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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第2章 謎のシスター少女編 2】

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ー魔物管理部門植物タイプ 養成所 エリア2ー


「いや~流石に魔界の全ての植物が収容されている養成所は広いですね」


「さて、ではここら辺かな」


なんだ?マスターキーの出番か?


「そんなあからさまに帰りたがらないで下さいよ。せっかくゼジル様のためにこのフロアを貸しきったのに」


ではなんだ


「餌です餌。先程この部門の担当からまだこの辺りはやっていないからと連絡を受けたので代わりにと…」


「……あ、そうだ!ゼジル様もあげてみますか!?」


いや、我は全然大丈夫


「い~やあげてみましょう!自分の手で餌を与えればおのずと愛着も沸きます。これで魔界の花が好きになるきっかけを作るのです!」


……餌をあげれば我でも好きになれるのか?


「はい!きっと!」


むぅ……


…では少しだけ


「ゼジル様……!」


「はい!ではこれを!」


【ゼジルは???の死骸しがいを手に入れた!】

【ゼジルは???の死骸を投げ捨てた!】



「ちょお!?ゼジル様どういうおつもりですか!?」


お前こそどういうつもりだビビッド、嫌がらせか?


反射的に投げ捨ててしまったぞ。あれ何の死骸だ


「何って…頭が六個に別れた鼠の魔物、ムツマタオオネズミですけど」

ムツマタオオネズミ


気っ色わる。ふざけるなよ


仮にも植物がそんなもの食うわけ無かろう


「そんなこと言われましても、これが餌なのだから仕方無いではありませんか」


バクン…!
【ビビッドは魔界の植物に餌をやった!】


っ!?


「ね?」


違う…こんなの植物じゃない


だから魔界の花は嫌なのだぁ…


「ではゼジル様、改めてどうぞ」


や…やっぱり我はいい、遠慮しておく


「何事も経験ですよ。はい」


【ゼジルはムツマタオオネズミの死骸を手に入れた!】


うぇぇ…何で我がこんな目に




「───ふぅ…ゼジル様助かりました。お陰で早く終わりましたよ」


そうか、ではそろそろおいとまするとしよう


「またそんなこと言う…どうにもハマりませんねゼジル様、餌やったのに沸きませんでしたか愛着?」


沸くかあんなもの、ただの罰ゲームではないか


「罰ゲームじゃありませんよ…あれがれっきとした餌やりなんです」


そもそも餌やりってなんだ、動物園じゃあるまいし。水だけでは駄目なのか?


「魔界の植物は植物である半面魔物です。なので水分だけでは生きていけません」


「しっかり三食決まった時間に餌を食べなければ栄養不足で枯れ果てます。我々と一緒ですよ」


いや我は少なくとも死骸なんか食わんが




「さて、それでは次は」


おい、まだ行くのか?もういいぞビビッド


いくら見て回っても我は……ん?


「どうかなさいました?ゼジル様?」


あれ…何て言うのだ?

「あぁ…あれはリモアといって魔界の植物の中でもとりわけ小さい花です。主に水際に生息してます。あれがどうかしましたか?」


まるで人間界のチューリップに似ている。可憐かれん


しかし何だか元気がないな


「あ、本当だ…我々で言うと顔色が悪いというか朝から何も食べてないってオーラを出していますね」


おいビビッド餌だ!ムツマタオオネズミの死骸を我に!


「えぇ!?ちょっと待って下さい!区間毎に与える餌というのは決まっていてリモアがムツマタオオネズミの死骸を食べるかは分からないんですけど」


構わん、時は一刻を争うかもしれん!


物は試しだ!ムツマタオオネズミの死骸を食わせよう!


くっ…他に言い方が無いのが実にもどかしい!




【ゼジルはムツマタオオネズミの死骸を手に入れた!】


さぁリモアちゃん…これを食べるのだ。ぐふふふ…


「場合によっては拷問に見えるなこれ…」


バクン…!!
【ゼジルはリモアに餌をやった!】


食べた…!食べたぞビビッド!


「えぇ…これで元気になると良いですね」


《キェェェェェ!!》


むおっ!リモアちゃんがしゃべった!!


「驚きました?魔界の花ならば良くあることです。ありがとうって言っているのではありませんか?ふふふ…」


そうなのか…品が無くなるから止めた方がいいぞリモアちゃん?ふふふ…


《キシャアアアア!!》


【リモアは体液を噴射した!】

【ゼジルは96のダメージを受けた!】


「ゼジル様ァァァァァ!!」


「大丈夫ですか!?お怪我は!」


目が…我の目が痛いの…


「あぁ…シャンプーの泡が目に入った子供のようになんて弱々しい返答だ」


リモアめ…恩を仇で返すとはこの事か、まさか突然得体の知れない液体を顔にかけられるとは思わなかった


ははは……いつもこうだ、悪い事をしているわけでは無いのに最終的にいつも我がダメージを受ける


いっつも!いっつもこうだ我の人生!エヘヘ…


死のう


「気の毒ですけど落ち着いてくださいゼジル様!」


「そんなことよりこれタオルです!早くお顔を拭きましょう!」


うむ、すまない…


「こちらお水です!即刻目も洗って下さい!変なバイ菌でも入って腫れたりしたら大変なので!」


あぁ、ありがとう


「それでどうしますか!?まだ奥に行きますか!?」


行くわけないだろう


何心配している流れで更なる危険地帯に連れていこうとしているのだ


「わかりました。では少し休みましょうか」


………


「やはりまだ魔界の花はお好きになれませんか」


愚問だ。今の惨状を見てなかったのか?


むしろさらに嫌いになった


「……マジですか」


マジだ


「はぁ…」


む、何故そこでビビッドがため息なのだ


「私はゼジル様の側近として苦手な物は出来るだけ克服させたいと思っているのです。魔王に弱点などあってはなりませんから」


我苦手な物いっぱいあるぞ


「だからですよ。今回もまた克服させる事が出来なかったと思うと頭痛がするんです」



「ゼジル様、苦手な物があるのはこの際仕方ありません。あなただって元は一介の魔族ですもの」


「しかし…魔王となったからには人間界を支配していくため、少しずつ自分の弱い部分とも向き合って改善していかなくてはなりません」


ふむ、弱い部分…


「そうです。今回の事も勿論ですが、臆病な所などもね」


でも我最近人間界の虫は素手で掴めるようになったぞ


「すごいじゃないですか!」


クックック…驚いたか?


「えぇ!どちらかというと今まで掴めなかったという事実の方に」


「けどそういう事です。昨日の自分より今日の自分に一つでも勝るものがあればそれは強くなっている証拠」


「それの繰り返しが世界征服に繋がるのです」


そうか


よし、では今度はカエルを掴めるように頑張ろう


「あの…しかし何でも掴めるようになれば良いというわけではありませんよ?」



「では話も軽くまとまった所でもう少し進んでみましょうか」


え、行くのか?


「もうそろそろ最深部です。ここまで来たら行ってしまいましょう」


う~む…


「それとここの一番奥にどうしても見せたい花があるのです。お願いしますゼジル様」


かわいらしい奴なんだろうな?


「それは保証しかねますが、我々魔族が長年重宝してきた大切な花です」


ー養成所 最深部ー

ほぁ~……ここだけ何か雰囲気が違うな


薄暗い上に花も1つしかない


「そうですね。ここは特別なので」


して何なのだ?この花は?


だいぶ大きいな、花と言うよりは木に近い


「この花はメイリン、我々の命とも言える花です」


命?


「はい」


「我々がこちらの人間界で生きていくには体を顕現けんげんさせるためにマギアが必要なのは知っていますよね?」


あぁ、マギアが無くなると体を形成出来なくなった魔族は消滅してしまうのだろう?


我は一度使いすぎて半透明まで行った事がある


「前代未聞の七重結界の時でしたっけ?ゼジル様皆から止められたのに1日1層壊されても一週間も持つ!安全!とか変に力説してぶっ倒れましたよね」


「あの時ばかりは我が野望もここで終わると思いました」


うむ、あれは危険だった


やはり結界は五重に限ると改めて思ったよ


「五重も大概だと思いますけど」


「すいません、話がこじれてしまいましたね。それでこの花は絶えず大量のマギアを放出し、我々魔族の体内からマギアが枯渇してしまわないように還元し続けているんです」


「我々が安心して魔力を使えるのもこの花の恩恵があってこそなのですよ」



なるほど、頑張り屋さんなのだな


「そうです。少しは気に入って頂けましたか?」


少しだけな、この花に関してのみだが好きになった


「今はそれで十分です。ありがとうございます」


では、もしこの花が枯れてしまったら大変だな


「そうですね。もしそうなった場合は皆仲良く消えて無くなり我々魔族の負けです」


「さしずめタイムオーバーと言った所でしょうか」


怖いことを言うなビビッド



少しチビったぞ


「でも本当の事ですよ。わばメイリンは我々の心臓部ですから、止まってしまっては終わりなんです」


皆死ぬのか?ビビッドも?


「勿論、仮の話ですが」


我…そんなの嫌だ


「私だって嫌です。そうならないためにも今は少しでも早く人間界を征服しここをもう1つの魔界とするために頑張らないといけないんです」


けど我征服それもできる気がしない…


「一人では当然です」


「しかし我々には仲間がいます。皆で力を合わせればきっとやれますよ!ですから自信を持ってください」


ビビッド…正義の味方みたいだな


「何言ってるのですか。やろうとしてる事は世界征服なんですから、それを言うなら悪の味方です」


ふむ…それもそうだな。すまん


「それでは戻りましょうか、一番奥まで来た事ですし」


このメイリンのお世話はしなくて良いのか?


重要な植物なのだろう?


「メイリンは極めて稀有けうな植物でして、他の花には無い知的能力を持っています。故に自己管理も自分でやってしまうので必要ないのです」


そうなのか?でも…


「…?…どうかしました?」


いや、少しくたびれているような気がする


我々でいうと働きすぎみたいな…


「そうですか?私には分かりませんが…」


…ふむ、我の気のせいか…


「行ってしまいますよゼジル様~」


待ってくれ


………治癒ちゆ魔法、ヒアリス!


【メイリンは回復した!】


あまり、頑張り過ぎるのもいかんぞ。たまにはサボる事も覚えるのだ


あ…しかしメイリンがサボったら我々が危ないのか……うーむ



程よくサボるのだ。いいな?


「ゼジル様~?先に出てしまって良いんですか~?」


そしたら我が出られなくなるだろう


置いてきぼりにするな


〜To be continued〜

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