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好きな映画(ネタバレ有り)

今回は、ゆるくアツく映画について書きます。
「好きな映画」と言うタイトルですが、別に厳選したわけもなくパッと思いついたものです。
ちょいとネタバレする箇所もあります。
そこら辺あんま配慮してないので、地雷原を歩く気持ちで読んでいただければと思います。

基本洋画です。
あと順番とか特に決めてないので時系列はバラバラです。
そして、低評価を否定するアイドルファンみたいなことをします。

◉1つ目!スタンリー・キューブリック監督『時計じかけのオレンジ』

時計じかけのオレンジ

三回ぐらい見ました。正直、一回目は前半面白いけど、後半退屈だなと思いました。しかし、二回目、三回目と見るうちに映像の美しさ、音楽に魅了されていき、虜です。
この映画は、オープニングの場面が割と話題になりますが、自分はラストが好きです。
そして、全体的にコミカルでぶっ飛んでるのですが、実際にそういった世界があり、その世界の現実を切り取っているような自然さを感じます。
この架空を現実的に見せるのはキューブリックや黒澤明あたりが上手いんですよね。
そして、構図。
キューブリックの作品はどこを切り取っても絵になりますよね。(私の感想ですが)
カメラワークによる俳優と環境の相互作用をフィルムブロッキングというらしいですが、下の動画はキューブリックの構図へのこだわりを解説しています。


◉2つ目!アリ・アスター監督『ミッドサマー』

ミッドサマー

こちらは、2019年と割と最近の映画です。
ホラーを瞬発的なものと捉えると、アリ・アスター監督の前作『ヘレディタリー継承』の方が数倍怖いです。
しかし、不気味さ、後味ならこっちの方が印象的だと感じます。
要は、ジャンプスケア(ビックリ系)を使わない怖さですね。
ストーリー的には斬新とは言えないのですが、それを感じさせないくらい見せ方がすごいんですよ。
この映画も前作のヘレディタリーもA24という映画会社が監督と組んで制作しているのですが、この会社の作品は見せ方にこだわっているものが多く、面白いです。
正直、制作のうちどこまでが監督、映画会社の範疇に当たるのかとか、あまりわからないので詳しくは書けませんが、センスがいいことはわかります。

映画.comさんによると、評価は星3.1だったのですが、
ストーリーに重きを置くか、
演出に重きを置くか、だと思います。

ストーリーを見るなら低い評価なのも納得は行きますが、
自分的にはこの映画の価値基準はそこではないような気がします。
(どのような評価をしても自由ですが)

ネタバレになりますが、
最後の方で水死体を荷車で運ぶシーンがあるのですが、私はそこが1番感動し、そこだけで星4.5くらいです。
ちょっと前に作ったやつ
上の図のような文脈的解釈以外にも、
死体の質感がとてもリアルでただ血を流しているような嘘くさい死体じゃないんですよ!
藻のように垂れ落ち生気がない髪の毛から全体を映す撮り方もいいし、
質感も本物のご遺体と言っても過言ではないです!(褒め言葉)
このロゴTシャツ発売したら絶対買います!

◉3つ目!ヴィンチェンゾ・ナタリ監督『キューブ』

これは、ストーリーも演出も好きです。
最近、コレ系の閉鎖空間でなんかする系の映画多いですが、その系統では正直好きなのはコレのみです。

良いのは、仕組みや背景を下手に説明しないとこ。
評価を見ると低評価の意見に、「謎のまま終わり意味がわからない。」というものがあったのですが、私的には謎だから良いんです。
こうゆう系で、「なぜそうなのか?」とかを描くと途端に稚拙なものになったりするんですよね。
なぜなら、行き着く先は社会問題、超次元的理由など使い古されたテーマor雑なSFかぶれになりがちだからです。
(B級コンテンツはオチを超次元にポイ投げすることが多いです)

演出面では、単にキューブのデザインと部屋の色が好き。

ストーリーは、キャラクターの変容具合が好きです。
演出の範疇でもあるかもしれませんが、狭い空間で対話が強制されることで、人間性が反復し、互いのキャラクターへの理解、自己の露出など。
そこら辺がすごく作り込まれている。

先ほども書きましたが、他の空間閉鎖系の作品は、無作為の数人が一定の空間に閉じ込められるという大きな構図だけが描かれており、その一方的な構図だけが強調されているため、キャラクターvs閉鎖空間と言った感じで、
閉鎖空間に対してずっと喚いているイメージなのですが、
こちらは、人、閉鎖空間という大きな構図を前提として、
その前提とされる状況により浮き彫りになった人間の本質を
キャラクターvsキャラクターという構図で表現しているように感じます。


◉4つ目!黒澤明監督『夢』

『夢』日照り雨

はい!邦画きました。
もうこの手の映像は邦画では見れないのでしょうか。

キューブリック同様、美しい映像を捉えた監督、黒澤明。

この作品は、8話の短編集なのですが、自分が1番好きなのは最初の「日照り雨」です。
良いところは、セリフで語らないとこですよ。
映画において重要なのは何を削るかという減算方式、シンセサイザーのような考えが私の中にあるのですが、この作品の静寂と動きの表現はまさにそれです。
それは、セリフで語らないという大きな括り、また狐の動きという二重構造的に捉えることができるのですが、
削ることで、他を際立たせているということです。
ただ、この作品の狐の動きはそれを逆手に取り、沈黙を際立たせていることがわかります。まるで「動き」は装飾にすぎないと言っているようだ。。
セリフで語らないという点では、先ほどの『キューブ』でも書きましたが、
言語化すると状況が生み出す謎に答えを出す羽目になり、稚拙になったりするんですよね。
変なオチになるくらいなら謎は謎のままこちらに委ねて欲しいですよね。


ちょっと最近の邦画の悪口を書くと、
最近の邦画はご丁寧に全部説明しようとしてくるんですよね。
それは、セリフを多くして俳優を目立たせたいのか、観客に優しい監督が多いのかわかりませんが、
ゆえに、ストーリーしか追えず、嘘くさい名演技を披露するエンターテイメントに成り下がっているように感じます。(勿論、全部ではないですが)


◉5つ目!サム・メンデス監督『アメリカン・ビューティー』

正直、この記事を書く前に見たので(2.3回目ですが)、印象が強いです。
ストーリーはアメリカ社会の思想、人間像の表裏や実体を皮肉的に描いており、面白いのですが、何より
映像の構図が美しい!
シンメトリーな構図が多く、神秘的。
しかし、その美しい構図の中で繰り広げられる話は、薄汚れた像を綺麗な仮面で隠しているものあり、美と醜の二重構造になっている。

また、名シーンとして、ゴミ袋が宙を舞っている映像をリッキーが美しいと言う場面があるのですが、誰からも関心を持たれないものを迷いなく美しいと断言する。
これは客観的価値観から乖離した内なる自信をリッキーは持っているということですね。
カッコいい。

ちなみに、この作品での、リッキー役のウェスベントリーは若い頃のキューブリックにそっくり!(に感じます。)

ウェスベントリー
キューブリック

似てますねえ。
リッキーの変態的キャラクター含め、やはり意識しているのでしょうか。


最後に

映画の良さと言っても価値基準はそれぞれで、今回は単純に面白く、好きな映画を選びました。
普段、音楽の記事を書いていて、
「ポップがどうたらこうたら、オルタナがどうたら、商業、芸術」
とか書くのですが、映画でも商業映画と呼ばれるものから芸術映画と呼ばれるものがあります。
確かな括りがあるわけでもないですが、芸術映画はヌーヴェルヴァーグやネオレアリズモなど60-80年代ヨーロッパの前衛作品といったところでしょうかね。
(黒澤やキューブリックも作品によってはそうですが)
そこら辺に注目して記事を書いて見るのも面白そうですね。

音楽の記事は結構難しいのですが、映画なら無限に書ける気がするので、また面白い映画でもみたらどんどん書いていきます。
(今年のA24から出るホラー映画が面白そうなので期待しています。)

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