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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 14】

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ー修道院 食堂ー

食堂


マサアキ    グリル     リリアル
HP 63     HP 53   HP 57
MP 0       MP 9     MP 0
LV.9         LV.7       LV.8


「あっはっはっは!それじゃあ…ヒック…っ!もう一軒…行ってみましょうん…!?ヒック…!」


【マザーは大いに酔っ払っている!】


あんたにはがっかりだよおっさん…ベロッベロじゃねぇか

村が落ち着くまで酒飲まないんじゃなかったのかよ


「大丈夫よっ!!!」


わ、声でかっ


「これ……弱いやつだから〜ん……!」


今度はちっちゃ

お手本みたいな酔っ払いだな


キャッキャッ
【シスター達も皆、酔っ払って盛り上がっている!】


「いっきますよ~!?神様だーれだ!」

「あー!?またハズレです!」

「ぬぐぐ…!私も!悔しいです!」

「仕組んでませんか!?仕組んでませんよねこれ!?」

「仕組んでませーん。公平な神による選択でーす」


何であっちのシスター達も酔っ払ってんだ?まぁまぁ出来上がってんな……

もう殆どシスター達による宴会だぞ

収拾つかなくなる前に、そろそろお開きにした方がいいんじゃねぇか?リリアル


「…………」


リリアル……?


「……はぇ…?…」


はぇ?


「…何ら言いまひたか?…マニャニャキさん…」


何でお前まで酔ってるんですか?

呂律ふにゃふにゃだな、マニャニャキさん?


「……すいまへん…酔っはらってるふもりは……ひっく…!…」

「…おみじゅ……とっれきまふね……」

【リリアルはフラフラと席を立った!】


おいおい…マジか、まともなシスターいねーのかよこの場に…

普通ゲストを差し置いてこんな遠慮なしに酔えるか?

一体どんな神経して……

……ん?


【マサアキはテーブルの上を調べた!】

【酒を手に取った!】


何だこりゃあ?あっちにもこっちにもジュースに紛れて大量の酒が並んでるじゃねぇか!それでか!

誰だよこんなん置いた奴!紛らわしいだろ!


ガバッ
【ノエラはマサアキの肩を組んできた!】

うおっ…と!?


「き〜み〜細かいことは気にしなーい。器の小さな男になるよ〜?」


あ〜…えっと、ラノエさん?


ノ、エ、ラ、ちゃんと覚えてよ〜」

「でももう、何でもいっか!あははー!」


例によって、この人もだいぶ酔っ払ってんな…酔うとフランクに絡み酒してくるタイプだ

んでやらかして次の日、自己嫌悪に陥るタイプだ。たぶん


「何か気になる事でもあったー?」


いや……なんか全体的に弛緩しきってるけど、大丈夫なんかなと


「あ〜……う〜ん、でもここ最近みんな張り詰めっぱなしだったからね〜。ストレスも多かっただろうし、許してあげてくれるかな?」

「特にリリーなんかは、人一倍責任感も強いから。魔族が村に押し寄せて来るようになってから、大して休んでもいないみたいだし」


責任感強いって……少し気になってたんだけどよ

何であいつばっかり、そんなに頑張るんだ?

言っても村全体の問題じゃねぇか、もっとみんなで結束して、とかさ


「……メリエルさんって、今はもう亡くなっちゃったシスターが居たんだけど。それに関して何か聞いてる?」


あ〜、まぁ名前くらいは…

リリアルの母ちゃんだろ?


「そうそう」

「私も当時小さかったから聞いた話になっちゃうけど、難産というか…結構厳しい出産だったんだってさ。それでリリーを生んだと同時に……ね」

「体自体はそんなに強くなかったみたいだけど、今のマザーに負けないくらいパワフルで、強くて気高い、そして何より美しいシスターだったって」

「ラスンの太陽だなんて言われて、みんなの憧れだったらしいよ」


へぇ〜…


「あと何を隠そう、リリーと見た目が超そっくりなんだって、そりゃあ親子だから似るのも自然なんだけど」

「でもね……だから悪気なんて一切無いままに、村の人たちは無自覚に期待してしまうの……中には生前のメリエルさんを信者のように扱う人もいてね。リリーを彼女の生き写しだーなんて言ってさ」

「メリエルさんがいかに偉大な人だったかって話には、枚挙にいとまがなくて」

「ある人は他人を慈しむその慈愛を、ある人は皆を率いるそのカリスマ性を、またある人はシスター然としたその振る舞いを、小さい時から熱弁するようにリリーに言い聞かせてきた」

「まるで、あわよくばリリーにもそうなって欲しいという願いを込めるようにね」


………


「だけど、基本何でもそつ無く出来たメリエルさんに対して、リリーは弱く、不器用だった」

「炊事洗濯は平均以下で、お裁縫もやれば血の海。虫も苦手で農作物の害虫駆除なんて以ての外」

「それでも、彼女と引き換えに生まれて来た自分はくあるべしだと、どんなことでも必死の思いで克服してきた。物凄い努力の上でね」

「その延長が今って感じなワケ」


だから多少の無茶をしてでも、やり遂げようって意識が強いのか…


「うん、それが時々行き過ぎて心配にもなるけど……リリーは村の人たちに対して、そうしてでも期待に応えたいと心から思ってる」

「だから…私達も、そんなリリーを尊重するの」

「今のラスンには、それこそ太陽みたいな人が必要だから…その想いを叶える手助けをしてあげたい」

「それが、私達シスターズの願いなんだよね」


……そっか

凄いなあんたら、なんだかんだ立派だよ


「へへ、ありがとう」

「はぁ〜、酔っ払ってるからかな。少し話し過ぎちゃったかも」

「今話したことはリリーには内密にね。多分あの子、そこに関して気遣われるの嫌がると思うから」


あぁ、分かった


「だから、ズルでしょう!さっきからあなたばかり神様じゃ無いですか!」

「そうですそうです!私達も神となってお告げする方をやりたいです!」

「難癖つけるのはやめてください。そんなあしき心をお持ちだからあなた方は神に選ばれ無いのです」

「つ、ついに言いましたね!表に出てください!」

ギャイギャイ…!
【シスター達は揉めている!】


「さーてと!じゃあ話もキリ良く終わったところで、そろそろかなー?」


あぁ、一回仲裁してくるんだな。騒然として来たし


「いや、トイレでめちゃめちゃ吐いてくる、実はずっと気持ち悪かったから…」


具合悪かっただけかい

結局あんたもそっち側なのかよ、一番マシかと思ったのに

返せよ、俺の労いの言葉


「ノエラさん!あなたもゲームに参加してこの者に鉄槌を下してください!」

「ギロチン!ギロチンの刑を所望します!」


「ごめーん!ちょっと吐いてくるー!裁くのはその後でいいかなー?」


これ本当にシスター同士のやり取りなのか?





ー40分後ー


グデ〜ン…
【シスターの大半が潰れている!】


「……ズル……らめれす…」

「あはは〜……」

「…わたしも…神様に………」


全員ものの見事に泥酔してるじゃねーか…

一応俺らのおもてなしだろこれ?何つー絵面だ


「マサアキおいら…もう食えない……ZZZ」


こいつも食って寝て、自由だな…

つーか…まさかお前は飲んでないだろうな?酒


【マサアキはグリルの様子を調べた!】


酒の匂いは…しないな


「…みじゅ……あれ?…みんな寝てる…」


リリアル…

お前、水取りに行って戻ってくるまでにどんだけ時間かかってんだよ…


「…マニャニャキさん…」

「…すいまへん……すいまへん…」


いや、別に謝んなくていいけどよ…


「…いえ…もっろしっかりしなきゃれすね…」


…………


なんか俺…お前の考え方、あんま好きじゃねーかも

第3章 第7話より


……ごめんな、リリアル


「……はぇ?…」


……!あ、いや…

もしかしたら俺、事情を知らずにお前を傷つけるような事言っちまったかもって…


「……何の事れふか?…」


………ま、今のお前に言ってもしょうがねぇか…





「────皆さん大変っす!!」


ん…?

何だよそんな大慌てで、どうしたウマオさん?

言われなくても皆さんは大変だよ。すでに


「いや違くて、魔族が…!たった今バミラがラスンに訪れたとのことで村人から報告があって!」

「しかも、何やら憤っている様子で暴れているらしいんす…!」


はぁぁぁっ!?

傭兵仕向けたんじゃなかったのか!?どういう事だよ!?


「いや、自分にもさっぱり…!とにかく村の方が大変で…!」


そんな事言われてもこっちの状況だってどうしようもねぇぞ!


「んん!?バミラが来たですってん!?」

「じゃあ私の御加護ラリアット(乙女)で一泡吹かせるしか無いわねん!?」


一泡吹かせるしか無いこと無いわ!おっさんはヘタに表出んな!

そんな状態で行っても相手をさらに刺激して終わりだぞ!


ダッ…!
【リリアルは勢いよく駆け出した!】


………!リリアル…!


ゴッ!
【そのまま勢いよく壁に激突した!】

【リリアルは6のダメージを受けた!】


……ちょ、お前!大丈夫か?

フラフラに酔った状態で全力疾走するなよ、あぶねーな


「………もう…」


……!


「……これ以上何も…ラスンから奪わないでくらさい……」


リリアル……


「マサアキさん!どうするっすか!?悠長にしている余裕はないっす!」


俺が話をつけてくる  
無理せずに修道院で待機だ


「…私達の村は皆で協力し…一から村を興してきたため…絆も深くとても仲良しなのです…一人だって犠牲を出したくはありません…」

第2章 第8話より


…………くそ…!


俺が話をつけてくる  ◀︎
無理せずに修道院で待機だ


「え…話つけてくるって…どうするつもりっすかあなた!?」

「無茶ですって!何されるかわかりませんよ!?」


だからといって、このまま野放しにもしておけないだろ


「で、でも…やっぱり村の人達に任せた方が……」


あんな弱りきった人達に相手をさせとけるか、子供だっているんだぞ

分からんけど…なんとか上手くやってみる

ウマオさんはこの堕落シスターズの管理を頼む。変なことしないように見張っててくれ!


「……分かったっす。ただくれぐれも気をつけてくださいよ」

「歯向かおうなんて、絶対に考えないでください」


はは…!誰に言ってんだよ。当たり前だろ

じゃあ行ってくる!


【マサアキは食堂を後にした!】




【リリアルは暴れている!】


「ちょお!リリアルさん落ち着いて!暴れないでください!」


ガッ!
【振り払った腕で水の入ったコップを倒した!】


バシャァァァ…!
【コップの水がグリルに直撃した!】


「──うわっぷ…っ!?……な、なんだ!?」

「誰だ!おいらにひどいことする奴!」


キョロキョロ…
【グリルは周りの様子を調べた!】

【グリルは食堂の窓から勢いよく修道院を出る人影を見つけた!】


「………マサアキ?」



〜To be continued〜

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