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出演者インタビュー Vol.4 "ONISAWA"(SOMAOTA ONE-MAN SHOW ”Trans”に寄せて)

[SOMAOTA]
俺話したかったことあって。
よくBlack petrolで「対照的な声の2MCが...」とか言われるんですけど、俺は思想的にも結構(2人は)対照的だなって思うところがあって。
オニくんの考え方って結構仏教的というか

[ONISAWA]
わかる

[SOMAOTA]
(オニ君の考え方は)自分というのを突き詰めれば「無」である、全ては風の吹くまま.....みたいな

[ONISAWA]
わかる、サブちゃん(※SOMAOTAの旧アーティスト名”Sub”に由来)と俺ってやっぱ仏教とキリスト教って感じ

[SOMAOTA]
そう!俺キリスト教なんですよ
クリスチャンじゃないんですけどね、キリスト教的考え方で。
原罪っていうのを背負っていて、どうにか天国では良い暮らしを得られるように今は......

[ONISAWA]
ことごとく苦しむ、というか、そのために祈りを捧げたり、人を助けたりしようっていう

[SOMAOTA]
そうそう
これはやっぱり自分っていうのが核にあるんですよ。
自分がいて、能動的に何か良い行いをすると良いことが返ってくる

[ONISAWA]
(キリスト教って)意志とか意識が大事だもんな

[SOMAOTA]
だから俺、なんか頑張りたい奴なんですよね、何事も。音楽活動も。
でもオニ君は「全ては自然の流れで......」って考え方をするから核に自分とか意識が無い。俺最初すごいびっくりして笑

[ONISAWA]

[SOMAOTA]
この人仏教や!って笑
俺の周りに仏教を地で行く人いなくて笑笑
だからすげえ今でも、やっぱこうやって話してると、「そうだそうだ、この人仏教やった、そうやそうや」っていう笑

[ONISAWA]
実家,、寺やからな、俺笑

[SOMAOTA]
血筋だ笑

本題いきますね
改めて説明すると、僕のワンマンに向けての企画で、俺とオニくんとの出会いとかを2人で思い出しながら喋っていくっていうやつです。
オニくんから見たSOMAOTAってどんなやつなんだろう、って

[ONISAWA]
なるほど

[SOMAOTA]
同じ事を他の出演者5,6名ともやっていて、それを通して読んでもらえば僕がどんな人間かをリスナーの方に知ってもらえるんじゃないかと

[ONISAWA]
出し方としてはZINEを作るってこと?

[SOMAOTA]
ZINEも考えたんですけど、まずnoteであげようかなと。
編集もガンガンします、なんでラフにいきましょう笑
まじで普通にビールとか飲みながらでいいんで笑

[ONISAWA]
じゃあちょっとワインで笑
(電話の向こうでワインを注ぐ音)

[SOMAOTA]

まず一番最初の出会いって覚えてますか、僕との

[ONISAWA]
ファーストコンタクト?

[SOMAOTA]
はい、一番最初。

[ONISAWA]
京大サイファーじゃないかな?

[SOMAOTA]
京大サイファーですよね、俺もそうやと思ってて。

[ONISAWA]
多分、絶対そう。

[SOMAOTA]
そうですよね、ちるぼ~い(※須見龍気の旧アーティスト名)が連れてきてくれて。

[ONISAWA]
京大サイファーやってたよな、サブちゃんは。

[SOMAOTA]
俺やってましたね、(2017年の)4月からやってました。

[ONISAWA]
それをやってるって話をちるぼ~いに聞いた。でもちるぼ〜いおらんかった気がするな、サブちゃんと会ったとき。おったっけ?

[SOMAOTA]
いや、ちるぼ~い、いなかったんですよ。

[ONISAWA]
そう、俺一人で行ってん、たぶん。

[SOMAOTA]
今思い出したわ、ちるぼ~いからLINE来てて、「ちょっと今日は俺行かれへんけど、オニサワくん来るわ」みたいな。そうそうそうそう

[ONISAWA]
で、えいとふぉー、とかおってな

[SOMAOTA]
えいとふぉー君ね、懐かしい!
てか、オニ君、わざわざサイファーしに来てくれたんですよね

[ONISAWA]
そう、でも当時、俺、結構サイファー行っててんか

[SOMAOTA]
いろんなところに

[ONISAWA]
枚方も行ってたし、大阪城公園とかJR大阪とか、なんかいろんなサイファーに行ってて。その感じで普通に京大も行こうと思って

[SOMAOTA]
そういう文化っていうか、サイファー遊びに行くっていうカルチャーが当時ありましたよね

[ONISAWA]
あった。今でもあるのかな?

[SOMAOTA]
いやー、わかんないですね

[ONISAWA]
ツイッターで「何時からどこどこでサイファーやります」っていう情報見つけたらそこに行くみたいなんで

[SOMAOTA]
そうそうそう
だから俺も、”京大サイファー”っていうツイッターアカウント作って、「月曜日の4時半からやってます」ってプロフィールに書いてたな。

[ONISAWA]
初対面でパッて輪の中入って、うすうすーってハンドシェイクしたら、すぐラップするみたいな。初対面がラップっていう関係性は当時割と普通にあったよな

[SOMAOTA]
ありましたね。だからそんな感じでフラッと来て、サイファーして
あれは2017年の冬とか?

[ONISAWA]
よう覚えてるな、そんな。

[SOMAOTA]
いや、2017年ってのは覚えてるんですよ、絶対。
京大サイファーが始まった年なんで

[ONISAWA]
だから7、8年前になるのか

[SOMAOTA]
そう、7年前とかですね

[ONISAWA]
長い時間が経ったな、サイファーしたのって冬?

[SOMAOTA]
うろ覚えの記憶ですけど、オニ君、クージー(COOGI)着てた気がする

[ONISAWA]
あ、たしかに
当時俺クージー着てたわ笑笑

[SOMAOTA]
だから秋とかなのかな、分かんない

でも最初会った時、僕はすごい良く覚えてますよ
「バトルでむちゃくちゃ有名なオニサワが!」って...

[ONISAWA]
”あの”オニサワが笑

[SOMAOTA]
「”あの”オニサワが来る!」みたいになって、もうむちゃくちゃ緊張してて。来たらめっちゃ(ラップ)上手いし、なんだこの人、、みたいな

[ONISAWA]
当時バトルやってたからな、俺、結構

[SOMAOTA]
そうなんですよね、懐かしい

[ONISAWA]
その時喋ったっけ?
もうラップして「お疲れした!」みたいな感じですぐ解散したんかな?

[SOMAOTA]
ラップして「お疲れ様!」ってだけだった気がしますね、はい。
その時の僕の印象って覚えてます?

[ONISAWA]
印象かぁ
ラップ上手いなと思ってたけど、それがその時に思ったのか、枚方とか行ってからなんか......

[SOMAOTA]
いや、多分その時俺、全然上手くなかったんで、あんまり(ラップ上手いって)思わなかったと思いますよ、分かんないですけど。ちゃんと喋るようになったのは103(※読み方:テンスリー/SOMAOTAが大学時代籠っていたスタジオのアダ名)にオニ君が来るようになってからかな、多分。

[ONISAWA]
あれ、でも枚方に来てなかった?サブちゃん、ちょこちょこ。

[SOMAOTA]
ちょいちょい行ってました。それこそNeVGrNと初めて会ったのは枚方サイファー

[ONISAWA]
基本枚方サイファーに俺ずっとおって、で、ちるぼ~いと仲良くなったんかな。最初あんまり知らんかったんよ、ちるぼ〜いのこと

[SOMAOTA]
そうなんすか?

[ONISAWA]
うん、ただ、枚方におるやつ、としか。
でも喋ってみたら結構趣味が合うっていうかさ、なんか文学的なところとか、音楽の趣味も合って、「こんな若いやつおるんや」みたいな感じ。
で、ちるぼ~いが「太田ってやついるんすよ」みたいな感じで紹介してくれた

[SOMAOTA]
そうかそうか
そんでその年末に”Asshole of the Earth” っていう曲......

[ONISAWA]
ああ懐かしいなあ

[SOMAOTA]
5人で録った曲があるんすよ、俺とオニ君とちるぼ~いとアマネ(京大サイファーのメンバー)とシノピオン君(※狂節のメンバー・SHINOの旧アーティスト名)。

[ONISAWA]
はいはい、覚えてるよ。PV撮影のトンネルが寒かったのとかも覚えてる

[SOMAOTA]
寒すぎてアマネは途中で帰るっていう笑

[ONISAWA]
サブちゃんその当時アウター1着しか持ってなかったから。ペラペラの金の、ブルズ笑
PVの時って一軍のアウターで来るやん、皆。
だから、ブルズがこいつの一軍なんやって思った笑

[SOMAOTA]
笑笑
それが2017年の年末

[ONISAWA]
だからちょうどほんまに7年くらいってことか、最初に一緒に曲やってから。長いなぁ、そう考えたら

[SOMAOTA]
7年ってやばいっすよね!”Asshole...”録る時にレコーディングしに来てくれたじゃないですか、オニ君とシノピオン君で

[ONISAWA]
その時に初めてテンスリー行ったんやっけ?

[SOMAOTA]
確か......どうだったっけな?
とにかくその時、俺はよくちるぼ~いとアマネと遊びでラップ録ってたんですけど、オニ君とシノピオン君にその数倍上のスキルを見せられて

[ONISAWA]
ほんまに?

[SOMAOTA]
いや、ほんとっすよ!
「うわ、こんな上手いんや」みたいな。なんだろうな、圧倒的な差を感じたっていうのをすげえ覚えてますね

[ONISAWA]
今聴いたら絶対全員めちゃくちゃ下手くそやけど笑笑
当時、マイクに声を入れるみたいなことすら、やりたてやったもんな、全員。

[SOMAOTA]
まあそうですね

[ONISAWA]
ほんま、どんぐりの背比べっていうか

[SOMAOTA]
うんうん、でもその時はマジで「やばいな、この人たちほんとに本物やん」みたいな笑

[ONISAWA]
笑笑
ちゃんと声出てるとかの問題よな
でもラップって最初そうじゃない?
ほんまの最初ってちゃんと声出すのが難しいやん。

[SOMAOTA]
そうなんすよ

[ONISAWA]
一定の声っていうか。
もう一回リテイクしても同じ声出せるっていうかさ。普通のことなんやけど

[SOMAOTA]
いや、結構それが難しいっていうね

[ONISAWA]
まず、ラップの声になってるかどうかっていう

[SOMAOTA]
あれ、なんなんすかね?

[ONISAWA]
歌ともまた違うよな。ラップ上手いけど歌下手な奴っておるもんね

[SOMAOTA]
うんうん
それで、”Asshole...”以外も、「みんなで曲録ろう」って言って作った5、6曲をEPにまとめんですよ。あの、オニ君とシノピオン君の2人の曲とか

[ONISAWA]
それ、あれやろ?
Ras Gの(ビートジャックをした)やつ。

[SOMAOTA]
そうですそうです。俺とちるぼ~いとJP君(※狂節のラッパー)が3人でやった曲とか。
で、あの時に、俺はもう狂節の大ファンなんで、オニ君とシノピオン君のアカペラ抜き取って、自分でビート作ったんすよ。
初めてリミックスっていうのをやって、「面白い!(自分って)結構ビートも作れるんだ」みたいに思って。
その後、ネオブディ(Neo Buddhist)のファーストEP作るっていう流れっす。

[ONISAWA]
あれ(Neo Buddhistの1st EP)は名作やんな!
って事は”Asshole...”が入ったEPが、皆で最初に世に出した音源?

[SOMAOTA]
そうですそうです

[ONISAWA]
”フレッシュライム、まだまだキル”
(※EPの収録曲の中のワンフレーズ)

[SOMAOTA]
そうそうそうそう笑笑
いや、これ文字起こし、むずいな笑

[ONISAWA]
久々に笑
懐かしいなぁ、あの辺の楽曲
確かそのぐらいからサブちゃんの印象みたいなのがあった気がする
まず、ラップがうまいっていうのと、、

[SOMAOTA]
その頃からそういう印象ありました?

[ONISAWA]
あったあった
”ポケットにはコインとピースメーカー”
”火星の井戸に潜る自殺志願者”
とか言ってたよな

[SOMAOTA]
『風の歌を聴け』ね笑笑
(※村上春樹の処女作・火星の井戸に潜る自殺志願者の話が出てくる)
まんまっていう笑

[ONISAWA]
その頃から、村上春樹好きやったよな笑

[SOMAOTA]
当時からめちゃめちゃ好きでしたね笑

[ONISAWA]
それも含めて、(サブちゃんのラップに)独自の世界観があったな。
当時自分の周りでラップをしてる人の中で、広い意味での文学っていうか、変わった言葉を使う人ってそんなに多くなくて。

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
枚方サイファーはバトルの文脈から入った人達やから、使う言葉がバトルの語彙っていうか韻を探求する人たちって感じやったから
その中で(サブちゃんは)ラップで文学的な表現をしようとしてた

[SOMAOTA]
そんな意識はなかったんですけどね、、本読んでたから自然にそうなったんやと思います。ちなみに、オニ君の周りにそういう文学ラッパーって他にいました?

[ONISAWA]
ちるぼ~い、狂節くらいかなぁ、だからテンスリーのメンバーだけちゃう?

[SOMAOTA]
うんうん、だからそこで盛り上がった

[ONISAWA]
ほんと小さい、「シーン」とも呼ばれへんような、同世代でちょっと変な言葉の使い方をする人たちみたいな。
っていう意味でサブちゃんとは感覚が合うなとは思ってた

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
「みんなもっとそういうのもやったらいいのに」と思ってたな、当時の俺は。「もっと変なこと言ってもいいんちゃう?」って

[SOMAOTA]
まあ確かになぁ、言ってる当の本人しか知らないこととか

[ONISAWA]
そうそう
だから不良的な意味でのオリジナリティじゃなくて、読んできた本の一節とかをさ

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
本読んでたよね結構、サブちゃん

[SOMAOTA]
むちゃくちゃ読んでましたね、大学時代は、特に

[ONISAWA]
当時の方が文学少年やったんちゃう?まあ俺もそうやけど

[SOMAOTA]
ほんとにね
当時はむちゃむちゃ読んでましたよ

[ONISAWA]
暇やったから笑
俺も文学少年やったから、なんか文学少年がラップするみたいなさ、そういうイメージやった。「俺らってそうやんな」みたいな。

[SOMAOTA]
え!そういう自己認識なんすね、オニ君って。結構意外だなぁ
オニ君はもうちょっとこう不良っぽいラッパーだと思ってたんで。
いぶし銀というか、アンチ/反体制っていう感じなのかなと

[ONISAWA]
そういうのもあった。
だから文学の中でも、中上賢次とか、ブコウフスキーとかそういうアウトローな文学が好きやったし。
だから、カルチャーってよりは「亜流の文学」としてラップにハマっていったっていう流れやったなぁ、だから文学青年っていう自己認識が強い

[SOMAOTA]
そうなんですね、じゃゃあ俺はその文学友達みたいな笑

[ONISAWA]
そうそう笑
本を読んで、自分の解釈を持ってそれを提示する=ラップするみたいな

[SOMAOTA]
そう言われたらそうですね!
あれ、めっちゃ面白いな
そうなんだぁ、なるほどね!

俺、もっとオニ君の事、右派だと思ってましたわ
HIPHOP右派笑

[ONISAWA]
左派やけどな、思想的には笑
まあでもわかるわかる笑笑

[SOMAOTA]
笑笑
めっちゃ面白いな
で、その後にBlack petrolに加入するんですよね、僕ら二人は。
そうだな、Black petrol結成当初とか覚えてます?

[ONISAWA]
覚えてる、明確に。
十三(※じゅうそう/大阪の地名)のスタジオに呼ばれて

[SOMAOTA]
行きましたね

[ONISAWA]
Jay(※Black petrolリーダー・takaosomaのニックネーム)と初めて会ったっていう

[SOMAOTA]
なるほど。どんな印象でした?

[ONISAWA]
あー、でもやっぱJayが一番面白いなっていう印象だったな

[SOMAOTA]
(Jayは)なんて言ってましたっけ?その当時

[ONISAWA]
いやなんか尖ってた笑
オーラっていうかさ、そういうのにすごい敏感じゃん、若い頃って。
だからか、Jayからは才能って言うとなんか変やけど、マグマみたいなものっていうんかな、何かを吐き出したいっていうさ......

[SOMAOTA]
マグマ

[ONISAWA]
そう、マグマ
で、それは結構俺サブちゃんにも感じてて、割と初期の段階で

[SOMAOTA]
そうなんですね

[ONISAWA]
この人は体の中に言葉の塊っていうかさ、そういうのがある人なんやなっていう。
切迫感があるっていうか、「あー言いたいことありそうだな」っていうか、、「何かをラップせざるを得ない」っていう感じ、それに対する切実さがある人なんやなって。
Jayも、ラッパーではないけどミュージシャンっていうそれまでちゃんと接したことない人の中にも「こういう人(マグマを持った人)いるんや」って感じだった

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
その、もう「何かを表現せずにはいられない」という切迫感がやっぱ、俺から見てのサブちゃんの印象でもあったし、Jayの印象でもあった。
サブちゃんはさ、その当時、心の問題を結構抱えててさ......

[SOMAOTA]
うんうん、ありました

[ONISAWA]
すごいわかりやすく言うと自己治癒じゃないけどさ、そういうものとしてラップを必要としてる人っていうか

[SOMAOTA]
うんうん
(精神的に不調だった)当時、オニ君にも話を聞いてもらってましたよね.....
それまでは”おもろい先輩”って感じだったけど、その時俺の話聴いてくれた時は無茶苦茶真面目に聞いてくれて。「あざす!」って感じでしたね笑

[ONISAWA]
いやそりゃ聞くやろ笑

[SOMAOTA]
笑笑
Black petrolはそこから7年くらいやっている訳なんですけど、なんか思い出深かった瞬間ってあります?

[ONISAWA]
思い出深かった瞬間......あの京大でライブした時あったやんか

[SOMAOTA]
去年の11月か、だからちょうど1年前

[ONISAWA]
あれでなんか俺として一つの円が閉じたっていうか

[SOMAOTA]
わかるわぁ

[ONISAWA]
うん。なんか、俺、あの時酔っ払ってたからもあるけどさ、「これが映画やったらここ(京大)で終わる方が綺麗やな」って笑

[SOMAOTA]
言ってましたね笑

[ONISAWA]
俺よくそれ言うねんけど笑

[SOMAOTA]
言いますね笑

[ONISAWA]
日記をさ、毎日つけてるわけじゃないけど、たまにつけんねんけど。
大阪帰った時とか特に。(※オニ君は現在、福島県在住、実家が大阪府)

[SOMAOTA]
うんうんうん

[ONISAWA]
そこに書いてあったのが、あの、おでんみたいなん食ったよな。
(京大の)ライブ後、屋台で。

[SOMAOTA]
おでん食ったなぁ
なんかお母さんがやってるやつ

[ONISAWA]
その日記によると京大で俺がサブちゃんに「なんかいろいろあったけど良かったわ」って言ったらしくて。
で、「その、良かった、っていうのはもう人生のすべてを含めてよかった、って思った」って書いてて。
その瞬間だけは過去のすべてを肯定できたような気がしたんよな

[SOMAOTA]
(オニ君がそう言ってたことを)鮮明に覚えてますね

[ONISAWA]
京大のテンスリーっていう場所を中心に、小さい、もう世間には全く認知されていないシーンがあって。
もちろんそこには狂節とちるぼ~いとサブちゃん、俺の中ではじゃくもんとかショウゴとかがいて、そこにJayもいて、Black petrolもいてみたいな。
だから京大のライブで、すべてが回収されたというか。

[SOMAOTA]
クライマックス

[ONISAWA]
だからまあなんていうか、「いやいろいろあったけどよかったわ」みたいな感じ。まあいろいろあったやん、その間に

[SOMAOTA]
ありましたね、、。
俺にとってテンスリーは勿論(音源を)制作するスタジオだけど、逆に「監獄だ」と感じていた時期もありましたね

[ONISAWA]
うんうん、そやんな、、。
関連する話で、俺最近、場所ってすごい大事やなと思ってて

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
「結局人って土地とか場所に影響されて何かを作ったり何かを言ったりするにすぎないんや」っていう感覚が強くて。

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
後から振り返って
「あのラッパーは、この時ニューヨークのここにいたからこんなことを歌っている」とか
「LAは当時こういう状況やったからウェッサイのラップってこういう感じ」って言語化されるけど、そういう風に作品と場所って切っても切り離せないというか

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
だからあの時、京大のライブで、京都の小さな音楽シーンの1つに決着がついたっていう感じがしてる

[SOMAOTA]
というと?

[ONISAWA]
Black petrolも根本的にはその時期の京都のカルチャーの1つの形っていうか
HIPHOPとかJazzとかいろいろジャンルはあるけど、あの時の、あの世代の、あの空気の中でしか生まれえない表現やと思うねんな

[SOMAOTA]
あーそれはめっちゃわかるなぁ

[ONISAWA]
だからテンスリーがなかったら多分、Black petrolもああいう形になっていないっていうか。やっぱ1つのシーンやったんやと思う、俺らがおった場所ってさ

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
テンスリーの横に西部講堂があって。
でもその西部講堂がすごいホットやった時代からは時間がだいぶ経って、タテカン(※立て看板/京大自治の象徴)も撤去されて吉田寮も......みたいな。
でも終わっていくものもあると同時にHIPHOPっていう音楽を通して出会った切迫感を持った人たち、不良でもなんでもない文学青年/音楽オタク たちの作った小さなシーン、が生まれた。

(京大でのライブが)そのシーンの象徴的な場面って感じがして
「映画やったら絶対ここで全員死んだほうが綺麗やな」って笑

[SOMAOTA]
なるほどなぁ笑
ただ、僕は西部講堂関連の揉め事というか、政治的なややこしさにも巻き込まれて非常に大変な思いをしたんで、そこまで綺麗な思い出として消化できないというか笑

[ONISAWA]
そうねぇ
やっぱサブちゃんの印象ってなんかそういう感じだったな
ストラグルの中に生きてる人、巻き込まれたものも含めてさ、やっぱなんかすごい苦しそうやったよなサブちゃんって、だから今はすごい良くなったなと思う笑

[SOMAOTA]
まだね笑

[ONISAWA]
ちゃんとこう生きていけてて笑

[SOMAOTA]
周りに心配かけずに生きていけてる笑
まあ、まだまだ心配してる人もいるかもしれないですけどね

[ONISAWA]
でも”TY Dance Alone”じゃないけど、(サブちゃんは)とにかく吐き出すことで自分を保ってるっていうか

[SOMAOTA]
確かに
”TY Dance Alone”こそ僕の一個の終わりで。

[ONISAWA]
それこそラップ始めたのも......

[SOMAOTA]
そうそう
18歳の時にラップ始めたのも、「兄貴がいる実家での生活って何だったんだろう?」みたいなことを考えたのがきっかけで。大げさだけどそこで「自分には歌うものがある」っていうのを発見したんですよ。
それまで自分は「本当に何にもない奴や」と思ってたんですけどね、そこから兄貴の歌とか親父の歌とか歌ったりとかしてて、そんな家庭事情と最終決着がついたのが”TY Dance Alone”やったんで

[ONISAWA]
横から見ててもそんな感じはしたな.
やっぱあの曲が一つの分岐点やったんやろな

俺はさ”TY Dance Alone”前のサブちゃんを知ってて、ほんま、(精神が)ぐちゃぐちゃな時の話とかも聞いてたから

[SOMAOTA]
そうですよね

[ONISAWA]
だから”TY Dance Alone”はすごい思い出深かった

[SOMAOTA]
本当にオニ君には話聞いてもらってたなぁ
「ちょっと話したいことあるんですけどいいですか」って言って笑

[ONISAWA]
覚えてるな、あれ、タバコ吸ってたっけ?
その時、サブちゃん

[SOMAOTA]
僕、吸ってました

[ONISAWA]
タバコ吸いながら精神の話とか聞いてた

[SOMAOTA]
そうそう
難しい話をね

[ONISAWA]
河合隼雄の話とかしながら

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
そういうある種の精神的な葛藤ってHIPHOPがメインで扱ってきた題材じゃないけど、俺が思うHIPHOPの本質ではあるっていうか

[SOMAOTA]
うんうん、それはめっちゃわかるな

[ONISAWA]
やっぱり(HIPHOPは)個人のストラグルみたいなものを歌うものやと思う。
歌になる前の、形として綺麗になる前のザラッとした叫び声みたいなものがラップや、と個人的に思うから。

だから(精神的な葛藤を歌う)サブちゃんはそういう意味で「ラッパーやなぁ」って思ってた。自分のストラグルをなんとかして外に出そうとしてるっていう、”TY Dance Alone”が出た時はそれ(葛藤)が出たっていうかさ

[SOMAOTA]
うんそうですね、確かにな

[ONISAWA]
すごい記念碑的なものやったよなあれは
ずっと言ってたもんな「”TY Dance Alone”作ってる」って

[SOMAOTA]
ずっと言ってましたね、4年間笑

[ONISAWA]
4年間かあ、あの曲出た時は「あぁやっと出たんや」っていうか、ずっと溜めてきたものがポロっと外に出たんやって感じがした

[SOMAOTA]
そうなんですよね
だから”TY Dance Alone”以降はラップする意味も変わりましたね
それ以降はラップ=ライフワークって意味合いが強くなってきましたね、それまではただただ葛藤をぶつけるものっていうイメージだったけど

[ONISAWA]
(日々の生活の中で)思ってることを外に出すみたいな

[SOMAOTA]
そういうものに変わりましたね

[ONISAWA]
うんうん、やっぱそうなっていくんじゃない?
日常を歌うっていうかさ

[SOMAOTA]
そうですね
ただ、今は怒りじゃないですけど「これどうなの?」って社会に対して思うこと多いんで、それについて(曲で)言うようになりましたね。
自分のストラグルよりかは社会に対する違和感を歌う方向に

[ONISAWA]
なるほどなぁ
でもやっぱ俺はテンスリーのサブちゃんのイメージが強いな

”TY Dance Alone”を出すまでの踏ん詰まり、何かを出したくて、存在してることがただ辛くて、その切迫感をなんとか形にしたくてずっとテンスリーに閉じこもってる人っていうイメージ。
その切実さがやっぱサブちゃんに対する一番大きいイメージかな

[SOMAOTA]
うんうん
葛藤はオニ君にとっても大きなテーマじゃないですか?

[ONISAWA]
そうやな
俺はBlack petrolの『MYTH』で個人的な葛藤を普遍的なものとして表現できるかみたいな試みをしたと思うんだけど、「次はどういう形で(葛藤を)表現すればいいのか」っていうのは俺の中でもまだ答えが出ていなくて......

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
俺の一つの答えは今仕事でやっていることで(※オニ君は現在ドキュメンタリー番組のディレクターとして活動中)。
要するに今ストラグルのど真ん中にいる人の声を拾うということ。

他者に触れて他者の経験や感情をしっかり受け取れるようにならないと、より個人的なものっていうのは

[SOMAOTA]
作れない気がしますよね

[ONISAWA]
うん

[SOMAOTA]
俺がオニ君との関わりで印象に残ってるのは、やっぱりあれかな。
Black petrolの2nd EPの”Cardioram”とか”Tokyo”がそうだったけど、同じ場で一緒に創作するっていうのがすごい印象的だったなって

[ONISAWA]
俺の家で”Cardiogram”書いたよな笑

[SOMAOTA]
そうそう、リアルタイムで笑
あれ、2人で1つの話を書いてるから相手が書いてる時は黙って待ってる、みたいな笑

[ONISAWA]
あったあった笑
変な書き方やった、確かに

[SOMAOTA]
面白かったな、”TABU” もリモートではあるけど、一つの話を作ってますもんね

[ONISAWA]
”TABU” とか ”Cardiogram” って俺とサブちゃんじゃないとできへんよな笑

[SOMAOTA]
間違いない笑
当時から言ってたな、「日本で俺らしかできない」って笑

[ONISAWA]
さっきの話じゃないけど、1つのストーリーを2人で語るっていうのは文学青年しかできへん、あれは面白いな

[SOMAOTA]
一人で書くとああはならないんですよね
”TABU” もびっくりしたもんな、「あ、裏切られた笑」って

[ONISAWA]
そうそう
話は飛ぶけど、やっぱり、人って「周りに誰がいるか」とか「よく行く飲み屋がどこだ」とかそういう事にすごく影響を受けてるんやと思う

[SOMAOTA]
わかる

[ONISAWA]
だからこの先さ、サブちゃんがさめちゃくちゃ有名になったり、あるいは、Black petrolが評価を受ける日が来たとしても、それはアーティスト独自の個性というか、その時代その場所の表現が評価されたってことなんやと思う

俺らで言ったら、2010年代後半から2020年代にかけての京都っていう場所で生まれた一つのムーブメントが、っていう

[SOMAOTA]
そうですね、間違いないですね

[ONISAWA]
だからサブちゃんは、やっぱり、あの時期の京都の空気を体現してるっていうか

[SOMAOTA]
全然京都の人間じゃないんですけどね笑
でも、最近は、傲慢かもしれないんですけど、「俺が背負っていく」っていう意識がちょっと芽生えてるんですよね

[ONISAWA]
それはみんな感じてると思う
シノ(SHINO)ちゃんの結婚式でも言ってたやん、「太田はすごいな、頑張ってくれ」みたいな

[SOMAOTA]
言ってくれてましたね

[ONISAWA]
だからやっぱ俺たちを背負ってる感じ

[SOMAOTA]
それ(背負うもの)がどんどん増えてきてて。
バンドも2つやってるし、俺がボーカルだからっていうのもあって「自分がやらないと」って。まあ結構大変ではあるんですけどね

[ONISAWA]
一人で森を散歩してただけなんだけど、どんどん荷物が増えて、役割が増えて、本格的な登山になってきて

[SOMAOTA]
命の危険も出てきたという笑
もう、簡単には引き換えせない感じになってきましたね

[ONISAWA]
なるほどな

ちょっと関連する話やけど、サブちゃんって「個人的なことしか歌われへん」ってずっと言ってたやん、それって今もそう?

[SOMAOTA]
そうっすね

[ONISAWA]
確かに、今もそうか
もちろんラップって一人称で個人のことを歌うねんけどな。
ただ、俺としては、その個人を超えた”周りの全ての環境から出る声”っていうのがあるんじゃないかと思ってて.......

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
だから例えば、東京での生活を始めたサブちゃんが自然体でラップをすることで、東京での生活がにじみ出るっていうか、、、これ上手く言えてるかな?笑

[SOMAOTA]
わかりますよ!むっちゃ、仏教感じます

[ONISAWA]

でも正にそうで、自然に思っていることをラップしてたら.、、

[SOMAOTA]
勝手に周りをレぺゼン(Represent/場所や集団を”代表する”という意味のHIPHOP用語)してる?

[ONISAWA]
そうそうそう
自然にラップをしていったら、30なら30なりの、35なら35なりの、42なら42なりの良いラップができるんちゃうかなと思ってる

だから、別に無理に背負わず、肩肘張らずにラップしてください笑

[SOMAOTA]
無理しているつもりはないっす笑
役割として、そう思ってるだけで。だけど、やっぱり僕は本当に自分が感じたことしか書けない。
だから、日記を書くっていうか、自分の中で、ある課題にぶつかって、苦闘してる間の気づきを書いてるだけなんですよ

[ONISAWA]
うん、ラップってそうじゃないと無理やと思う
それ以外の書き方がない、やっぱラッパーなんやと思うで、サブちゃんは

[SOMAOTA]
今後も多分そういう風にやっていくとは思います

ラスト1個質問いいですか?
ワンマンのイベント名の”Trans”についてなんですけど

[ONISAWA]
うん

[SOMAOTA]
僕は、ずっと、自分の事を「どっちつかずの人間だな」って思ってたんですよ、いろんな部分で。
例えば高校時代、僕、サッカー部だったんですよね、小学生から高校生までサッカーやってて。でも、振り返ると、僕、そんなに熱中できなかったんですよ。

[ONISAWA]
うんうん

[SOMAOTA]
だから無茶苦茶サッカー頑張ってる同期に対して「あいつはすげえな」とか思ってた。
そんな部活ガチ勢に対して、部活を辞めて文化祭に全てを捧げてたやつもいて、うちの学校は文化祭が盛んだったから

[ONISAWA]
うん

[SOMAOTA]
そいつらは髪も染めまくって、ハチャメチャ暴れるみたいな。
俺は、そっち(文化祭ガチ勢)とも仲はいいけど、そっちにも行ききれないみたいな

[ONISAWA]
そういうこと、よう言ってたよな

[SOMAOTA]
そうそう
そういうどっちつかずな面があって。
で今、一番悩んでいる課題は、noteにも書きましたけど、ミドルハイ(上流階級よりの中流階級)生まれの俺がHIPHOP(という生まれ育ちが悪い人たちの間で生まれた音楽)というジャンルに触れていいのかみたいなこと

[ONISAWA]
「”ラッパー”ってなんだ」っていうね

[SOMAOTA]
うん、やっぱり、どっちつかずだなって思うんですよ。
「ホワイトカラー(=ミドルハイ)だったらホワイトカラーなりの生き方があるんじゃないか」みたいな

そういう、どこに行っても片足しか突っ込めない自分に対して、自己嫌悪を感じていたんですけど......

[ONISAWA]
うんうん

[SOMAOTA]
だけど、考え方を変えたら「どちらのグループの言ってることも理解できる」という風にも取れると思うんですよ。要は部活をやってる奴の気持ちもわかるし、文化祭で飛び跳ねてる奴の気持ちも、俺にはわかると

[ONISAWA]
なるほど

[SOMAOTA]
そういう意味では、(どっちつかずだからこそ)Transできる、懸け橋として二つの場所を繋げる存在になれるんじゃないか、と思ったんですよ

[ONISAWA]
うんうん

[SOMAOTA]
という風なことを考えて、”Trans”というタイトルをつけたんですけど。
”Trans”と聞いてオニ君が考えること、もしくは、今まで一番”Trans”した経験があれば教えてください。

[ONISAWA]
(”Transって)越境ってことやんな?

[SOMAOTA]
そうですそうです

[ONISAWA]
それはすごいシンプルで、ヒップホップとかラップは別に「不良が自分のことを歌う」ってことじゃなくて、「切実なことを言う」っていうこと、その一点でしかないと思う

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
切実な声ってやっぱり力を持つしさ。
歌でもそうやと思うけど、例えばアイドルがさ、人に書いてもらった歌詞を歌ってもさ、全然胸打たんのは切実さがないから。だから、いくら(ラップが)上手くても胸を打たん、ってこともある

[SOMAOTA]
なるほどね

[ONISAWA]
だから、サブちゃんがやってることはヒップホップなんちゃうかなって思うけど

[SOMAOTA]
うーん

[ONISAWA]
誠実に自分のストラグルを声に出すことっていうことがラップやと思う。
メロディってさ、なんていうか、法則やん、原理があるし。
でも、ラップは叫び声っていうか、法則以前のものやと思うねん、だから歌よりラップの方が古いと思う

[SOMAOTA]
それはわかるな

[ONISAWA]
多分狩りが終わった後に「なんか分からんけどムカつくわ」とかさ「マンモス全然獲れへんやん、ふざけんなよ、俺こんな頑張ってんのに、なんでマンモス獲れへんねん」みたいな

[SOMAOTA]
笑笑

[ONISAWA]
そういう、なんか人間の根本的な声っていうんかな
それは今後も無くなれへんし、だから本質的にそれがラップであれば、越境する、個人的な事でも普遍的な事につながりうる可能性を持つっていうか

[SOMAOTA]
越境性を持つ

[ONISAWA]
うん、むしろそれしかない
なんていうかな、みんなバラバラやん。

結局俺にはパレスチナの人の気持ちなんか分かれへんし、でも逆に言うと、パレスチナの人にも、テレビのディレクターとして働きながらバンドやってるやつの気持ちって分からんわけ、それぞれが全く個別なわけだから。

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
だから、自分のいる場所で純粋に戦うっていうことだけが、他者と繋がりうる可能性を持つ。逆に言うと、自分の場所で頑張るしかない。

[SOMAOTA]
うーん

[ONISAWA]
だし、サブちゃんはラッパーとしての才能があって、それを使う責任がある。才能って、つまり「ペンを持ってる」とかさ「カメラを持ってる」とかそういうことやと思うわけ

[SOMAOTA]
なるほど、何かを表現する手段を持っている、ってことなんすね

[ONISAWA]
そう、だからその責任として、この世界の痛みにも目を向けて欲しいっていうか。ラップっていうものを通してちゃんと世界と向き合って欲しい

[SOMAOTA]
なるほど

[ONISAWA]
どっちにしろこんな最悪な国で生きてたら多分いつか、向き合うことになるんやろうなと思うけど。だから持ってる武器をそういう形で使ってほしいなって。俺はさ、ラッパーとしての才能はサブちゃんよりないと思ってるわけ、自分としては

[SOMAOTA]
マジっすか

[ONISAWA]
ラッパーとしての才能はな。
でも俺も俺の持ってる武器で戦いたいたいなと思うし

[SOMAOTA]
うーん
表現の好き嫌いのような気がしますけどね。
僕はラップが好きだから、表現として。

オニ君ももちろんラップが好きだけど、それよりも今は”カメラを握る”とか”人の話を聞く”っていう方向に興味があるだけかと......

[ONISAWA]
確かに、分かる
でも、なんていうか全員野球っていうか、、

[SOMAOTA]
全員野球

[ONISAWA]
音楽が得意な奴は音楽で、絵が描ける奴は絵で、フラワーアレジメントが得意な奴は花で、何かちゃんとこの世界の現実を切り取ってほしいっていう

[SOMAOTA]
うん

[ONISAWA]
全員で戦わんと結構やばい時代に入ってると思うねんな

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
じゃないと、俺らが好きだった文学とか音楽とかがだんだん勢力を減らしていって、快楽みたいなものだけになるっていうか。
だからそれ(=快楽)以外の価値を才能ある人は自分の責任として伝えていってほしいな、と

[SOMAOTA]
うんうん

[ONISAWA]
だから、サブちゃんは思ったことを素直に表現してほしいなって
それができる人だと思うし、、才能がある、だからそれをするべきっていうか。

[SOMAOTA]
うーん(唸)

[ONISAWA]
本当に素直にやりたいラップをしてたら、それが自然に、社会を映すものになると思う。この時代に生きてんねんから

[SOMAOTA]
なるほど、なんというか、ありがとうございます

[ONISAWA]
そうそう、サブちゃん、そういうことやってると思う

[SOMAOTA]
それはなんかありがたいな、言ってもらって。
ある種の誠実さを持って自分の生活を歌うことが普遍性を獲得することになるんですね

[ONISAWA]
そうそう
それがどこかの知らない誰かと繋がるかもしれへんっていうか、、やっぱアートってそうじゃないと存在してる意味ないっていうか

[SOMAOTA]
確かにな
じゃないと限られた人しかやっちゃいけないものになってしまいますもんね、あんまり気にしすぎるとね

[ONISAWA]
コメンテーターみたいなことになっちゃう

[SOMAOTA]
確かになぁ
なるほどです、いや面白い!これ面白いなやっぱり

[ONISAWA]
俺って話面白いから笑

[SOMAOTA]
笑笑
”Trans”の話から「やっぱり誠実さが大事」っていう話になったのは初めてですね、斜めの方向に行った気が。

じゃあちょっとボイスメモ止めてもらっていいんで
ありがとうございました!


2024.11.29 "Trans" フライヤー

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ワンマンまで残り6日

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