が30分程度。十分にチェックできたはず。

試験終了

そして試験終了。

図面のヴォリュームも申し分ない。ミスも極力なくしたはずだ。

やりきった。
今の自分の全力だ。
サブエントランスだけ悔やまれるが、その他はしっかりプランニング出来ているはずだ。

終わったあとの帰り道、朝の暑い空気がすっかり秋の透き通った空気になっていた。

朝より荷物が重く感じた。
帰り道を急ぐ人、俯きながらゆっくり帰る人、問題について話しながら帰る人

夜の空を眺めていたらなんだか涙でた。

まじで1年間長かった

帰りに乗り継いだ川越駅で製図版を持った受験生がたむろしていた。
「どうだったー?」
「難しかったー」
おそらくS川越校の受講生が復元会に行くために待ち合わせしているのだろう。
なんだかとても羨ましかった。
自分は1人。
今年はずっと1人。

数年前、S川越校の復元会に向かう自分の姿と重なった。
ちょうどあの日も空気が透き通って、空が遠く感じる秋らしい夜だった。
あの時のみんなは合格したのだろうか。

自分は小さかった息子も6歳となり、子供も1人から2人に増えた。
息子と約束していた自転車の練習、これからは思う存分練習しよう。
きっとたくさん失敗して転ぶと思うけど、頑張っていれば必ず良い事あるぜ。


Xをみると今年は難しかった。というツイートばかり。

6層プランの疑義について盛り上がっていたが、試験元としては5層を想定した問題だったのだろう。
試験は相対的な評価だが、おそらく減点するポイントとして初めから組み込まれていたのだろう。
そして6層のプランが増えすぎないように作図範囲にて遠まわしに示していたのか。
今年のサプライズは、言うならこの点がサプライズなのかもしれない。

あとから気づいたが記述の屋上庭園部分は切り欠きを忘れてたな、、不整合か。

去年の北側斜線のようにその1点を知らないがために落ちてしまう試験ではなく
学校の課題を真面目に解き、予習復習をして準備をしてきた学生を合格させる試験としたのかと感じた。

個人的には平成の課題に寄ってきたと感じた。
エスキスパズル的な課題だった。
学科についても過去問ベースだったし。

4回目の受験となり受からせてくれとか、そんなことを思うこともなくなった。
やりきった。もうそれだけでいい。

復元図は今年は書かなかった。
妻の「毎年書いてるなら今年は真逆なことしてみれば?」という提案からだ。
それもいいかもしれない。
ワンチャン合格するかも。という良い精神状態のままクリスマスを迎えます。

このnoteが同じ境遇の人の参考になりますように。



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