『斜陽』『乾物屋』『鉛筆』
ダエーバイト帝国の斜陽期、ある種の乾物が帝国の裏に出回っていた。反乱と戦争で滅びた帝国である以上、斜陽期とは爛熟期に等しい。いずれにせよ、奴隷の苦役と闇の魔術で成立していたその帝国にとって、その乾物はなんということもない異物に過ぎなかった。
月が照らす夜、霧深い日。ダエーワの女、ロヴァタールは寝室にてその乾物に魅入られていた。乾物は彼女らダエーワにとって呪術の触媒となる。特に、より濃い呪いを纏った乾物は特上の触媒であった。未来においてユーラシアと名付けられる大陸、その頂点