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【生態系】魚の「おしっこ」が川の生態系を支えていた!?研究チームが8ヶ月にわたる調査結果を発表

この記事は「多様な魚の遡上が川の生態系を支えている 回遊魚の「おしっこ」は川の生物の大切な栄養源」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。もっと正しい内容が知りたいという方は、ぜひ元のプレスリリースをチェックしてみてくださいね。

挿入画像の出典:PDF

みなさん、こんにちは!今回は、東北大学などの研究チームが発表した、とても興味深い研究についてお話しします。実は、琵琶湖から川に上ってくる魚たちの「おしっこ」が、川の生態系の重要な役割を果たしていたんです。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう!

春から秋まで続く!琵琶湖からの魚の大移動

琵琶湖に流れ込む川では、春から秋にかけて、実にたくさんの魚たちが川を上ってきます。具体的には、ウグイ、ニゴイ、ヨシノボリ、アユ、ハス、ビワマスなど、様々な種類の魚が次々と川を上ってくるんです。

その期間、なんと8ヶ月も続きます。各魚が川を上る期間は平均して3ヶ月程度なんですが、違う魚が順番に入れ替わり立ち替わりやってくるので、全体としては3月から11月までの長期間、往来が続くというわけです。

魚の「おしっこ」って何がすごいの?

研究チームは、これらの魚が排出する、おしっこ(正確には尿と粘液)に注目しました。実は、この「おしっこ」には、リンや窒素といった栄養分がたくさん含まれているんです。これらの栄養分は、川に生える藻類の成長に欠かせないものなんです。藻類が元気に育つと、それを食べる水生昆虫なども増えていきます。つまり、魚の「おしっこ」は、川の生態系全体を支える立役者というわけなんです。面白いですよね!

滋賀県の知内川で行われた綿密な調査

研究チームは、滋賀県高島市にある知内川で、2週間に1度の頻度で調査を行いました。調査では、以下のようなことを詳しく調べました。

  • どの魚が、いつ、どこまで川を上るのか

  • 川の水に含まれる栄養分の量

  • 魚の「おしっこ」に含まれる栄養分の量

  • 藻類や水生昆虫の量の変化

調査の結果、とても興味深いことが分かりました。多くの魚が上ってくる川の下流域では、魚があまりこない上流域と比べて、栄養分の濃度が明らかに高かったのです。しかも、この栄養分の増加は、魚がくる8ヶ月間ずっと続いていました。

なぜ色々な魚が順番に来るのが重要なの?

研究チームは、コンピュータでシミュレーションを行い、複数の魚が順番に川を上ることの意義を調べました。その結果、1種類の魚だけがくる場合と比べて、複数の魚が順番にくる方が、川の生態系にとってより良いことが分かりました。それは、栄養分の供給が途切れることなく、長期間安定して続くから。まるで魚がリレーをしてるかのように、次々と川へ栄養を供給してるってことですね。

この研究が教えてくれる大切なこと

この研究結果は、自然界のつながりの大切さを教えてくれます。

  1. 川と湖(や海)は、魚たちによってつながっている

  2. 生き物の多様性は、生態系の安定性に重要

  3. 川を整備する際は、魚が自由に行き来できるようにすることが大切

研究チームは、今回の発見が琵琶湖の魚だけでなく、他の生態系にも当てはまる可能性があると考えています。例えば、渡り鳥や陸上の動物など、場所を移動する生き物たちも、同じように生態系に貢献しているかもしれないのです。

まとめ

今回の研究は、一見取るに足らないように見える魚の「おしっこ」が、実は川の生態系を支える重要な要素だということを教えてくれました。また、様々な種類の魚が順番に川を上ることで、効果が長期間続くという、生物の多様性の重要性も明らかになりました。

私たちの身の回りには、まだまだ知らない自然界のつながりがたくさんあるようです。このような研究を通じて、自然の仕組みを一つ一つ理解していくことで、より良い環境保全の方法を見つけることができそうですね。これからの研究にも注目していきたいです!

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