見出し画像

ジャズエイジのジャズ

ジャズエイジの本を読んでたのだが、筆者のI Love NY自慢と若者いじりが酷く、読んでてイライラしたので途中だったが図書館に返した。

そういう古臭い考えをぶっ壊した時代なのになぁ。

なので今まで読んだ本とネットの記事などでまとめてみる。


ジャズエイジとはアメリカのだいたい1920年~1930年のくらいの文化を表した言葉。

『グレートギャッツビー』などで有名なフィッツジェラルドの『ジャズエイジの物語』(1922年の作品)から名付けられたっぽい。

この時代は「狂騒の20年代」「狂乱の20年代」「禁酒法時代」とも呼ばれる。

この言葉を見るとイカレた時代だったんかなぁという印象。


どんなことがあったか見て見よう。

テネシー州がアメリカ合衆国憲法修正第19条を批准する36番目の州となり、女性の参政権が認められた。

禁酒法が施行されるも、もぐり酒場やら密輸業者が横行し、ギャングが台頭していった(禁酒法の話は以前書いた)。

商業ラジオ放送開始。

無声映画が総天然色になり、音声付きの映画「トーキー」も生まれた。

アフリカ系アメリカ人による文学や芸術が発展して「ハーレム・ルネサンス」と呼ばれた。

若い女性のファッションが大きく変わり、丈の短いスカートやショートヘアー、濃いめのメイクが流行り、ドライブ、喫煙、飲酒、奔放な性交渉などを好む女性が「フラッパー」と呼ばれ、旧来のモラルをぶっ壊していった。

ゲイバーが公然と運営されるようになり、メイ・ウェストがゲイの権利に関する提唱を行った(30年代に保守的風潮が戻ると60年代まで不寛容になってしまった)。

リンドバーグの大西洋横断飛行。

ベーブ・ルースの60号ホームラン。

デンプシーロールでおなじみのジャック・デンプシーが世界ヘビー級王者になる。

クライスラービルの着工(完成は1930年)。

いろいろ起こったすげぇ時代。

第一次大戦でヨーロッパが疲弊しまくってたことと、第二次産業革命による大量生産でぼろ儲けしまくって空前の好景気だったのでアメリカの一人勝ち状態だったからってのが考えられる、たぶん。


ジャズエイジって名前が付いてるのでジャズが関わってるのは間違いないけれども、現代考えられているジャズとはちょいと違う。

1917年に主要レコード会社からリリースされて流行り始めたニューオーリンズスタイルのジャズを当時の人気作曲家が取り入れ、1920年代には都会的でオシャレな音楽になっていった。

当時の人気作曲家というのは、ジョージ・ガーシュウィン、アーヴィング・バーリン、ジェローム・カーンなど(この辺りのアメリカの作曲家ってクラシックの近現代扱いになってたり、ジャズになってたり。ガーシュウィンはほとんどのところがクラシックに置いてる)。

↑ 1920年代を代表し今でも聴かれている曲の一つでこれを挙げる。

1924年2月初演。


1920年代の音楽の話をする上で自分的には欠かせない人物がいる。

ポール・ホワイトマン。

日本語wikiが存在しない人物だけど、ジャズエイジにおいて非常に重要な人物だと思われる。

前述したガーシュウィンの『ラプソディー・イン・ブルー』の初演で演奏したのは彼のバンド。

グローフェの組曲『グランド・キャニオン』の初演も彼のバンド。

1920年代にヒット曲をガンガン演奏してたり、ラジオ番組のホストを務めたり大人気のバンドリーダーだった。

故に彼は"キング・オブ・ジャズ"と呼ばれていた。


1920年代のジャズといえばサッチモやエリントンでは?

確かにそう。

ジャズというジャンルが黒人やクレオールがルーツであり、現代までの影響を考えるとホワイトマンがキングであることに違和感がある。

しかしそこは、この時代がどんな時代だったかを考えると明らかなのよ。

「分離すれど平等」ってのは1896年のプレッシー対ファーガソン裁判での判決。

それから1964年の公民権法制定まで、人種差別は合法化されていた。

人種差別は南部では特に厳しかったけれども、北部でも差別は普通にあって、黒人と白人が隔離されているところがいたるところに存在した。

なので当時のメインストリームとされる音楽は白人向けに白人がやってたものが主流だった。

実際にジャズ史上初のメジャーレコード会社からのリリースであるOriginal Dixieland Jass Bandは白人バンドだ。

白人と黒人が同様の評価がされることが無い時代だったということは、この時代の音楽について考える時に考慮すべきところだろう。


この時代で人気を誇ったシンガーの一人にアル・ジョルソンがいる。

世界初の長編トーキーかもしれない『ジャズ・シンガー』の主演をやったので、彼も当時の観点からするとジャズの人だった。

彼が現在評価されないのは今日では差別的表現とされるブラックフェイスの第一人者だったからだろう。

『ジャズシンガー』もクライマックスがブラックフェイスなので現在は評価されることはないだろう。


今は1920年代のジャズはサッチモやエリントンのよる部分が語られているけれども、当時の概念としてはブロードウェイを中心に活躍してた作曲家たちの音楽って白人たちの間ではそんな感じだったんじゃないかなぁと思う。

現代とは違う意味のジャズの時代。

そんな狂騒の時代は1929年の世界恐慌でおしまい。

でも音楽文化的にはジャズがそのまま続いてスウィングの時代になっていく感じ。


長い記事になるのが嫌なのでサッチモやエリントンの話は専門で聴いてる人の方が詳しいと思うからいいや。

1920年代、いろんなことが起こりすぎてどうまとめていいかわからんくなった。

とりあえず白人側のジャズの話をちょっとしたって感じで。


今回も参照しまくった本

Wikiの記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?