そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第1章 旅立ち編 1】
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目覚めよ……
お前の眠りの時は終わった
恐れることなど何もない
お前は選ばれし勇者なのだ
この先、数々の試練が待ち受けているが、そのすべてを乗り越える力を、お前は持っている…
今こそ、長い眠りから覚め、新たなる運命の扉を開く時だ
さぁ勇者よ、今こそ目覚めよ……!
ガシャァアアッ!!
【マサアキは目覚まし時計を叩き壊した!】
ーマサアキの自室ー
またか…毎日飽きもせず良くセットするものだ。この目覚まし
『め…目ざ…目覚…めよ』
目覚めてるよ全く…健気で泣けてくる
ドタドタ…ガチャン!
【部屋のドアが勢いよく開かれた!】
「ちょっと今の音!……あ"ぁァァァァまーた壊したわねあんた!」
勘弁してくれ母さん、来る日も来る日も目覚めよ目覚めよってなんか痛いんだよこの時計
悪い、紹介が遅れたな
俺の名前はマサアキ
正真正銘平々凡々、至って普通の人間、確かにそのはずだ
けど…
「何言ってんの。勇者であるマサアキにとってはうってつけじゃない」
そう、この村の人達はみな一様に俺を勇者扱いする
勿論親父が伝説の英雄であったり、俺自身が古代勇者の血と繋がりがあったり、選ばれし者であったりという事実根拠もない
言ってしまえば本当にただの村人Aだ
「あ~あ~これで何体目よ…壊したの」
俺が今18で8歳の時からだから…約3650体だな
「よくもまぁそんだけ壊してくれたね」
よくもまぁそんだけ用意してくれたよ…
続きだ、村人は皆俺を勇者と崇め称える
うん、それはいいんだ、まぁ百歩譲ってな、べつに悪口でもないし
問題は…
「まぁいいわ。それはそうと朝ご飯出来てるからさっさと食べちゃって、それか魔王を倒しに行くか選びなさい」
これだ
小さい頃から俺はこのように理不尽な二択を様々な人から強いられてきた
昔はよかったなぁ…まだ思考の余地があったから
このまま世界の終わりを待つか魔王を倒しに行くか選べとか
この世が人の悲しみや恨みで溢れかえるのが良いか魔王を倒しに行くか選べとか
お前を崇拝している者達の期待を裏切るか魔王を倒しに行くか選べとかね
それが今や、この有り様
「あ~そうそう、今日の朝食で卵切らしちゃったから後でお使い頼んで良いかしら?それか魔王を倒しに行くか選びなさい」
卵を調達する ◀︎
魔王を倒しに行く
「そう、じゃあよろしくね」
なんだこの二択
そもそも、なぜこんなことになったのかその発端は10年前に遡る
俺の生まれた村、ドミリアという農業が盛んなド田舎なのだが
そこでは年に一度村全体で行われる腕相撲大会がある
村屈指の力自慢ばかりが集まる小さな村にしては中々の規模の催しだ
それに当時八つだった俺も少年の部で参加
その頃から父の仕事の手伝いをしていたこともあり、腕力には自信があったため見事優勝
たくさんの歓声が俺に集まった
以来……
僕はずっとそうなんです
それから10年間……10年だぞ?
ずぅ〜〜〜〜っと続いている
バグってんのかこの村
一時のテンションで勇者に祭り上げたのならまだしも
何を10年間も引きずる必要がある
いい加減にしろよアホ共
勇者じゃねーよ俺
………話を戻すがそれからだ
不必要な二択を問われるようになったのは
選択を一つでも間違えば、俺はここを半ば強制的に追い出される
それは嫌だ、俺は平和に暮らしたい
くそ、あのとき優勝しなければこんなことには…
つーか誰だ最初に勇者とかぬかしたやつ
魔王討伐には死んでも行かないが
そいつを探しだし、討伐する旅なら行ってやる
口振りから察するに老人のようだったが…
関係ない、捻り潰す
……さて、ここまでが今の俺の立場とその成り立ちになる
次に、この世界の魔王についてと言いたいところだが……それはまぁ追々話すとしよう
「勇者~ご飯だってば!」
名前で呼んでくれ
とりあえず朝ご飯でも食べるか…
〜To be continued〜
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魔王を倒しに行く
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