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ねこのこと⑤

●『草木も眠る丑三つ時に』

どこからともなく音がする。


カツンッ……




カツンッ…… 


寝ていた頭に届く音。


カツンッ……


怖い。
怖くて目が開けられない。



カツンッ……

〝何か〟が床にあたっている?
完全にハッキリとした頭で、しかし目だけはしっかり閉じていました。
目を開けた瞬間〝何か〟を目撃したら怖い。4時44分だったら怖い。
とにかく良くない事ばかりで怖い。


カツンッ……     カツンッ……


止まない音。

音はどうやら廊下から聴こえてくる。
部屋の扉を開ければすぐ廊下。開ければ音の正体がわかるはず。

しかし開けた瞬間に〝何か〟を目撃したら怖い。それがとても大きかったら……怖い。
とても小さかったら……怖い。
とにかく良くない事ばかりで怖い。

しかし起きて扉を開けなければ。

しかし怖い。

いやしかし……
頭の中がしかしではち切れそうになった時、
しかし気になる。という事で私は腹をくくりました。
えいやッ!と、目を見開く私。
何もいません。
こうなればもう勢いのままです。
えいやッ!と、ベッドから起き上がり、
えいやッ!えいやッ!と、大股で扉まで行き、
えいやああーッ!!!!と、扉を開けました。

わたしが目撃したものは

〝洗濯バサミ〟

見れば床にたくさんの洗濯バサミ。

廊下の収納スペースに置いてある洗濯バサミを入れたカゴ。少し高い場所に置いてあるその横で、ソメ(夜は目が可愛いくなる)がちょこんと座っています。

しばらく目が合っていましたが、ソメは何も無かったかの様にカゴの中に前足を突っ込み、洗濯バサミを一つ掬い上げては、落とす。
カツンッ。
一つ掬い上げては、落とす。
カツンッ。
それを繰り返しています。
夢中です。



猫はかわいい!
お化けは怖い!

本当に怖かったのでやめて貰いたい!



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