シュクレイから逃げられない
昨年から、ライブやイベントなどで東京遠征に行くことが増えた。その度に、関西では買いにくいお菓子をお土産に買って帰る。
よく買うのがバターバトラーとメープルマニア。地獄みたいなカロリー。この背徳感、堪らないよね。
ただ、年に四回も行っているとレパートリーがなくなってくる。同じものを買い続けるのも、ルーティンみたいで味気ない。
「コイツいつも一緒の買ってくるな」
と、流行りを知らないダセェ人間になりたくないがために、「センスのいいお土産」を自分の価値を上げるための手段として利用している汚い人間ですごめんなさい。
珍しくておしゃれなお土産、ないかな。
めっちゃかわいい!パッケージ。
バターバトラーとおんなじ会社なんや!なら間違いないやん!
これもいいなぁ。チーズとバター。
ギリシャチックなデザインも素敵。
これもおんなじとこ?
くまちゃんかわいい。ディック・ブルーナみたい。これもシュクレイ?
なんかまた新しいお店できてる。
またシュクレイやん。
四月にできたんか。クッキーやけど、イラストがちょっと和っぽくていいね。
やばい。シュクレイ多すぎ。
あまり意識してなかったけど、東京駅のお土産売場は、四方八方シュクレイに囲まれてる。
インターネットで探して惹かれるものも、ほとんどシュクレイ。バターバトラーを初めて食べたときの衝撃を、無意識のうちに身体が、心が、求めてしまう。
棚に陳列されている彼らを見ると、気づけば一緒に家に帰ってきている。
麻薬。
バターフィナンシェのふりをした合法麻薬。
あの背徳に満ちた幸福感を味わってしまったら、もう抜け出せない。そして右を見ても左を見ても、シュクレイ、シュクレイ、シュクレイ。誘惑が多すぎる。一度踏み入れたら抜け出すことは困難な快楽。
シュクレイなら間違いないという安心感。
「一口どう?幸せになれるよ?」
とぎりぎりアウトな誘い文句で他の人にも勧めてしまうまでになってしまった。
関東にさえ行かなければ、物理的に依存を抜け出せるだろうと思っていた矢先。気づけば、関西にもシュクレイのお店ができていた。
ゆっくりと、しかし確実に、僕のすぐ側まで近づいてきている。きっと、僕はこの先もシュクレイに依存し続ける人生を送るのだろう。
そしてシュクレイは、ほら。
きっとあなたのすぐ側にも。