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(第1話)わたし、この街で村長になります!【1/4】

こんにちは。村長のぼうまいです。
岩手県で「ぼうまい村」村づくりをしてます。

今は村の拠点が決まって、リノベしたり周辺整備をしたりしている真っ最中です。これからそばを植えたり養蜂を始めたり、ホップを栽培したり、飲食を始めたり、宿泊業を始めたり、ガイドもやりたい、やりたいことやることが渋滞しててなかなかおもしろい毎日を過ごしています。

そんな村長のこれまでを全4話の短編小説風に配信していきます。


第1話 「わたし、この街で村長になります!」


今からちょうど3年前、当時わたしは東京で地方創生のなにかをやってる会社で働いていて、岩手には仕事で訪れた。東北は初めてだった。出張先でとあるワイナリーの見学をさせてもらっているところだった。

小高い丘の上に立つワイナリーは、始まったばかりの苗が青々と気持ちよさそうで、どこまでも広がる田んぼは自分の夢の広がりを表しているようでわたしの胸を踊らせた。

元々村つくりたい願望があったわたしは東京の会社に就職した。出身地である滋賀県で村をつくるための知識と経験のためを得るために東京にやってきた。入社してしばらくは地方創生のなにかに携わらせてもらえなかった。会社の中にはいくつかの事業部があり、わたしの配属は地方創生のなにかの事業部ではなかった。実力も経験もコネもないうちは、やりたいことのためにやりたくないこともやらなければいけない。たったひとつのやりたいことのためにやりたくないこと100くらいやるイメージだ。

やりたいことがあって、それを自分ひとりの実力でできるならやればいい。当時のわたしにはもちろん全く無理で、社会の社の字も知らないそんな状態だった。だから就職した。

石の上にも3年という、あまり好きでない言葉があるが、あの言葉の真意は、辛いことにただただじっと耐えることではなく、いつか訪れる好機を待つためでもなく、好機を自分で掴みに行くため身にふりかかる全てを吸収するための修行期間っていう意味なんだと思う。

経験とは何事にも変え難い価値だ。わたしは経験のためなら時間もお金も惜しまない。経験が人としての厚みを生み、それが人としての魅力になる。

ある日、地方創生のなにかをやってる部署の同僚が岩手県の仕事を受注してきた。わたしには関係のない話だった。いつも通りやりたいことではない仕事を一生懸命やってると、「ぼうまいさん、岩手いきたいですか?」ーーー行きたくないわけがない。

どうやら、予定していたメンバーが出張にいけなくなったようだった。今の時代クリックひとつで簡単に新幹線をキャンセルすることができるが、同僚の粋な計らいと、巧みな話術でボスを説得してくれ、わたしの岩手出張が決まった。

ここで他の誰でもなくぼうまいにって思ってチャンスを与えてもらえることこそがさっきの石の上にも3年の成果なのかもしれない。

好機は誰の前にも転がっている

大事なのはそれを好機と思って行動できるかできないか。やりたいことをやっていない時間も常にやりたいことのためのReady…なのである。そうして偶然にも岩手出張の機会を得たわたしは地方創生のなにかの仕事そっちのけで「わたし、この街で村長になります!」と宣言するのであった。

後日談

この時わたしが宣言したワイナリーのおじさんは実は有限会社◯◯村の代表で、わたしの発言を受けて、「お?うちの社長きた!?」と思ってびっくりしたそう。お互いにまさかまさかである。

次回 第2話 「プロポーズ大作戦」

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