川島ゆり/Yuri Kawashima

好きなアーティストは、英国のダミアン・ハーストです。 ハーストの作品が持つ、美、静謐さ、独特の秩序を愛しています。 サメのホルマリン漬けなどの「自然史」シリーズで有名なハーストですが、 わたしは彼が近年力を入れている絵画作品がとても好きです。

川島ゆり/Yuri Kawashima

好きなアーティストは、英国のダミアン・ハーストです。 ハーストの作品が持つ、美、静謐さ、独特の秩序を愛しています。 サメのホルマリン漬けなどの「自然史」シリーズで有名なハーストですが、 わたしは彼が近年力を入れている絵画作品がとても好きです。

最近の記事

ダミアン・ハースト『統合失調症の発生』

ダミアン・ハーストの「統合失調症の発生」というアートブックを買いました。 この本には、美しく、またどこか皮肉めいている拡大された錠剤の作品がたくさん載っています。 ダミアン・ハーストによる序文の一部を紹介します。 「錠剤は、どんなミニマリズム・アートよりも優れた形状をしている。 錠剤はどれもこれも人に買わせるようにデザインされている。 錠剤を飲むだけで、あなたは気分が良くなり、美しさを感じるだろう。」 拡大された錠剤の彫刻はどこか不気味で、わたしたちを不安にさせます。

    • ダミアン・ハースト、そして現代アート界の脱帝国化

      ダミアン・ハーストのファンであるわたしがこんなことを言うのは意外かもしれませんが、わたしは現代アート界の脱帝国化を願っています。 ダミアン・ハーストの作品はインパクトが強く、また大変美しく、コンセプトも完璧です。 彼が起こしたスキャンダラスな出来事と共にハーストの作品が歴史に残ることは間違いないです。 とはいえ、わたしは東洋人の女性です。そして、日本人が抱きがちな西欧コンプレックスをわたしも持っていて、おそらくその西欧コンプレックスがわたしをダミアン・ハーストのファンに仕

      • ダミアン・ハーストの名言集② [若年期編②]

        ダミアン・ハーストの名言、二回目です! 言語も文化も違う英国のメガスターアーティスト、ダミアン・ハーストのことも、何を言っているのかよく知ればより理解できて、愛着がわいてきますね! 「もともとは深海ダイバーになりたかったんだ。  でも、サメのことを知ってしまった。」 「僕は人のおかげで成長できる。」 「人間関係を〈恋愛中〉と〈恋愛外〉のふたつの山に分けるのが好きなんだ。」 「アートは臆病者の抜け道だと思うよ。  自分がアートに込めたものを他人にもぶつけられたら、  も

        • ダミアン・ハーストのペーパーブロッサムズ販売中

          ダミアン・ハーストといえば、サメのホルマリン漬けなどのシリーズで有名ですが、近年は絵画作品に力を入れています。 桜の絵画作品のシリーズもその中のひとつです。 現代アート界のメガスターであるダミアン・ハーストが日本を象徴する花である桜の絵を描いてくださったことを日本人として嬉しく、また誇りに思います。 ハーストは新渡戸稲造の武士道をテーマに桜の絵の版画シリーズを制作・販売したこともあります。 新渡戸稲造の武士道の精神性が現代の日本に残っているかどうかは疑問ですが、 わた

          ダミアン・ハーストの名言集① [若年期編]

          ダミアン・ハーストの名言をちょこちょことご紹介していきますね! 読むと、彼のことが好きになりますよ!!! ”アーティストであることは、ほんとうに幸せなことだと思うよ。 子どもの頃は、自分の好きなことでお金をもらえるなんて、想像もできなかった。” “僕が5,6歳のころ、母親が庭で桜の絵を描いていたのを覚えているよ。 母親は桜を油絵で描いた。僕はその桜を描こうとして、絵の具を食べてしまったような記憶がある。” "自分が何者であるかを知る必要があるよ。 その結果、僕はどこにで

          ダミアン・ハーストの名言集① [若年期編]

          ダミアン・ハーストの天文学的資産と名声

          ハーストの作品は、天文学的な金額で売られ、再販されています。 そんなハーストの純資産は2億1500万ポンド(2022年7月26日のレートで計算すると、なんと約354億円!!!)と推定されています。 存命アーティストの中で最も資産があると噂されています。 2008年に開催されたサザビーズのオークションで200点の作品が出品され、1億1100万ポンド(2022年7月26日のレートで約183億円!!!)を売り上げました。 そんなハーストの作品は、ホワイトキューブ・ギャラリー

          ダミアン・ハーストの天文学的資産と名声

          [札幌ギャラリー巡り]はなびさん個展

          「北の病展」の主催者、はなびさんの写真展に行ってきました! カフェ+ギャラリー・オマージュの扉をくぐると、はなびさんがちょこんと座っていました。 「北の病展」にはわたしも出品したことがあるので、はなびさんにお会いするのははじめてではありません。 はなびさんはとても無口な方ですが、行動力が半端なく、さすが今まで「北の病展」を引っ張ってきた方だなあと感じさせる方です。 はなびさんにご挨拶すると、「いま展示をようやく終えたところで、キャプションはまだなんです」とちょっと恥ずかし

          [札幌ギャラリー巡り]はなびさん個展

          村上隆さんの思い出②[Cafe Poncotan@札幌]

          「村上隆さんの思い出①」にも書きましたが、札幌に村上さんのアニメーションスタジオがあったことを覚えている方は多いかと思いますが、 そのアニメーションスタジオに小さなカフェが併設されていたことをご存じの方は少ないかもしれません。 わたしはそのカフェによく通っていました。 小さいけれどとても居心地のよい白壁のカフェで、当時札幌ではまだ珍しかったスペシャリティーコーヒーを飲むことができました。 さて、「悪夢のどりかむ」展にて幸運にも村上さんのサインを頂いたわたし、その次に村上さ

          村上隆さんの思い出②[Cafe Poncotan@札幌]

          村上隆さんの思い出①「悪夢のどりかむ」展@札幌

          村上隆さんが札幌にアニメーションスタジオを持っていらしたことを覚えている方は多いかもしれません。 でもそのアニメーションスタジオにカフェが併設されていたことをご存じの方は少ないかもしれません。 わたしはよくそのカフェに通っていたので、幸運にも村上さんご本人に何回かお会いしたことがあります。 最初にお会いしたのは、2012年の12月9日、そのビルのスタジオの一室(札幌スタジオPONCOTAN特設展示室)で「悪夢のどりかむ」展のオープニング・レセプションが開催されたときです

          村上隆さんの思い出①「悪夢のどりかむ」展@札幌

          ダミアン・ハーストにみられるネクロフィリアー死をこよなく愛する男ー

          ダミアン・ハーストというと、やはり一番目に思い浮かぶのは、サメのホルムアルデヒド漬けですよね。 実際、ハーストはこの作品で大ブレークして、一躍トップアーティストの仲間入りを果たしたわけです。 今回は、このサメのホルムアルデヒド漬けについて、わたしの個人的な感想を書きたいと思います。 わたしがこのホルムアルデヒド漬けのサメを観て感じるのは、ああそうか、この作者はこのサメを死に至るまで支配したいのだなぁということです。 ここで、ネクロフィリアという言葉を紹介したいと思います

          ダミアン・ハーストにみられるネクロフィリアー死をこよなく愛する男ー

          ダミアン・ハーストのプライベート

          今回は、ダミアン・ハーストのプライベートについて、わたしが知っている範囲でお話したいと思います。 1993年、ハーストは代理人のジェイ・ジョプリングから、ある女性を紹介されます。 その女性は、カルフォルニアのサーファーガールからジュエリー・デザイナーに転身した魅力的な女性で、当時はジョプリングと交際していましたが、すぐにハーストと恋に落ちます。 彼女は、ハーストの作品制作のために、屠殺場やウジ虫の飼育場に同行しました。(すごい女性ですね!) 彼女は2009年にこう述べてい

          ダミアン・ハーストのプライベート

          ダミアン・ハーストのファンになったきっかけ

          今回は、わたしがダミアン・ハーストのファンになったきっかけをお話したいと思います。 もともとダミアン・ハーストの存在は知っていました。 現代アートに関する本には必ずといってもいいほどハーストの作品が載っているからです。 でもわたしが知っていたハーストの作品は、有名なホルムアルデヒド漬けの「ナチュラル・ヒストリー」シリーズくらいでした。 そんなある日、フェイスブックのタイムラインに、ハーストの「ベール・ペインティング」が流れてきました。 ↓↓↓ダミアン・ハーストの「ベール

          ダミアン・ハーストのファンになったきっかけ

          [われは死神なり、世界の破壊者なり]ダミアン・ハーストが蝶で描いた地獄絵図

          ダミアン・ハーストといえば、蝶の羽を使ったシリーズを思い出す人も多いかと思います。 ダミアン・ハーストは、2001年から、無数の蝶の羽を使って同心円を描く「カレイドスコープ」シリーズを制作し始めました。 そのシリーズの中で最も大きな作品のひとつである『われは死神なり、世界の破壊者なり(I am become death, Shatterer of worlds)』は2006年に作られました。 この作品には、2700匹以上の蝶が使われているそうです。 では、この作品は何を

          [われは死神なり、世界の破壊者なり]ダミアン・ハーストが蝶で描いた地獄絵図

          壊れた家庭で貧しく育ったダミアン・ハースト

          今回は、ダミアン・ハーストの生い立ちとその背景についてお話しようかと思います。 ハーストは恵まれた家庭環境で育ったとは言えません。 壊れた家庭で貧しく育ちました。 実の父親に会ったことはありません。 ハーストは1965年に英国のブリストルで生まれ、リーズで育ちました。 母親のメアリー・ブレナンは、ハーストが2歳のときに自動車販売員と再婚しますが、ハーストが12歳のときに離婚。 家庭環境に恵まれないこどもがしばしばそうなってしまうように、ハーストも問題行動を起こすようにな

          壊れた家庭で貧しく育ったダミアン・ハースト

          金の子牛[ダミアン・ハーストとキリスト教②]

          前回、ダミアン・ハーストはキリスト教をテーマに多数の作品を制作しているという話をしました。 前回は、白いハトの作品を紹介させていただきました。 今回は、ハーストの代表作のひとつである『ゴールデン・カーフ』(金の子牛)についてお話したいと思います。 『ゴールデン・カーフ』は、2008年に制作された作品で、子牛の死体がガラスケースの中でホルムアルデヒド漬けにされ、それが大理石の台座の上に飾られている作品です。 (タイトル画像はその上部のドローイングです。下手でごめんなさいby

          金の子牛[ダミアン・ハーストとキリスト教②]

          ダミアン・ハーストの作品を理解するために必須な知識とは?[ダミアン・ハーストとキリスト教①]

          ダミアン・ハーストは一般的に、「生と死」をテーマに作品を作っている作家として知られています。 それを代表しているのが最も知られている作品である『生者における死の物理的不可能性』でしょう。 ガラスの展示ケースの中に吊るされ、ホルムアルデヒドで保存されたイタチザメの作品です。 ネットや現代アートの入門書などでこの作品の写真を見たことがある方は多いかと思います。 この春、日本に来ている桜の作品を含め、「生と死」をテーマにした作品は、違う文化に暮らすわたしたち日本人にもとても分か

          ダミアン・ハーストの作品を理解するために必須な知識とは?[ダミアン・ハーストとキリスト教①]