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「連れション」の習性はチンパンジーにもあった!
この記事は「チンパンジーにおける排尿の伝染―仲間がおしっこすると、つられておしっこする―」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。正しい内容が知りたい方は、元のプレスリリースをチェックしてくださいね。
トイレに行く友達を見かけると、自分も「ついでに行っておこうかな」と思うことはありませんか?実は、この「連れション」と呼ばれる現象は人間だけのものではないと、最新の研究でわかりました。京都大学の研究チームが、チンパンジーにも似たような行動があることを世界で初めて発見したのです。
600時間の観察で見えてきた意外な行動パターン
研究チームは熊本サンクチュアリで暮らす20頭のチンパンジーを対象に、なんと600時間以上もかけて彼らのおしっこの様子を観察しました。その結果、とても興味深い発見がありました。チンパンジーは、近くにいる仲間がおしっこをすると、つられるように自分もおしっこをする傾向があったのです。特に面白いのは、群れの中で立場が低いチンパンジーほど、他の仲間のおしっこに「つられやすい」という点です。
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なぜこの発見が重要なの?
この研究は、一見シンプルな生理現象に見えるおしっこが、実は動物の社会性と深く関わっているかもしれないことを示唆しています。例えば、群れで行動するときに、みんなで同じタイミングでおしっこをすることで、活動のタイミングを合わせているのかもしれません。また、こうした行動を通じて、群れの結束力を高めている可能性も考えられます。
これからの研究への期待
研究チームは、この発見を足がかりに、さらに様々な動物でも同じような現象が見られるかどうかを調べていく予定です。おしっこという身近な現象を通じて、動物たちの社会性や進化の謎に迫ることができるかもしれません。私たち人間の「連れション」も、もしかしたら進化の過程で受け継がれてきた大切な社会的行動なのかもしれませんね。
その疑問にQ&Aでお答えします!
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どのように研究が行われたの?
熊本サンクチュアリで暮らす20頭のチンパンジーを4つの集団に分けて観察しました。600時間以上の観察で、実に1328回の排尿を記録したんです。具体的には、誰がいつ、どこで、誰の近くでおしっこをしたのかを細かく記録。さらに、チンパンジー同士の距離関係や社会的な関係(上下関係や仲の良さ)なども調べました。そして、コンピューターを使って「もし完全に偶然だったら」という場合と比較。その結果、実際の「つられ具合」は偶然では説明できないほど多いことがわかったのです。特に面白いのは、3メートル以内という近い距離にいる個体同士で、つられやすい傾向が見られたことです。
群れの中での立場が低いチンパンジーはなぜつられやすいのですか?
人間社会でもよくある風景で例えてみましょう。例えば、会社の中で立場が上の人が「コーヒーを飲もう」と言えば、部下が「私も」と続くことがありますよね。これと一緒でチンパンジーの社会でも、立場が低い個体は群れの中での調和を保つため、他の仲間の行動に合わせようとする傾向が強いのです。ただし、立場が高いチンパンジーのおしっこに多くつられるわけではなく、誰のおしっこにもつられやすい傾向があったのです。面白いですよね。
考察:集団行動の「つられる」と「つられない」
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チンパンジーの研究で分かった「つられ行動」は、群れの中で自然と生まれる同調性を表しています。でも、この同調性には両刃の剣のような側面があるんです。誰かが行動を起こすとつられてしまう一方で、誰も行動を起こさない時は、自分から行動を起こしにくくなってしまう可能性があるということ。
例えば、満員電車で具合が悪そうな人がいても、周りの誰もが見て見ぬふりをしていると、自分も助けの手を差し伸べにくくなってしまうってやつですね。このように、「つられ行動」の研究は、人間社会で時として問題となる「同調圧力」や「傍観者効果」についても、新しい視点を投げかけてくれているのかもしれませんね。
ちなみにイタリアには「Chi non piscia in compagnia o è un ladro o è una spia(仲間と一緒に小便しない者は、泥棒かスパイである)」という言い伝えがあります。連れション文化は古今東西どこでもあった現象みたいですね。
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