人材の流動性とリーダーのあり方について
2回目の記事になります。法務の仕事のこと書こうぜ、って思うものの、初回に転職のことを書いたらこういうのも書きたくなりました。HRの専門家ではないので、あくまで私が転職を通じて思ったことです。
働き方の変化と人材の流動
これまでの日本の雇用は、一社で長く働くことを前提とした評価・賃金体系になっており、人材が活発に流動することは想定されていなかった、と言われているのはみなさんも認識されていると思います。終身雇用にはいい面・よくない面があるとは思うものの、最近は、企業側も終身雇用を維持できなくなっていたり、働く側の意識も変わってきたりして、比較的短期間で転職をすることも一般的になってきました。
このようなことが普通になってくることで、働く側としてはよりよいポジションを探しやすくなることはもちろんのこと、そのような働き手が増えれば、企業としてもより優秀な人材に巡り合える機会が多くなります。これは明らかに企業側にとってもメリットだと思うのですが、これを活かす・活かさないで、企業の明暗が分かれるといっても過言ではないような気がしています。
人材の流動性を活かせる企業・活かせない企業
会社の資産はヒト・モノ・カネとよく言われます。その中でも、ヒトはすべての競争優位の源泉であると言われることもあります。「人材」を「人財」と表現するところもあります。ただ、人材の重要性を理解できていない企業(というか経営陣・リーダー)もいると思うんです。具体的に言うと、会社の成長よりも自分たちのポジション確保を優先してしまう人たち。
昨今は事業環境が目まぐるしく変わるので、変化に対応できる人材を時間をかけて育てるということができない場合も多々あります。そうなると、時間をお金で買う、すなわち、すでにそのようなスキルを持っている人材をどこかから引っ張ってくることも必要になってきます。例えば、最近はDXなんて言葉がはやっていますが、デジタルマーケティングができる人材が社内にいない場合、どうするでしょうか。もちろん、従来のマーケティングをしていた社員にプラスアルファのスキルを身に着けさせることで対応もできますが、時間が許さない場合、すなわち早急に対処しないと企業の価値が落ちてしまうような場合は、中途採用することも視野に入れるべきだと思います。もちろん、このような即戦力は、高い報酬が必要かもしれませんし、責任あるポジションを与えるのであれば、それ相応の役職も必要かもしれません。ここで、既存の幹部が、そのような方を積極的に採用できるかどうか、つまりは、自分の「上」の社員を採れるかどうかが、今後の成長を左右する一つの要素だと思います。自分たちの立場を守ることを優先すれば、自分たちは引退するまで安泰かもしれませんが、長期的に見た会社の成長はあまり見込めないでしょう。一方で、会社の成長を考えられれば、どんどんそのような方々を採用するでしょうし、結果的には会社の成長につながるし、自分たちの給与にも跳ね返ってくるでしょう。
あくまでも個人的な感触ですが、若い世代~ミドルの世代は、すでに終身雇用を前提に考えていなことが多いと思われるので、それほど抵抗することなく受け入れることができそうなのですが、それより上の世代になると、終身雇用の意識も残っているのか、その中でがんばって今のポジションを得たという自負があるのかで、なかなか自分よりも優秀な人材を採用することに踏み切れない場合があるのではないか、と感じています。転職活動をする際に、役員クラスにプロパー以外の人がいるかを見ろ、と言われることもありますが、まさにそれで、人材の流動が一般的になった今、それを活かせると活かせないでは、後々大きな差がでてくると思うんです。
リーダーに覚悟はあるか
さて、このような文脈でもう一つ思っていることを述べさせていただくと、上記の「活かせる・活かせない」は、「責任をとる覚悟があるかないか」と言えるとも思います。
企業の幹部が負うべき責任とは、企業を持続的に発展させてステークホルダーに利益をもたらすことなのですが、このことが分かっていれば、自分より優秀な人は採らないとは言えないはずです。すなわち、自分の立場や私欲よりも、自分が負っている責任を果たす覚悟があるかどうか。企業だけではありません。誰とは申し上げませんが、コロナウイルス対策を見てみても、覚悟があるとは思えない方々がいるような気がします。一方で、未曽有のことだけれど自らの決断には責任をとるという意思が感じられる方もいます。やはり、そのような意思があるリーダーについていきたいと思うのが自然でしょうし、反対のリーダーが率いる組織は、徐々に衰退していくのかと思います。
翻って、自分はどうか
企業の幹部や政治家の話をしましたが、このことは大小問わず何らかの組織やチームを率いるリーダーにも言えることだと思います。背負っている使命や責任の大小はあれど、自分の役割を適切に認識して、私欲に優先させることができるかどうか。自分自身は現在ミドルかその入り口のような立場ですが、自分が会社の幹部をそのような目で見るように、自分も若手からはそのようにみられていると思います。反面教師ではありますが、そのような観点を忘れることのないよう、日々行動していかなければならないと思うのです。
人材の流動性から話が始まって、最後はリーダーのあり方のようなものについて思うがままに書いてしまいました。お読みいただきありがとうございました。