19世紀アメリカの音楽産業でちょっと気付いたこと
なんかの本とかで書いてあることかもしれないけど、いろいろ調べてて気付いたことだったので書いておく。
きっかけは一枚の写真だった。
検索してシートミュージックの表紙だったと知る。
↓ それがこれ
タイトルの下に"Music for a nation: American sheet music, 1820-1860"ってのは、このサイトでシートミュージックをまとめてて、そのリスト名みたいなものっぽい。
それでこのシートミュージックを眺めてたら"Created / Published Firth and Hall, New York"って書いてあることに気付く。
ニューヨークで印刷されてたのかーと思い"Firth and Hall"で検索をかけたらこのページが出てきた。
ここの解説によるとJohn Firthと義理の兄であるWilliam Hallが組んだ会社がFirth and Hallみたい。
その会社が作ったピアノらしい。
つまりは楽器を作ってるところがシートミュージックを印刷してたってこと。
蓄音機の会社がレコードを出してるのと同じことが行われていた。
考えてみればそれはそうなんだよなと思うけど、実例がでてきたので「うおお」ってなった。
その後のJohn Firthは1847年にHallと袂を分かって、今度はSylvanus Pondと組んだFirth and Pondという出版会社を作った。
Firth, Pond & Companyと名前を変えて再出発して、シートミュージックの出版を中心に経営されていたっぽい。
Stephen FosterやDan Emmettのシートミュージックも販売してたんだって。
(KFCのアレ)
(Fallout3のエンクレイブラジオでよくかかってた曲)
この会社ではブラックフェイス・ミンストレルでないのも売られてたけど、売れてたのはブラックフェイスものだったらしい。
ゴットシャルクの楽譜も出版してたんだって。
1850年代にギターの需要が高まり、自社ブランドのギターを販売したんだけど、その製作者として名前が出てくるのがChristian Frederick Martin。
あのギターのマーティン。
この頃はペンシルベニアに移ってたけど、C. F. Martin & Companyの創業は1833年のニューヨーク。
つながりがあったんかねぇ。
Firth, Pond & Companyのその後。
Firth, Son & CompanyとWilliam Pond & Companyに分かれる。
Firth, Son & CompanyはOliver Ditson & Company(こちらも音楽出版社)に買収された。
William Pond & Companyは1917年に消滅し、カタログはCarl Fischer Music(現在もニューヨークにある音楽出版社)に引き継がれた。
あくまで一例なので、これが当時の全ての音楽産業の構造だとは思わないけれども、これがニューヨークで行われてたって事実は何かしら20世紀にもつながるんじゃないかなぁと考えてしまう。
Library of Congressはアメリカ議会図書館のデジタルアーカイブ。
資料を探すといろいろ出てくるのよ。
蝋管レコードの音源も聴けたりかなり楽しいページなのでオススメ。
一枚の写真からいろんなことが分かったぞ。
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