物欲の系譜2 1ダースのuni(三菱鉛筆)使えなかった思い出
1966年 その鉛筆が我が家に来た。三菱鉛筆ユニである。父が買って帰ってきた1ダースのプラスチックケースは、本当に輝いて見えた。父は、翌年に小学校に入学する私に、ずいぶん早めに鉛筆を買ってきた。ケースの中の鉛筆の軸は、鉛筆といえば、緑か黄色というイメージを超えていた。落ち着いたあずき色に似た色で、子供心にも、なんて素敵だと思ったことを覚えている。
のちに、ハイユニが誕生するが、このユニは、自分にとって、鉛筆は、こいつが1番だと思わせてくれたものであった。
そして、この高級ということが、自分にとって、これは、使うのでなくて、飾っておくものだという思いをおこさせた。そうつまり、使わずに取っておいたのである。どれくらい。50年以上もの間、私の文房具箱の中で、大切にしまわれていた。
同梱の消しゴムは、全くの時代遅れとなってしまった。プラスティック消しゴムでなかったあの頃のうすネズミ色の消しゴムだったからである。
今、この鉛筆は、私によって使われている。50年以上前の鉛筆でも、しっかりと書けるのである。芯も漆黒の色を、心地よく紙の上にのせていく。
では、小学校入学の時には、筆箱には、どんな鉛筆があったのであろう。たぶん、軸が緑色の鉛筆だったと思うのである。こちらが、普段使いだから。
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