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音noteどけ物『ベスト・ヒット・note』解説③
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『ベスト・ヒット・note』
曲目をクリックしていただくと各クリエイターさんの記事をご覧いただけます
1.SUNでい!作曲のテーマ
菊×りとるらいと
2.ずんだもん☆ファンク
hareya_itaru
3.RUN
青央×菊
4.前夜
Apollo
5.クリスマス
青央×あかうま
6.手の上の桜
大橋ちよ×にゃんくしー×見据茶×ミモザ
7.流星群ラララ
青央×Apollo×大橋ちよ×菊×小松崎めぐみ
8.壁画語り
Apollo
9.Live Everyday
Apollo×菊×mohanmoller
10.かさぶた
Apollo
アルバム視聴とダウンロードはこちらからどうぞ
各曲解説
前回の解説はこちら
M7.『流星群ラララ』青央×Apollo×大橋ちよ×菊×小松崎めぐみ
「テーマは"非"同調」
この曲は青央さんが作曲され、大橋ちよさんが作詞・歌唱されたのち、わたくし菊が再度編曲・歌唱したものです
「この曲のテーマは"非同調"なのでは?」そう仮説を立てた僕が編曲したこの曲の後半には
僕を含め5人が全く同じメロディを歌おうとする場面があります
それぞれ別の人間が同じメロディを歌うと
必ずズレる、絶対に同じにならない、非同調
しかしどうか
途端にとてつもない魅力を放ちはじめ
単純で退屈なはずのメロディが力強いものになります
これは言わばグルーヴ(演奏のノリ)という現象で
知識としてはありふれたものですがやはり不思議です
コーラス隊のみなさんからいただいた
ひとつたかだか数メガバイトの音声ファイルを重ねていくたびになぜこうも力を増していくのか
それも単なる足し算ではなく
かけ算でもなく指数関数的にです
「同調はかならずしもできなくていいし、できない方がいい結果を生むこともある」
どこまでも同調できない人同士が重なり合うことで力が生まれる
相手が自分と違えば違うほど結構なこと
完全に同調できてしまうとそれはもう人間関係ではなく、"ひとりの人間"になってしまう
僕ひとりの多重コーラスがつまらなかったのはそのためだと思いました
「非同調を目的に同調する」
という僕の身勝手な目論見だったにせよ
僕はコーラスに参加していただけた方達は
誰かに強制されたのではなくて
そのメロディを「"歌いたかった"から歌った」そう信じたいです
僕は自分のしたことを
本当に自分がしたかったことなのか確かめる方法をひとつ知っていて
「やってて楽しかったかどうか」です。
それがみなさんにも起こっていてくれていたら嬉しいなと思いますし
自然と歌いたくなるようなメロディを作りたいといつも願っています。
M8.『壁画語り』Apollo
「ないはずの空気がある」
一定のフレーズを繰り返すベースとドラムの重いグルーブ(リズムのノリ)とフィルム映像の粗い粒子のようなリバーブ(残響音)、いくつも折り重なるギターのゆらゆらとした音像が豊かな情景を立ち上がらせ
まるでくらくせまい洞窟の中で松明やライターの灯りを頼りに行われるレゲエやダブ音楽の集会といった趣もあります
ディレイ(反響)が強く効いた、衝撃波で空気を圧迫するかのようなドラム音は
イギリスのバンド、レッド・ツェッペリンがとある屋敷の吹き抜け玄関ホールで録音を行った「When the Levee Breaks」(アルバム「Ⅳ」収録)を想起させ
終始変わらないテンションのリズム隊
対照的に
コーラスに入るとキー(音域)を上げるボーカルが静かに景色を変えていきます
歪んだドラムとベース、エレクトリックギターで構築される音像に、中性的な知声のボーカルによって生み出されるApolloさんの音楽は
打ち込みやギターアンプシミュレーター、機械音声などを駆使されていますが
本来、音が空気に触れることのないこのスタイルでは得ることの難しい「空気感」を立ち上がらせている
非常に独創的なものです。
M9.『Live Everyday』Apollo×菊×mohanmoller
「男子のノリ的官能」
mohanmollerさんがアップされた曲をApolloさんがカバーする途中でわたくし菊が横やりを入れるかたちで共作したオルタナティブ・ロックあるいはグランジ・ロックです
mohanmollerさん持ち前のオルタナティブ・ロックのハーモニー感覚と
Apolloさんのベーシック(リズムギター、ベース、ドラム)トラックに
菊の歌と若干のリードギターと環境音を足していくことで
乾きと音量差とシャウトからなるグランジ・ロックの官能性に肉薄しています
ただ男子のノリだけでやりたいことをやっただけで
特に言うことはないので
終盤のデスボイス的なシャウトを可能にする
カート・コバーンの口寄せ術を紹介します
1.歌入れ前日に大量の飲酒(しかも深酒)をします
2.翌日寝起きですぐMAXのテンションで叫びます
以上です
ポイントは寝起きです。
M10.『かさぶた』Apollo
「アニメのエンディングせつなかった頃」
コードストロークという、腕を振ってじゃかじゃかとかき鳴らす演奏法のディストーションギターがせつなさを感じさせ
歌メロを補強するリードギターの裏メロやオブリガード(合間に挿入されるフレーズ)のラインが美しいミディアムテンポのロックナンバー
Apolloさんのギターの音色は
「乾きながら湿っているのような歪み」が特徴です
それが存分に発揮されているこの曲は
どこか90年代のザ・イエローモンキーが持っていた昭和歌謡に通底する独特の暗さ、哀愁が結実した
吉井和哉のソロ作「Hearts」という曲に通じるものがあります
誰しも「帰りたい」という
郷愁にも後悔にも似た感情を持っていて
子供の頃アニメを観ていてエンドロールとテーマ曲が流れると途端に胸がきゅうと切なくなる時のようなその感情が音楽で湧きおこることがある
アルバムを締めくくる余韻にふさわしい曲です。
まとめ
・やってて楽しかったら正解
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