禁酒法の本を読んだ
この本を読んだ。
ジャズエイジと禁酒法時代はほぼ同じ時代。
当然、禁酒法についての本なので当時の音楽について考える直接の材料にはならんけれども、当時のアメリカの状況を知るために必要な知識かなぁと思って読んでみた。
音楽に関して少し紹介されていた。
この本で紹介されてた曲(本では"Goodbye Broadway,Hello Montreal"というタイトルだった)。
週末にニューヨークからカナダへ酒を飲むのと買い付けに行く人を風刺した歌なんだとか。
ソプラノ歌手のジェラルディン・ファラーがカナダでの公演旅行の際に自身の所有する客車を列車につないで酒瓶をピアノに隠して帰ってきたというエピソードもあった。
(↑これは1909年録音)
禁酒法に関してイメージが先行しすぎてて、ちゃんと知れてなかったなぁというのが感想。
マフィア、もぐり酒場、捜査官への賄賂などなど映画やマンガやゲームの雰囲気だけで、ちゃんとした原因や過程は知らなかったので勉強になった。
成立するにはちゃんと理由があって「そういうタイミングだった」って感じ。
もともと「節酒」の考え方は植民地時代からあった。
第二次産業革命の経済成長で移民がヨーロッパからわんさか来て労働者がすごく増えた。
企業にとっては酒飲んでる労働者は能率が悪い。
酒場はギャンブルや売春の温床になってる。
そんな問題があったところに第一次世界大戦参戦でドイツへのイメージが悪くなり、ビール醸造業者がドイツ系移民が多かったので標的にされたっぽい。
中央集権化が進んでいたので州単位じゃなくて全国でいけるだろって最高に盛り上がっての禁酒法成立。
タイミングだ、ホント。
アメリカ史においては「国」「州」「都市」で考えないとごちゃごちゃになるという自分の考え方がある。
植民地単位だったものが州になって国になる過程がある国だし、国土が広いので日本に住んでる自分が考えてる国とは感覚が違うんじゃないかなぁと思ってて、音楽においても地域性が重要なんだと考えているんだけど、この時代だと階級もあるなぁと思った。
労働者と中流以上だと文化が違う。
もぐり酒場を利用できたのは中流以上だった。
そりゃ値段が高騰している酒を買えるのは金を持ってる連中だけだろう。
もちろん当時は人種隔離政策の真っただ中なので人種によっても違う。
なのでそれぞれの音楽文化があって公で交わったのが広がったのがスウィングだったのかなぁと考える。
スウィング以前の音楽ってジャズの本でもロックの本でも大きく取り上げられないのでこれからも勉強していこう。
ジャズエイジの本をもっと読まなければ。