門左衛門の人
自分の名字が嫌いってほどじゃないけど、もっとカッコよかったら良いのになぁと思うことがある。
「ソネキリン」というハンドルネームは高校生くらいの時からずっと使っていて、「ソネ」は本名から取っている。漢字で書くと「曽根」。
「曽根」のどんな部分が納得いってないって、例えば人に説明する時のダサさ。
口頭での説明はいつも「木曽山脈の曽に、根っこの根」とパッとしない例えをいつもしている。大阪の人なら「曽根崎の曽根」って言えばわかってもらえるが、一般的に伝えようと思うと、他に分かりやすい言葉が出てこない。
「志す水で"志水"です」とか、「東西南北の東で"あずま"です」とか、「車、車、車、車三つで、"轟"です」とか、もっとシンプルでスタイリッシュな自己紹介がしたかった。
「轟」がスタイリッシュかどうかは、この自己紹介を知ってる人からすればギャグだけど、「轟」の響きは名字の中でも断トツでカッコいいと思う。ギューン!!!
「志水」みたいに「曽と根」の間に文脈が無いから、どうしてもバラバラに説明しないといけないのがもどかしい。
「ギャル曽根」と言えば誰にでも一発で伝わるが、ビジネスシーンで「ギャル曽根の"曽根"です」なんて恥ずかしくて言えない。やっぱり「ビジネス」と対極の存在である「ギャル」という言葉が入っていると、どうしても言いにくい。ちょっとフランク過ぎる気がする。
ごめんなさいギャル曽根さん、悪意は本当に無いんです。大きく開いた口に食べ物を運ぶ姿、お皿にご飯粒ひとつ残っていない食べ方は、もはや豪胆さと上品さを兼ね備えた芸術だなと思いながら観ています。
「近松門左衛門の"曽根崎心中"です」は、なんかインテリぶった感じが鼻につく。「え?まさか近松門左衛門、知らないんですか?」みたいな。
「曽根」より「近松門左衛門」の方がワードパワーが強いし、漢字を聞いただけで「近松門左衛門」なんて言葉が出てきたらびっくりするだろうから、コンビニ店員が客に渾名を付けるみたいに裏で「門左衛門の人」って呼ばれたらどうしよう。
なんてありもしないことを考えてしまう。