なぜ多くの日本人が「キャリア地獄」に陥るのか?
なぜ多くの日本人が「キャリア地獄」に陥るのか?
1. 背景:日本企業を取り巻く現状
大企業の早期退職・リストラが相次ぐ
近年、国内の有名企業が数百〜数千人規模で早期退職を募るニュースが増えています。かつて「安定」とされていた大企業でも、業績や株主からの圧力によりリストラや事業売却を進める動きが加速。変化へ追随できない企業が淘汰される
SNSマーケティングやAI技術、グローバル展開など、急激な変化に取り残された結果、市場価値を失う企業が増加。経営トップの戦略が古く、さらに「総合職一括採用」「終身雇用慣行」のままではグローバル競争に勝てず、人員整理が行われやすい土壌ができています。
つまり、「大企業にいればなんとかなる」という前提は崩れ始めているのです。にもかかわらず、多くの方が**「小さなリスクですませたい」→「少しの努力や転職で十分にキャリアアップできるはず」**と考えがち。結果、思うように年収やスキルが伸びず、いつまでも抜け出せない“キャリア地獄”に陥るケースがあります。
2. よくある4つの「キャリア地獄」ルート
動画では次の4つの道が「安易に選ぶと、行き止まりになりやすい」と指摘されています。それぞれの典型パターンを見てみましょう。
(1) USCPAを取得 → 監査法人へ転職
よくある思考パターン
「専門性をつけたい → そうだ、USCPA(米国公認会計士)を取れば監査法人に行ける!」実際の問題点
日本国内では、公認会計士(日本の資格)ホルダーが強く、USCPAが思うほど優遇されない。
監査法人に転職できても、実際の業務は“会計監査”が中心。経営視点を養う機会はあまり得られず、次のキャリアステップにつながりにくい。
その後、ファンドやCFOを目指すといっても、外資系投資銀行・MBAホルダーが優先されがちで、結果的にローカルな中小案件や日系PE程度で頭打ちになる。
「USCPAを取って監査法人を経由すれば将来CFOやファンドで活躍できそう」と思いがちですが、実際にはファンドや外銀で求められるのは経営戦略・財務モデリング・国際ビジネス経験など。監査法人ルートだけでは十分カバーできず、“キャリアの行き止まり”になりやすいのです。
(2) コンサルファームへ転職
よくある思考パターン
「営業や一般職を続けても専門性が得られない → じゃあコンサルなら“経営ができる人”になれるかも!」実際の問題点
総合系コンサルや人事系コンサルなど、幅広いがゆえに戦略・経営寄りではない業務を延々とやらされる可能性。
仮に大手コンサルに入っても、ひたすら資料作成・パワポ作りで終わるケースや、案件が少なく待機が増えるなど現実的なギャップも。
高度な戦略案件やグローバル案件は、MBAホルダーや既に外資経験のある人材が優先されがち。
「コンサル転職で何とかなる」と思っても、スキルアップする前に体力的・精神的に疲弊する人も多いのが実情。さらに年収を大きく伸ばす“上位クラス”の案件は海外MBA組・戦略コンサル出身者が独占するため、転職してもその先のキャリアアップが難しいのです。
(3) ベンチャー企業に転職
よくある思考パターン
「ベンチャーなら裁量権が大きい → 大きく成長できるはず → ストックオプションで一発逆転!」実際の問題点
多くのベンチャーは資金調達・IPOに苦戦している。「上場期待」と言われても実現せず、ストックオプションが無価値に終わるケースも珍しくない。
会社の事業フェーズによっては過酷な労働環境になりがち。疲弊して短期間で離職、また別のベンチャーへ…と“渡り鳥”状態になる人も。
大手企業・外資系に転職し直そうとしても「ベンチャーの実務経験が評価されず、給与や役職が大幅に下がる」。
一部の成功ベンチャーを除き、年収アップや経営スキル習得につながりづらいリスクが高いのが現実。入社時点でストックオプションの付与が不透明だったり、いざ上場チャンスが遠のいたりすれば、結局は「転職を繰り返すだけ」でキャリアが安定しなくなります。
(4) 日系大企業のサラリーマンを続ける
よくある思考パターン
「転職や留学には大きなリスクがある。もう少し社内で頑張ってみれば希望部署へ異動できるかも」実際の問題点
終身雇用崩壊に伴い、40代以降で突如リストラ対象になる可能性が急増。
給与テーブルも上がりづらく、若手のうちに専門性を築かないといざ転職する際に強みがない。
海外駐在や希望部署への異動も、「社内に枠があればラッキー」程度で、確実性は低い。さらに駐在しても市場価値が上がらないケースも多い。
「大企業だから大丈夫」と思っていても、株主からのプレッシャーで大規模リストラを敢行する例は増える一方。「いざ動こう」と思った頃には、同じ境遇の人材が溢れ、転職市場における価値が大幅に下がってしまいます。
3. “非連続なジャンプ”でキャリアアップを成功させるには?
動画では、上記4つの行き止まりルートに共通する要因を次のように分析しています。
少しの努力・少しのお金でなんとかしようとする
USCPAを“ちょっと”勉強して資格を取り、現状打破できないか。
コンサルに“とりあえず”行けば経営スキルが身につくか。
ベンチャーなら“投資”せずに一発逆転できるか。
今の会社に“しがみつけば”そのうち何とかなるか。
しかし、その程度の自己投資や努力では、大幅な年収アップ・グローバル経営人材化は難しい
結局「手の届きそうな目先の策」を取っても、リスクを大きく負って本格的な“非連続なジャンプ”をしている人(例:海外MBA取得者、外銀IBD経験者、トップコンサル出身者)に追い抜かれてしまう。
海外MBA・海外大学院留学という「非連続なジャンプ」
海外MBAに行くメリット
グローバル基準の経営知識(財務・戦略・マーケ・リーダーシップなど)を体系的に学べる。
ボストンキャリアフォーラムなどで外資系・グローバル企業の上位ポジションに直接応募しやすい。
企業によってはMBAホルダーを優先的にマネージャー採用している現実がある。
高額な学費を借り入れしても、卒業後に年収が大幅に上がれば回収が十分に可能。
そのほかの選択肢(海外のテック系大学院、ビジネスアナリティクス、コンピュータサイエンスなど)
もしIT・AI分野の専門スキルを身につけるなら、海外の理系大学院も有力な手段。
グローバル市場での「データサイエンス × ビジネス」人材は需給ギャップが大きく、高収入のポジションを取りやすい。
いずれにしても、中途半端な国内転職を繰り返すより、海外大学院での学習&現地就活のほうが“連続性を断ち切り、一気にレベルアップする”近道になりやすいというのが動画での主張です。
4. キャリアカウンセラーとしての補足アドバイス
自分の将来ゴールを具体化する
年収・ポジション・働き方など、5〜10年後にどうなりたいかを明確にする。
「ベンチャーで裁量を持って働きたいのか」「グローバル大手企業で高年収を目指すのか」で必要となる行動は大きく変わる。
連続したキャリアの延長に夢を見すぎない
「国内で今のまま転職すればスキルアップになる」という確証は薄い。
経験やネットワークが広がる可能性もあるが、本質的な“経営・マネジメント”能力が付くかは要検証。
海外MBAや大学院留学を検討するなら、早めに情報収集・英語試験をスタート
TOEFL、IELTS、GMAT/GREなど、準備には半年〜1年以上かかる場合も多い。
学費ローン、奨学金、企業スポンサー制度などの情報を早めに集め、費用面のハードルを下げる。
専門家や信頼できるメンターに相談する
キャリアカウンセラー、留学エージェント、MBAホルダーの先輩など、経験者から生の情報を得る。
転職エージェントの言う「すぐに監査法人へ」「コンサルがオススメ」という言葉だけで判断しない。
5. おわりに
小さなリスク・少しの努力で大きく成長しようとする方法は、実はどれも「キャリア地獄」の入り口であることが多い。
「USCPA→監査法人」「コンサル転職」「ベンチャー転職」「日系企業に留まり続ける」などは、短期的には“変化”があるように見えても、結局は大きなキャリアアップにつながらないケースが多いと動画では指摘されています。
本当に年収やポジションを大きく飛躍させたいのであれば、非連続なジャンプ(海外MBAや大学院留学など)こそが最短ルート。もちろんリスクや費用はかかりますが、その先に得られるリターンや市場価値向上は桁違いです。
将来にわたって自分のキャリアを守り、さらに成長させたいのであれば、ぜひ「実力を飛躍的に高める投資」を検討してみてください。早めに動くほど選択肢は増えますし、キャリア地獄に陥らず“連続性のない一段上”へ踏み出すことができるはずです。
参考:こんな方は要注意
何年も営業や一般事務を続けているが、全く専門スキルが身についていない
日系企業で働いており、実はプロジェクト計画や会計財務に関わる経験がゼロ
「何とかなるだろう」と転職を繰り返すが、実質的に年収やポジションがまったく変わらない
40代に入っても海外経験ゼロ・英語力が不安で、上司の指示通りに動くだけ
こうした状況に心当たりがある場合、遅すぎるということは決してありません。一度腰を据えて自分の将来ビジョンを明確化し、必要な学習や留学・転職戦略を立ててみてください。大きな決断であっても、その先に得られる恩恵は非常に大きいでしょう。
【キャリアカウンセラーからのメッセージ】
「地獄のルート」に足を踏み入れる前に、ぜひ専門家や経験者に相談し、ご自身の“最終的なキャリアビジョン”から逆算した行動を考えてみてください。海外MBA・海外大学院は勇気のいる投資ですが、グローバル企業で勝負するための“パスポート”になり得ます。
自分の人生を守り、さらに飛躍させるための一歩として、早めの情報収集と行動をおすすめします。悩んだらぜひキャリア相談へ——あなたの未来には、まだまだ選べる道がたくさんあります。応援しています。
参考文献