『プロメア』(不)完全燃焼
『プロメア』 2019年
監督:今石洋之
美術監督:久保友孝
3Dディレクター:石川真平
音響監督:えびなやすのり
色彩設計:垣田由紀子
クリエイティブプロデューサー:若林広海
アニメーションプロデューサー:舛本和也
脚本:中島かずき
撮影:池田新助
キャラデザ:コヤマシゲト
編集:植松淳一
音楽:澤野弘之
キャスト:松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人 etc
上映時間:111min
あらすじ
火を操る人類・バーニッシュの誕生により世界が炎上してから30年。炎上テロ集団マッドバーニッシュに対抗し、バーニングレスキューが消火活動に勤しむ。
2時間では不完全燃焼?
去年、一部の界隈ではとてつもない人気を博した『プロメア』。
小生の周りでも重ねて劇場に足を運ぶ人が何人かいたから横目では気にしていたのだが、結局観に行かなかった。
そもそも当時は『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』といった今石監督作品やTRIGGER製作作品を観たことがなかったから、どうしても一歩が踏み出せなかった。
劇場公開が終わった直後くらいに『キルラキル』を完走し、世界観が面白かったから『プロメア』逃したのは失策だったかなと後悔したのを覚えている。
で、気づくとAmazon Primeに『プロメア』が現れたから早速観てみたのだが、感想としては率直に『キルラキル』の方が断然面白いなあという感じだった。
中嶋かずきさんの脚本は特殊な世界観と個性的過ぎるキャラ立ちにあって、今石監督のあのスピード感と合わさることで独自のアニメーションになっていると思うのだが、2時間の映画よりも30分の連載アニメの方が向いているのかなという感覚。
というのも、あれだけ凝って作りこんだ世界観と数々のキャラクター達を2時間ではとても活かしきれないからだと思う。
『キルラキル』が全24話だから、話が進む実時間を20分とすると、少なくとも20(分) ×24(話)=480(分)、つまり8時間かけて物語を描けるわけだ。
対して、映画は一つで終わらせるとすればせいぜい120分でしか語れない。
現に『プロメア』では、マッドバーニッシュのメンバーはおろか、レスキュー隊のメンバーさえほとんど出番が与えられずに放置されていた。
それぞれしっかりキャラデザも拘っているのに、である。
特殊な世界観の説明にも時間を割かなければいけないからキャラが置き去りにされるのは仕方ないのかもしれないが、どうももったいない。
パクリ疑惑
作品情報を集めるためにネットをさまよっていると、「プロメア パクリ」という検索候補が出てきたから、ああやっぱり言われるよねとピンときた。
映画冒頭の世界観の説明時に、小生は読んでいないのだが『炎炎ノ消防隊』という漫画も確かこんな設定だったようなと思い当たった。
消防士が主人公で、自然発火する人間が起こす騒動に対処するというところまではほとんど一緒なのだ。
作者の大久保篤さんも
「連載前の内容を知り合いでも話すのはやめておこう。どこで盗られるかわかったもんじゃない。」
とマガジンの巻末で発言しているようで、パクリ疑惑に一層の拍車がかかったようだ。
しかもキャラデザ担当のコヤマシゲトさんと大久保さんが知り合いらしく、まさに発言と一致してしまうから大変。
過去作の『天元突破グレンラガン』『キルラキル』でも盗作疑惑が浮上していたから、怪しいと言えば怪しいのだが、まあ物語創作の世界ではわりによくあることで、大抵は被害妄想に過ぎない。
なんせ映画なんてのは複製芸術の一種だし、パロディやオマージュと言ってしまえばパクリにはならないという不思議な世界である笑。
『キルラキル』ほどのヘンテコな世界観を創れる人たちではあるから、できれば被害妄想であってほしい。
そんな金がありゃ映画館に映画を観に行って!