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かわら版No.65 よねざわジャポニスム

日頃よりお読みいただきありがとうございます。

9月は連休も多く、残暑厳しいものの、初秋、行楽日和、米沢のまちもさまざまなイベントで賑わいを見せています。海外のインドネシアでも、米沢藩家老の直江兼続の愛の兜(武禘式保存会)が海を渡り、とても人気を博したとのことです。

先だっても、上杉神社稽照殿(宝物殿)が管理するかの有名な上杉謙信公の白頭巾が修復に出され話題となりましたが、米沢においては、米沢藩上杉家は、米沢のアイデンティティの一つではあることは疑い得ません。

私も、今年は3月の着物議会の他、着物や浴衣を着る機会が2回ほどありました。着物文化を残し、できれば日常空間に、米沢のまちの空間に、「米沢って、米沢の人って、普通に着物着てるよね」と言われるぐらいになれば、米沢のまちの雰囲気も、景観も、観光客の視点も、変わってくると思うのですが、皆様はどのように思いますでしょうか。

もちろん、現在では、着物も現代的となり、着物の着こなしについて、前衛的といいますか、とてもオシャレな文脈での発信がなされています(僕も、最近米沢の米織関係の女性社長に教えていただきました)。また、山形市では、「やまがた舞子」として、踊りや唄・三味線など日々稽古しながら、山形芸妓と共に料亭のお座敷、宴席をはじめ、国内外の観光イベント、キャンペーンにも出演して山形の観光の顔として活躍しています。

さて、英語ではジャポニズム(Japonism)、仏語ではジャポニスム(Japonisme)とされますが、ジャポニスムは、フランスで言われるようになった19世紀後半にヨーロッパで流行した日本趣味のことです。当時浮世絵の影響を受けたゴッホやモネの逸話はあまりにも有名ですが、今日では、“新ジャポニズム”とも呼ばれ、世界中で“日本趣味的なもの”として人気を博し、文化はもちろんマーケットとして日本経済を牽引するほどの成長分野となりました。特に日本アニメは、経済はもちろん、芸術・アートにおいても大きな価値と可能性があると言われています。

ここ山形でも、1991年創立された東北芸術工科大学の努力により、地域に芸術・アートの根が張り、芽が出て、花開き、いま現在その卒業生たちが地域はもちろん、日本各地、世界で大きな活躍をしています。現在公開中の劇場アニメ「ルックバック」を観て驚きましたが、芸工大も舞台、作品完成度・クオリティの高さに、今世界は騒然としています。原作者は、言わずと知れた大人気漫画・アニメ「チェンソーマン」の作者の藤本タツキさんで、東北芸術工科大学美術課洋画コースの卒業生です。

わたしたちのまち米沢でも、伝統的ジャポニスムから新ジャポニズムまで、ジャポニスムによるまちづくりを積極的に取り入れていくべきだと思います。そのような意味では、今年5月に公開された米沢が舞台の長編アニメーション映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」や、今年予定される第一回よねざわ戦国花火大会は、よねざわジャポニスムの一つの試みになるのだろうと思います。

また、再帰的には、法制分野の先駆的な試みの一つは、平成27年10月1日に施行され、現在では米沢ではおなじみになっている「米沢市地酒による乾杯を推進する条例」、通称「おしょうしな乾杯条例」は、米沢の歴史文化、日本的趣味をわかりやすく法制化し、米沢市民の生活の一部までに浸透したジャポニスム的政策と言えるのではないでしょうか。

今後は、例えば「米沢市着物による地域振興を推進する条例」、通称「よねざわキモノ推進条例」などがあっても良いと思います。また、上杉神社周辺はじめ伝統建築物の修復・保全や修景についても本格的な議論が待たれるところです。

経済、文化、芸術、観光、外交など、さまざな可能性をよねざわジャポニスムとして再構成して推進・強化していくことは、これまでの米沢の歴史文化に親和性が高く、このまちの個性を引き立たせていくことなりますし、若者文化との接点として、保守的なまちに先駆的・前衛的な側面を付加する機能になると思います。

よねざわジャポニスム、の可能性を考えていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

かわら版No.65


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