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パーキンソン病の謎 たんぱく質が"暴走"するメカニズムを世界で初めて解明

この記事は「生理的環境下におけるパーキンソン病誘発物質の形成メカニズムの解明 -たんぱく質が原因となる神経変性疾患抑制の応用に期待-」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。正しい内容が知りたい方は、元のプレスリリースをチェックしてくださいね。

挿入画像の出典:同ページ

みなさん、こんにちは!今回は広島大学と鳥取大学の研究チームによる、とても重要な研究成果についてお話しします。この研究は、パーキンソン病の原因となるたんぱく質がどのように"暴走"していくのか、そのメカニズムを世界で初めて明らかにしたものなんです。

そもそもパーキンソン病って何?

パーキンソン病は、手足が震えたり、体が硬くなったり、歩行が難しくなったりする病気です。高齢化が進む日本で増えている病気の一つなんです。実はこの病気、脳の中で起こる「たんぱく質の暴走」が原因だということが分かってきています。

注目のたんぱく質「αシヌクレイン」とは?

今回の研究で注目されているのは「αシヌクレイン」というたんぱく質です。このたんぱく質は、普段は脳の中で神経細胞同士が情報をやりとりする際の「調整役」として活躍しています。

例えば、手を動かそうと思った時、その命令は電気信号となって神経細胞から神経細胞へと伝わっていきます。その時、αシヌクレインは神経細胞の端っこにある「シナプス」という部分で、情報伝達に必要な物質の放出を手伝っているんです。まるで、郵便局で手紙の仕分けを手伝っているような感じですね。

でも、このαシヌクレインが何かのきっかけで形が変わってしまい、「アミロイド線維」という異常な形になってしまうことがあるんです。そうなると、本来の仕事ができなくなってしまうだけでなく、神経細胞自体にもダメージを与えてしまいます。

意外な犯人?塩の存在が引き起こす変化

研究チームは「ThT蛍光測定」という特殊な色素で異常な形に変化したたんぱく質を光らせて測定する技術をつかい、思いがけない発見をしました。私たちの体の中にある普通の塩(NaCl)が、このたんぱく質の異常な変化を促進させていたんです。

たんぱく質の「危険な部分」を特定

さらにすごいことに、研究チームはαシヌクレインの中でも特に重要な部分を見つけ出しました。たんぱく質の96番目から140番目の部分が、特に問題を起こしやすいということが分かったんです。この部分は、塩があると細胞の膜から離れやすくなり、他のたんぱく質と結びつきやすくなってしまいます。

この発見が新しい治療法につながる?

この研究で分かった「たんぱく質の危険な部分」や「塩の影響」は、新しい治療薬を作るためのヒントになります。例えば、96-140番目の部分が変化するのを防ぐ薬を作れば、病気の進行を止められるかもしれないんです。

アルツハイマー病やALSの研究にも期待

実は、この研究成果はパーキンソン病だけでなく、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった他の神経の病気の研究にも役立つかもしれません。これらの病気も、たんぱく質が関係している病気なので。

まとめ

研究チームは、この発見をもとに、たんぱく質の異常な変化を防ぐ方法を見つけ出そうとしています。特に、96-140番目の部分に注目して研究を進めているそうです。

私たちの体の中で起きている小さな変化を、最先端の技術を使って理解すること。それが大きな病気の治療につながっていく。そんな医学の素晴らしさを感じさせてくれる研究成果でしたね。研究チームの次の発見にも、とても期待が高まります。

内容を振り返りたい人は以下PDFを見てね!

【よくある質問】パーキンソン病の研究についてもっと知りたい!

Q1:パーキンソン病は遺伝するの?

パーキンソン病の大部分は遺伝とは関係ありません。ただし、全体の約5〜10%程度は遺伝的な要因が関係していることが分かっています。今回の研究で注目されたαシヌクレインも、まれに遺伝子の変異が原因で異常を起こすことがあります。

Q2:「αシヌクレイン」って、どうして変な形になってしまうの?

まだ完全には解明されていませんが、年齢を重ねることや、環境要因(ストレスや炎症など)が影響していると考えられています。今回の研究では、特に塩の存在が変化を促進することが分かりました。

Q3:普段のαシヌクレインの働きが失われると、どうなるの?

αシヌクレインは、脳の神経細胞同士の情報伝達をスムーズにする大切な働きをしています。この働きが失われると、まず神経伝達物質(ドーパミンなど)の放出に問題が起き始めます。その結果、脳からの指令が体にうまく伝わりにくくなり、手足の震えや筋肉のこわばりといったパーキンソン病の症状が出てくるんです。

さらに、異常な形に変化したαシヌクレインは、周りの正常なαシヌクレインまで異常な形に変えてしまう性質があります。これが、症状が徐々に進行していく原因の一つだと考えられています。

Q4:研究で使われた「放射光」って危険なもの?

ここで使用された放射光は、物質の観察に特化した特殊な光です。医療でよく使われるX線の仲間ですが、研究施設で厳重な管理のもと使用されているので安全です。この光のおかげで、通常では見えないような小さな変化を観察することができました。

Q5:この研究は、すぐに治療に使えるの?

残念ながら、すぐに治療法として使えるわけではありません。でも、病気の仕組みを理解する大きな一歩となりました。特に、αシヌクレインの96-140番目の部分が重要だと分かったことで、新しい治療薬の開発につながる可能性が高まっています。

Q6:若い人はパーキンソン病にならないの?

パーキンソン病は主に高齢者に多い病気ですが、若い人(40歳以下)でも発症することがあります。これを「若年性パーキンソン病」と呼びます。だからこそ、今回のような研究が重要なんです。

Q7:どうして分子の動きをコンピューターで再現する必要があったの?

たんぱく質の動きはとても小さく、速いため、実験だけでは全てを観察することができません。コンピューターシミュレーションを使うことで、実験では見えない部分も含めて、より詳しく調べることができました。

Q8:この研究は他の病気の治療にも役立つの?

はい、とても期待されています。アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、たんぱく質が関係する他の神経の病気の研究にも応用できる可能性があります。これらの病気も、たんぱく質が異常な形になることが原因だと考えられているからです。

Q9:私たちにできることはある?

この研究を直接応援することは難しいかもしれませんが、こういった基礎研究の重要性を理解し、広めていくことが大切です。また、自分や家族の健康管理に気を配り、気になる症状があれば早めに医師に相談することをお勧めします。

Q10:研究の続きはどうなるの?

研究チームは、今回発見したαシヌクレインの振る舞いをもとに、この変化を防ぐ方法を探しています。また、他の研究グループとも協力して、新しい治療法の開発を目指しているそうです。医学の進歩は、こうした地道な研究の積み重ねによって実現されていくんですね。

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