『ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス』感想
この『ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス』は、5th Live『If I _ wings.』Day2において今回のコミュと共通のシーンを挟んで披露された『ヒカリのdestination』『スマイルシンフォニア』を想起、あるいはそれに追及したともいえるコミュで、エンディングタイトル『響き渡れ、どこまでも』はそれらの歌詞に重なるものとなっている。とはいえ、このコミュだけで過不足なく、我々がこれを読んで、それぞれが見て感じたことが全てだろう。
この「響き渡れ、どこまでも」は、今回の主題に対するイルミネのアンサーのようなもので、物理的空間だけでなく精神的・時間軸的なものを内含しているといえる。
本コミュとイベントSSR【青風、駆けていく】読了後、私は、5thライブを思い返すとともに、『ヒカリのdestination』を聴き返した。
きっとこの体験は、少女が音楽プレイヤーでイルミネの曲を聴き返した体験と似ている。過去、自分の中にインストールされた鮮やかな永遠が、淡くなっていた、色褪せていたはずのそれが、今確かに、鮮烈にもその存在に触れることができる。そんな虚構と実在の転倒に似たものを味わえる。
『If I _ wings.』は、"≠今"のIfを描いたライブだった。永遠とは相対する『終わり』にDay1では目を向けた上で、それであれば、「いつまでも」と歌うDay2の『ヒカリのdestination』は未来への"願い"だったのだ。
絶対など、永遠など、そんなものは確かに存在しない虚像なのかもしれない。そうと分かっていても、アイドル───(それに限らず広く言うところの)自分の中の偶像に心地の良い永遠を、(彼女たちも含め)我々は見出そうとする。
それは『流れ星』のように、実際は一瞬で、そこに願った永遠など叶うはずのないものなのかもしれない。
しかし、その一瞬が過ぎ去ったとしても、きっとそれを見送った後の夜空は、もの悲しさを覚えながらも永く耽ることができる────久しぶりに音楽を聴いて思い出すいつかの情景や、眩しい笑顔で走っている瞬間を切り取った写真、【青風、駆けていく】で描かれた『影送り』のように。『ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス』とは、そんな"流れ星"のことである。
そんな夢の果てを知っているからこそ、だからこそ、歌うのだ。彼女たちは『永遠』を。"流れ星"である彼女たち自身も、その"流れ星"にそんな願いを込めて。
今の、そしていつかの彼女たちと私たちへ、もし流れ星が消えるとしても、その夢の果ての空にまで、どこまでもこの願いが"響き渡れ"、と。
それは、
あたたかくて、さみしくて、
やさしい。