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出演者インタビュー Vol.6 "Kingo"(SOMAOTA ONE-MAN SHOW ”Trans”に寄せて)

[SOMAOTA]
何の話だっけ、そうか、(Kingoが)オニ君と喋ってこなかったみたいな話か
※オニ君=Black petrolの相方・ONISAWAの愛称

[Kingo]
そう、喋りたいんだけど喋るチャンスがなかった。

[SOMAOTA]
でも、アンセム大阪で結構喋ってなかった?

[Kingo]
そうね、あのとき初めてしっかり喋った気がする、うん、そうだね
ほぼサシで1時間くらい喋ったな

[SOMAOTA]
それと前さ(オニ君が)440のKingoライブに行ってたよね?

[Kingo]
あー、来てたね、うんうん

[SOMAOTA]
Kingoのフリースタイルが良すぎて、最初後ろで腕組みしてじーって見てたのに、いつの間にか最前でぶち上がってた、って聞いた笑

[Kingo]
そうそうそう笑
確かベースメントでだったかな、Reflectionでフリースタイルやった時

[SOMAOTA]
オニ君はそこから「Kingoっていうラッパーはヤバい」って感じてたと思うんだよね、だからアンセム大阪も、すげー楽しそうに喋ってんなー、と思って笑

[Kingo]
結構話し込んだよね笑笑
今年さ9月にライブで仙台に行った時も、ちょうど「オニくんに会えないかな?」と思って連絡したら、「ごめん、ちょうど旅行だ」ってLINE来て

[SOMAOTA]
笑笑

[Kingo]
どこ行ってんだよ!って笑

[SOMAOTA]
ついてない笑笑
といっても俺もね、オニ君とじっくり話すっていう機会はあんまり取れてなくて

[Kingo]
そうだよね

[SOMAOTA]
うんうん
だから、ほんとにこの間のインタビューで、電話繋いだとき久々にしっかり喋ったな

[Kingo]
あー、めっちゃいいね。そういう機会にもなってるんだ

[SOMAOTA]
ほんと、俺自身がワンマンにかこつけてただみんなと喋りたいだけなんじゃないか?って最近思ってる笑

[Kingo]
いやぁ分かるわー
今SOMAって、トランジショナルフェーズじゃない?

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
そういう時ってすごい人と喋りたくなんない?

[SOMAOTA]
分かる

[Kingo]
変化の時って、まるで足場を固めるかのように、いろんな人と話す、っていう時間が結構ある気がする

[SOMAOTA]
いや、ほんとにまさにそうで
俺はこれまで引っ越しが結構多くてさ

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
神奈川から京都、京都から大阪、大阪から東京っていう風に、これまで3回引っ越してるんだけどさ

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
毎回引っ越した後になぜか、引っ越し前の町の人に会いたくなるという笑
だから、京都に行った時は東京の高校時代のことを整理したくなったり、大阪行ってから、なんかやたら歌詞に京都って出てきたりとか笑

[Kingo]
笑笑

[SOMAOTA]
今Kingoが言ってくれた通り、振り返りの一環として、俺は今ワンマンライブをやろうとしてるっていうのはすごくあると思う、実は

[Kingo]
あー、なるほどねー

[SOMAOTA]
だから「東京のフレンズを紹介します!」じゃなくて、「俺が関西で一緒にやってた人たちのことを見てよ、東京」みたいな

[Kingo]
笑笑
あー、でもそれめっちゃいいなー、なるほどね
だから結構関西からのゲストも多いよね


ワンマン ゲスト発表 フライヤー

[SOMAOTA]
そうそう、「頼む、来てくれ」って連絡してさ
7年間音楽活動をやってきて、そこで関わった人全員を一堂に会したいていう気持ちがあって

[Kingo]
おーすごいね

[SOMAOTA]
そうそう、もうワンマンライブってさ、まあ正直何やってもいいという風に言われてるみたいなもんじゃん

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
お前の好きなようにやれ、と

[Kingo]
ワンマンだからね

[SOMAOTA]
ってなったら、とりあえず全員集めてえな、みたいな

[Kingo]
笑笑
いやわかるわー、めっちゃわかる

[SOMAOTA]
そうそう、Kingoのワンマンの時もそうだった?

[Kingo]
俺はあの時はこう、いろんな人と関わってた時期だったから、「ここは一回一人でやろう」っていうフェーズだったな

[SOMAOTA]
なるほどね

[Kingo]
そうそう
でも例えば、俺が京都とか大阪に拠点を移したとしたら、俺も東京の仲間を連れて行く未来が見える笑 めっちゃ簡単に想像できるな

[SOMAOTA]
なんかね笑 そうなんだよ

[Kingo]
あとは距離ができると、これまでのを俯瞰できるっていうのもあるよね?

[SOMAOTA]
あー確かにそうだね

[Kingo]
俯瞰して、重要だったものがより重要になってくる、なんか輪郭がはっきりする感じというか

[SOMAOTA]
めっちゃそう
よく言う言葉だけど、離れて見て気づくことが多いから

[Kingo]
うん、間違いない

[SOMAOTA]
だからこう、俯瞰的に見てて、ここでこいつ呼んだら面白いだろうなみたいなそういうな発想もあってさ「ここで空音投入!」みたいな笑

[Kingo]
笑笑
スマブラみたいな

[SOMAOTA]
そうそう笑
とにかく、ワンマンで、今までの自分を振り返るっていう意味でも、自分が一番好きなことをやるっていう意味でも、いろんな人に来てもらうっていうのが、俺がやりたいことですと

[Kingo]
いいなぁ

[SOMAOTA]
で、話変わるんだけど、Kingoが初めて俺と出会った時って覚えてる?

[Kingo]
もちろん
あれはトキトキの楽屋だよね、多分Dinoさんのワンマンのね

[SOMAOTA]
そうだよね、うんうん

DinoJr. 2022 ワンマンライブ 出演者発表 フライヤー

[Kingo]
えっと、喋ったのはリハ後かな?

[SOMAOTA]
お互いリハ終わってた、で、碧海祐人くんがいたんだよね

[Kingo]
あ、碧海くんいたね

[SOMAOTA]
”オウミくん”って言うとなんか2人いるからややこしいな笑
※DUCK HOUSEの鍵盤の名前も”Oumi(オウミ)”

[Kingo]
そうなんだよ、いやこれはマジでね

[SOMAOTA]
碧海祐人くんとKingoがすごい仲良く喋ってるのを見て、「この2人仲良しなんだな」と思ってたら、そのタイミングでDinoくんに2人を紹介してもらったっていうのが初めてかな

[Kingo]
あ、そうだわ
碧海祐人と俺とあの時、Dinoさんの鍵盤弾いてた市川空くんだ
ちなみにReiya The P.A.V.Eもやってる、市川空は

[SOMAOTA]
そっかそっか、じゃあ俺絶対見たことあるね

[Kingo]
うん、初めましてって話して、確かケンドリックの話とかした気がするんだよね

[SOMAOTA]
ケンドリックの話をしたよね
で、お互い自分の曲を聴かせ合ったのは覚えてる

[Kingo]
うんうん
後、俺がカンボジアの話とかをして

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
多分その時もう大学院だったから、カンボジアのヒップホップについて調べてて向こうのラッパーとサイファーしたり交流したりしながら「(彼らが)なんでヒップホップやってるのか、を掘り下げる研究をしてる」って言ったらSOMAがすごい左側を見ながら「むっちゃええな」て言ってたのを覚えてる笑

[SOMAOTA]
なんで左側?笑

[Kingo]
なんかそこだけめっちゃ覚えてるんだよね笑笑
「どこ見てるんだろう」って?

[SOMAOTA]
謎の印象笑
あ、でも俺その日全然落ち着きが無かったってのがあったかも

[Kingo]
どういうこと?

[SOMAOTA]
確か、その日の朝に、沖縄から東京に飛んでそのままディノ君のライブに直行って感じだったんだよ

[Kingo]
そうなんだ

[SOMAOTA]
で俺さ、それ以降、東京によく行くようになって気づいたんだけど、前日に東京入りしてないとライブの日全然落ち着かないんだよ

[Kingo]
そうなんだ

[SOMAOTA]
心がついてきてない、というか

[Kingo]
それはこう、慣れてない環境だから?

[SOMAOTA]
そうそうそう
あの時はまだ東京が「ライブしに行く場所」だったから落ち着くのに1日かかるっていう、1回寝たらさある程度慣れるんだけどさ

[Kingo]
あーなるほどね

[SOMAOTA]
っていうのがあったんじゃないかなと、
しかもあの会場は知らない人ばっかりだったしね

[Kingo]
話してるタイミングで(SOMAと)目が合うタイミングはあるんだけど、カンボジアの話に対して反応する時はめっちゃ左を見てたから、よく覚えてるっていうだけだけど笑

[SOMAOTA]
いや面白いな笑
その時の第一印象って覚えてる?

[Kingo]
第一印象かぁ

[SOMAOTA]
まあその時じゃなくて最初期の印象とかでもいいんだけど

[Kingo]
あーその時はつかみどころがない感じだった

[SOMAOTA]
それ、よく言われるんだよな

[Kingo]
もちろん、話したことがしっかり伝わったのはわかったし、SOMAが言ってることもすごい伝わってきたんだけど、なんせ、(SOMAが)会場にいたのがリハの時だけで、本番とリハの間とか本番後とか会場にいなかったから笑

[SOMAOTA]
そうなんだよな笑

[Kingo]
俺にとっては当時、あの場所は本当に先輩ミュージシャンがたくさんいたからすごく大事だったんだよね、その人たちがどういう風にリハをして……

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
どういう時間を楽屋で過ごしているのかを全部吸収しようと思ってて

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
Dinoさんのリハもずっと見てたし、サナバ(SANABAGUN.)のリベラルさんにも「ずっと見てるな」って言われて「見てるっす」って返したくらい笑

[SOMAOTA]
いいな笑

[Kingo]
その中で、(SOMAは)同い年だし同じ感じかなと思ったら全然会場にいなかったもんだから「つかみどころねえな」って思ったの覚えてる

[SOMAOTA]
確かに、あの日の俺らの行動を比べるとむちゃくちゃ対照的だよね笑
俺はね普通に、あの、ラーメン二郎に行ってただけなんだけどね

[Kingo]
そうそう二郎行ってたって後から聞いた気がするな

[SOMAOTA]
そうそう
本番後は確か家に帰らないといけなかったっていうのがあったんだっけな...

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
あの日はさ、オルタナティブな音楽が大きなライブハウスを埋めるぐらい、シーンとして出来上がってるっていう事にすげー感動したし、もちろんDino君の人望がなせる技でもあるんだけどさ

[Kingo]
間違いない

[SOMAOTA]
だし俺が「東京来てもいいかもな?」って思ったのはまさにその瞬間だったんだけど、ライブが終わった後のアーティスト同士で喋るみたいな時間があったじゃん?

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
その時に、自分の知り合いのアーティストが知名度的に上のアーティストに「〇〇っていうバンドやってるものなんですけど」って言って名前を売り込みに行く雰囲気があってさ、それがちょっと嫌だったってのがあるんだよね
俺、今よりもひねくれてたからさ、「いや、これDino君(のパーティー)じゃん」って思ってた

[Kingo]
なるほど、それは誰か特定の人がって訳じゃなくてね

[SOMAOTA]
そうそう、まあ交流パーティーみたいな雰囲気に馴染めなかっただけなのかもしれないけど

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
ただ、今俺が同じ立場だったら、多分Kingoと同じように過ごしていると思うな

[Kingo]
うんうん、あの時はあの時、今は今

[SOMAOTA]
そうそう笑
ちなみに俺からのKingoへの印象も同じ感じ、まだグッと近づけてないなって感じだった

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
Dinoワンマンで初めて喋って、「お互いラップ好きなのは分かった」みたいな

[Kingo]

本当に好きなのはね、分かったけど

[SOMAOTA]
ただ、俺よく言うんだけど、同い年でラッパーとして尊敬できる人本当に少なくてさ、だから同い年で「ラッパーやってます」って人と出会った時にちょっと構えちゃうんだよね

[Kingo]
そうなの?

[SOMAOTA]
「こいつはどっちだ?(格好いいのか?)」みたいな笑

[Kingo]
そうなんだ

[SOMAOTA]
相手がギタリストや(歌を歌う)ボーカルだったら全然そんなことは思わないんだけど、殊ラッパーに関しては「やばいか、やばくないか、のどっちかしかいない」って謎のスイッチが入る笑

[Kingo]


[SOMAOTA]
だから、Kingoに対しても距離感を測りかねていたというか......
で、その後は、確かブラペとKingoでTOKIOTOKYOで対バンがあったよね?

[Kingo]
そうだったね、”FREE!!!”だったかな

『FREE!!! Vol.7』フライヤー

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
(2023年の)2月ぐらいにね

[SOMAOTA]
でもその時も、Kingoとすごい仲良くなったっていうのは思い出ないんだよね笑

[Kingo]
ないね笑

[SOMAOTA]
マジでそう、いつからだ?
俺が覚えてるのは、俺が一方的に「Kingoやべー」って言ってる時期があったんだよ

[Kingo]
マジ?

[SOMAOTA]
そうそう、FREE!!!の後に『anthem』(DinoJr., Kingo, Black petrol 3組の共作シングル)を作ったのが2023年の5月だっけ?

[Kingo]
そうそう、だからそう考えるとスピード感速くない?

[SOMAOTA]
速いなぁ、確かanthemのKingoのバースを聴いてその後”Reflection”を聴いて、「こいつガチだ!」てなってそれですげー興奮したのは覚えてる

[Kingo]
言ってくれてたわ!
スピード感は速いって言ったけど、でもそうだったよね、FREE!!!終わって1週間以内ぐらいにもう自主企画やろうみたいな話になってたもんね

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
3組でやるって決まってから、ぐわーって準備してさ、(2023年の)5月20日にanthemをやったの覚えてるから

”anthem" フライヤー

[SOMAOTA]
そうそう、ものすごいスピード感笑

[Kingo]
で、結局仲良くなったタイミングっていつなんだろうな笑
確か2回目の大阪anthemではすでに仲良くなってた気がするんだけど

[SOMAOTA]
そうだよね、結局謎のまま笑
anthemに関しては、2023年の年始にうち(Black petrol)のリーダーが「今年、夏フェスに出れなかったらバンドをやめる」っていう爆弾発言をして、だから俺は結構必死になって「どうしようどうしよう」って思っててさ

[Kingo]
インタビューでも言ってたよね

[SOMAOTA]
そうそう
で、どうやら東京でライブをしたら(FUJI ROCKの運営母体の)SMASHの人が見に来ることがあるらしい、っていう話を聞いたからじゃあ絶対東京でイベントしないとダメじゃん、みたいな

[Kingo]
そうだそうだ、その話があって(企画を)やったのを思い出したわ

[SOMAOTA]
だから仲良くなったのは、実はアンセムの楽曲制作を通してなのかな?
だって俺その前は、夏フェスにどう出るかしか考えてなかったから

[Kingo]
確か、アンセムのバースを全員で書いて共有するっていう時間はあったよね、リリースに向けてみんなでリモートでレックするっていう......

[SOMAOTA]
そうそう、最初にKingoがジェイ(Black petrolのリーダー・takaosomaの愛称)と2人でスタジオ入ったじゃん?
その時既にKingoのバースが出来上がってて「めっちゃすげーじゃん」ってなったな、後からジェイに聞いたらKingoはあのバース、その場で書き上げたって聞いてさ

[Kingo]
あれはほぼあの日だったね

[SOMAOTA]
Kingoのバースを聴いて、俺バース書き換えたんだよね
元々別のバースの予定だったんだけどもっと言葉重視の方に変えたんだよね、「スキルで戦うの無理だな」て思って

[Kingo]
あのトラックでは、みたいな

[SOMAOTA]
そうそう
細かい譜割りでノリを出すスタイルを俺はKingo以上にできないなってなったからさ、実はあの時アーティストとしてデカイ壁にぶち当たってた笑

[Kingo]
そうなのか

[SOMAOTA]
俺にできることはなんだろう?って改めて考えてたんだよね、その時に、日本語の内容重視で葛藤を歌う事かな、ってなったんだよね

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
初めての挫折を味わった、っていうね
「うわー俺もう(ラップ)やめよう」とかじゃなくて冷静に「俺が(Kingoと同じように)バースを歌っても音楽的に何の価値もないぞ」って思って

[Kingo]
トラックを良くするためにどうすればいいのかを本気で考えるみたいな

[SOMAOTA]
そうそうそう
だからあれは今までにない体験だったね

[Kingo]
確かに、別のトラックでラップしてたら評価軸が分かれるんだけど...

[SOMAOTA]
そもそもトラックが違うしね、って言える

[Kingo]
そうそうそう
でも同じトラックだとね

[SOMAOTA]
そうそう、だから「お前は日本語重視のラップで何を言えるんだ?(言いたいんだ)」っていう当時の俺の葛藤がそのまま歌詞に出てるっていう

[Kingo]
”anthem" っていう曲のタイトルで曲を作ろうってなった時の葛藤とオーバーラップしてる

[SOMAOTA]
うんうん、だからやっぱり仲良くなったのは制作を通してってことになりそうだね

[Kingo]
うんうん、音のやり取りがあったのは確かに大きかったかもね

[SOMAOTA]
大きかった

[Kingo]
同じ曲に取り組むことで仲良くなったのか、俺らは笑

[SOMAOTA]
音楽が先だったね

[Kingo]
そうかぁ、大阪アンセムの時にダック(DUCK HOUSE/SOMAOTAの関西の根城)に泊まりに行った時に結構仲良くなった気がして

[SOMAOTA]
2023年の11月だよね、確かKingo、11月に2回来たもん

[Kingo]
あーそうだそうだ笑

[SOMAOTA]
今ね見返してたんだよ、11月の5日あたりにきて、その後月末にも来た

[Kingo]
懐かしいな、あの時色々あったよね

[SOMAOTA]
あれだ、河童ラーメン行って、オク(SOMAOTA・Black petrolのマネージャー)とDinoと4人で中華食いに行ったよね

[Kingo]
うわ懐かしい、めっちゃ安い中華行ったよね笑

[SOMAOTA]
そうそう笑

[Kingo]
卵がスーパーぐらいの値段で提供される

[SOMAOTA]
よく覚えてんな笑
いやぁすげー取り留めもない話になってしまったな、その中でもう一個印象的だったのがKingoが(客として)俺をライブに誘ってくれた事があって

[Kingo]
あったあった、Ruby Room?

[SOMAOTA]
いや、新代田の…
[Kingo]
新代田FEVER

[SOMAOTA]
そうそう、あの時のライブも印象的で、anthemで見たときよりも、ショーケースとして魅せるっていう意識を感じた、ラッパーというかMCの様な立ち振る舞いをしててさ

[Kingo]
それはめっちゃ嬉しいな、SOMAが見に来てくれて(ライブ後)「どうだった?」って俺がめっちゃ聞いたんだよ、新しい挑戦を色々したライブだったから実際どうだったんだろうって気になってさ

[SOMAOTA]
ピッチ変えたりとかアレンジもかなり変わってたよね

[Kingo]
そうそう、確かSOMA「歌詞の締め切りがあって来れるかわかんない」って言ってたけど結局来てくれたんだよね

[SOMAOTA]
そうそう、Kingoのライブ見た方が歌詞書けるだろう、って笑

[Kingo]
あれ嬉しかったな笑

[SOMAOTA]
あれはすごい思い出に残ってる、新代田のライブはワンマン前だっけ?

[Kingo]
いや、ワンマン後
ワンマンで一区切りついたから、この後「ライブをどう変えていこうか?」って色々考えてた時だね

[SOMAOTA]
そっか、(2024年)2月27日だったね、逆にキンゴが俺と仲良くなる上で思い出深いことって何かあったりする?

[Kingo]
思い出深いことか、やっぱ俺もアンセムのバースでSOMAのバースがすごい良かったんだよね、確かSOMAのバースが出来上がるのが一番最後だったんだよね?

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
オニ君(ONISAWA)と俺のバースは出来ててさ、俺も(過去のログ)見返そうかなせっかくだから……あやべーっ、懐かしいなぁ

[SOMAOTA]
笑笑

[Kingo]
そうそう、SOMAは歌い出しから”anthem”っていうタイトルの曲で「じゃあ何を言うのか」っていう問いから入ってて、掴みも完璧なバースだなと思った

[SOMAOTA]
ありがたい、当時から言ってくれてたよね

[Kingo]
確かanthemの打ち上げでSOMAに伝えたのが、時代の変化と共に神様を信じる人がどんどん減っていってさ、科学の発展で宗教意識も薄れていって......

[SOMAOTA]
間違いない

[Kingo]
考え方もより近代化・個人化していった結果、皆どんどん孤独になっていくという、近代的なニヒリズムがある中で「俺にあるのは音楽だけなんだ」と言うところに俺も共感するし

[SOMAOTA]
なるほどなぁ、確かに言われてみればそうだな

[Kingo]
あの(打ち上げの)時、なんて言ったっけ、間違いなくあの時思った事を伝えたはずなんだけど

[SOMAOTA]
確か、16小節の中で、一度精神的に落ちてそこから葛藤を通して光を作り出すっていう感情の動きが完璧に表現されてるって言ってくれて

[Kingo]
言ったわ!「完璧に表現されてる」って言ったわ!
そうそう簡潔にね、綺麗にまとまってるなーという、別にまとまればいいわけじゃないんだけどさ

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
言っている事に棘はあるんだけど、音楽的に破綻してしまっていないという意味で、そこがすごいなと思ったのを覚えてるな
「完璧に表現されてる」って言いましたね、言ってた言ってた

[SOMAOTA]
「完璧に表現されている」笑笑

[Kingo]
笑笑

[SOMAOTA]
その後共演したのは、2024年の5月かな?
KingoをDUCK HOUSEの企画で呼ばせてもらったんだよね

[Kingo]
そうそう

2024.05.24 フライヤー

[SOMAOTA]
あの日は、クラブとライブハウスの架け橋になるイベントがやりたくてさ、ただ出演者探しに苦労して、「あの人もダメこの人もダメ」ってなってて

[Kingo]
そうなんだ

[SOMAOTA]
で、時間も迫って来たから、一緒に企画したSOCOREの矢田貝さんに「一回対面で話に行かせてください」って言ってチャリで向かってる途中に「あ!Kingoいるじゃん!」って

[Kingo]
「Kingoいるじゃん!」ってチャリ漕ぎながら思ったんだ笑

[SOMAOTA]
なんで、今まで思い浮かばなかったんだろう?って笑
ライブハウスとクラブの架け橋っていうテーマにもピッタリだし

[Kingo]
確かに

[SOMAOTA]
すぐDUCKの2人にLINEして、そのまま矢田貝さんにも「Kingoいましたわ!」って笑

[Kingo]


[SOMAOTA]
もし呼ぶならDJセットだなって話になって、じゃあもう1組はバンドがいいですね、って話してたら矢田貝さんが「俺、No Funだったら呼べるよ」っ言われて

[Kingo]
それで決まったのか!

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
あの時呼んでくれてめっちゃ嬉しかったな、あの日DUCKのライブを後ろのバーカンのあたりで見ててさ

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
偶然東京で知り合ったイギリス人の友達がその日見に来てくれてて、そいつと一緒に隣酒飲んでたら、SOMAがMCで「俺はKingoを一方的にライバルだと思ってて」て言うのが聞こえて酒吹き出しそうになった笑

[SOMAOTA]
笑笑
ライバルということにさせてもらってます笑
やっぱ人生でライバルって超大事だと思っててさ

[Kingo]
それは間違いないな

[SOMAOTA]
そうそう、懐かしいなぁ
で急に話変わるんだけど、これが最後から2つ目の質問になります
出会った当初と今で俺への印象に変化ってある?

[Kingo]
変化かぁ、どうだろうちょっと待ってね、水汲んでくる............
うーん、正直変化は特にないかな、というのも俺は多分変化が分かるほど長い間SOMAを知らないんだよね、この2年でどういう人間かを知っていったっていう

[SOMAOTA]
確かに、そっちの方が正しいかもね

[Kingo]
しかも俺らは特殊な生業をしているから、会う度に大事なトピックが出てきたり、結構毎回芯食った話をしてたよね

[SOMAOTA]
確かにね

[Kingo]
1回1回は濃いんだよね、会う時はどっちかが東京か大阪に来てるタイミングでそれぞれの家に泊まっているから一緒にいる時間がすごく長いし

[SOMAOTA]
それは本当にそうだな

[Kingo]
それがねすごい楽しくって、あれいつだったっけ?俺がSOMAの部屋にNARUTOの42巻が置いてあるのを見つけて...

[SOMAOTA]
あれは本当に最高やった!
あれでしょ、確かライブ終わりじゃなかったっけ、(2024年)5月の

[Kingo]
ライブ後にみんなでNARUTO音読して......

[SOMAOTA]
あれは本当に幸せだったわ!
いやぁ覚えてる覚えてる、あれはムチャクチャ幸せだった!

[Kingo]
あれマジで楽しかったな笑

[SOMAOTA]
あれよかったよね笑

[Kingo]
judgeman(Kingo及びSOMAOTAのBack DJ)と3人でな

[SOMAOTA]
本当によかったわあれはマジでよかった、2024のハイライト

[Kingo]
あれハイライトだったね、全員ね、喰らうとこで声出してた

[SOMAOTA]
いやぁ42巻なぁ、サスケがイタチの真実に触れて、今まで憎んでた相手が実は自分を守ってくれてた事に気づくシーンがあってさ

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
そこで、サスケはあまりの衝撃に全然理解が追いつかなくて「そんなの嘘だ!」って突っ跳ねるんだよ

[Kingo]
「何を言っている?」(42巻のサスケのセリフ)

[SOMAOTA]
そのやりとりが、1巻の半分ぐらい続くんだよね、ずっと笑

[Kingo]
笑笑

[SOMAOTA]
あとは53巻ね、ナルトが自分の出生時の秘密をお母さんから教えてもらうっていう場面があるんだけど、あれすっごい泣けるんだよね

[Kingo]
あれやばいよねほんとに

[SOMAOTA]
あの時は幸せだったなぁ

[Kingo]
3人全員しっかりNARUTOを通ってて全員(内容を)分かっているからこそノスタルジーと紐付いてさ

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
なんであの巻を持って来たかっていうと、こいつ(俺と)同じところにくらっているんだ、そのツボ同じなんだ、っていうのがあってさ

[SOMAOTA]
うんうん笑

[Kingo]
ツボって笑いだけじゃないじゃん、音楽もそうだし漫画もそうなんだなって

[SOMAOTA]
なるほどな

[Kingo]
その翌日だっけ?全員で公園でバドミントンしたの

[SOMAOTA]
したなぁ!
バドミントンしたり、新世界にたこ焼き食べに行ったり

[Kingo]
05.24のライブの翌日だったっけ?

[SOMAOTA]
そうそう、だから多分ナルト読んで、その次の日に起きてどうするみたいになって......

[Kingo]
たこ焼き行って

[SOMAOTA]
そうそう、その時俺は無茶苦茶酔っぱらって笑

[Kingo]
どっかの広場でちょっと寝てたよね笑

[SOMAOTA]
天王寺のね、フットサル場の横、その後ジャッジ君とつるしょー(DUCK HOUSEのサポートドラマー)となんばのグランド花月見に行った気がする

[Kingo]
そうだそうだ

[SOMAOTA]
Kingoはたこ焼き以降別行動だったよね、確か

[Kingo]
そうそう、友達と会ってた

[SOMAOTA]
で、その大阪エンジョイデイの翌日にバドミントンした笑

[Kingo]
そうだそうだ!
なんか意味分かんないルール作って遊んでたよね笑
そういう遊びのツボも近いものがあったんだなと振り返って思う、もちろん音楽の例えばリリックに喰らうっていうこともあるんだけど...

[SOMAOTA]
そうだね

[Kingo]
だから遊んだり一緒に作品を作る中で徐々にお互いの事を知っていった、っていう印象かな

[SOMAOTA]
なるほど、徐々に距離を詰めていってるっていう感じなんだね

[Kingo]
だからワンマンも俺はそういう意味ですごい楽しみなんだよね、SOMAがこの大事な場面で呼びたいと思った人たちがどんな人たちで、どんなライブをするのかに興味があって

[SOMAOTA]
嬉しいなぁ、皆に会わせたい

[Kingo]
その人たちを通してまた、SOMAのことがわかるんだろうなっていう......

[SOMAOTA]
うんうん、めっちゃ楽しみになってきたな、その言葉を聞いて

[Kingo]
楽しみですね

[SOMAOTA]
では最後の質問!
タイトルの”Trans”に関してなんだけど、俺はずっと「自分はどっちつかずな人間だ」っていう自意識が強くて、例えば高校時代の生活に遡るとわかりやすいんだけど、俺はずっとサッカーをやってたんだよね、小学校1年生から12年間

[Kingo]
そうなんだ

[SOMAOTA]
そうそう、だけどね、振り返ってみるとサッカーあんまり好きじゃなかったんだよね、同じ部活のやつらは行き帰りもサッカーのゲームしてるし、練習に対する姿勢も無茶苦茶真面目だし、それに対して俺はそこまで一生懸命になれなかったっていう

[Kingo]
なるほどなぁ、ちなみにスポーツはずっと好きだったの?

[SOMAOTA]
スポーツか、どうなんだろう、まあ体動かすののは今でも好きだね

[Kingo]
じゃあスポーツ自体があまり好きじゃないってことではないのか

[SOMAOTA]
うん、でもサッカーはただ昔からやってたからそのままズルズルやったというか

[Kingo]
なるほどねー

[SOMAOTA]
そうそう、俺が行った中高はね、文化祭がすごく盛んで本当に「文化祭に命をかける」というか一年間通して文化祭を準備して当日思いっきりはっちゃけるっていうカルチャーがあってさ

[Kingo]
へー面白いな

[SOMAOTA]
そうそう、本当に何でもありの文化祭、まあそういうのが俺も好きだったから文化祭の仕事もしてたんだよね

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
だけど文化祭の仕事を本気でやってるやつは部活とかやってないんだよね

[Kingo]
なるほどなぁ

[SOMAOTA]
それに対して俺はサッカー部で、やっぱ部活が週5とかあるからなかなか忙しいんだよね、だから文化祭ガチ勢に対しても「本気で関われていない」っていう負い目があった、その時もずっと自分に対してどっちつかずな印象を持ってて

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
何に対してもものめり込めないというか、どの分野でもマージナルな存在に思えてしまって、とにかくすごくネガティブな自己認識を持ってたのね

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
だけどこのワンマンをやろうと思った時ぐらいから、「いや(どっちつかずでも)別にいいんじゃない」って思い始めてきてさ

[Kingo]
どういうこと?

[SOMAOTA]
考え方を変えたら、文化祭ガチ勢とサッカー大好き人間の両方のことをある程度知っているのは俺しかいないだろうなって、それは絶対に強みだなっていう風に思って

[Kingo]
うんうん

[SOMAOTA]
じゃあ”どっちつかず”っていうのをもう少しポジティブなニュアンスの言葉で置き換えてみよう、ってなった時に”Trans”が思い浮かんで、〈移動する〉とか〈超える〉っていう意味なんだけど

[Kingo]
うんうん、そうだよね

[SOMAOTA]
で、長い前置きになったけど、Kingo自身が”Trans”した経験とか、”Trans”と聞いて思い浮かぶことがあったら教えてほしい、これ最後の質問!

[Kingo]
”Trans”と聞いて何を思うかみたいな話だよね

[SOMAOTA]
そうそう

[Kingo]
うーん、俺もSOMAとその近い部分があって、特に思うのは、Third Culture Kidって言葉があるんだけど聞いたことある?

[SOMAOTA]
いや、わかんない

[Kingo]
Third Culture Kidは日本でいう帰国子女

[SOMAOTA]
なるほどなるほど

[Kingo]
別のカルチャーで育った人間が母国に戻ってきた時に、どちらにも属さないように感じる事があってさ

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
どちらにも属さないから”Third” Culture 、例えば俺は中学までカンボジアにいたんだけどDouble Limitedって言って、どっちの言語も中途半端に出来るっていう状態で

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
海外にいる分には日本人だけど、日本に帰った時は日本人じゃねえ、みたいな感覚だったなと今振り返って思うんだよね

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
そういう意味で2つの間の境界線上にいる存在=Transな存在という風に捉えられるのかなって、これってすごく苦しいことなんだよね

[SOMAOTA]
うーん

[Kingo]
ちなみに、これってオルタナティブな音楽をやるっていうのも結構似たところがあると思ってて

[SOMAOTA]
なるほど、例えば?

[Kingo]
例えばバンドカルチャーとラッパーの間にいる存在って厳密にどちらかというのが難しいんだよね

[SOMAOTA]
うんうん、すごいわかる

[Kingo]
でもいずれにせよ、色々な選択の結果、そこ(境界線上)にいるわけでさ、後から振り返ったときに初めて自分の存在理由が見えてくるんじゃないかなって最近は思ったりしてて

[SOMAOTA]
うんうん

[Kingo]
だからTransな存在って苦しくて、苦しいから色々もがくんだけど、そのもがきを後から振り返った結果として自分自身を再定義できるし、自分自身にしかできない表現が出来上がる、そこにたくさんの人が感化されるんじゃないかなと思うんだよね

[SOMAOTA]
なるほど面白いな、つまり対立するAとBの境界にいることこそがその人の存在理由とか実存にダイレクトにつながっているっていうことだよね

[Kingo]
うん、そうなんじゃないかなと思う、そこを掘り下げた時に見えてくるものがあると信じてるし、俺が尊敬してる人は結構そこに何かしらを見出せた人なのかなって気がしてる

[SOMAOTA]
なるほど、そういう信念というか考えを持ったのはきっかけはあるの?

[Kingo]
そうね、例えばKendrickの例が分かりやすいと思うんだけど、彼はmad cityの中のgood kidな訳で(Kendrick Lamarの2ndアルバム『good kid, m.A.A.d city』で触れられているテーマ)

[SOMAOTA]
グッドキッドは、本当にね、そうなんです

[Kingo]
多分彼自身の中の心の揺れが歌詞に出ていて、その過程で彼は”Kendrick Lamar”になっていったはずで、だからその揺れを自分の中で見つめていくみたいこと自体が表現になるのかなって...

[SOMAOTA]
なるほど

[Kingo]
変に強がって「うまくまとめよう」としないのが大事というか......

[SOMAOTA]
まとめたくなっちゃうんだけどね

[Kingo]
そうなんだよ、だってうまくまとめてきれいな存在でありたいじゃん

[SOMAOTA]
間違いない

[Kingo]
でも葛藤を表現しないと作品に血が通わないというか、生々しいディテールにこそ人は共感すると思うんだよね、例えばブラぺも「こういう方向性のバンドは売れていくけど俺らはそうじゃない」っていう芯の部分がパフォーマンスにも出てると思うし、ゴツゴツしてる笑

[SOMAOTA]
ゴツゴツはしてるな笑

[Kingo]
そういうアーティストが俺自身好きっていうのもすごいあると思う

[SOMAOTA]
なるほどなぁ、めっちゃしっくりきたな、まさに俺が言いたかったことをKingoが言ってくれた感があります、ありがとう
ワンマン当日は色んな意味でTransできる場にしようという風に思ってまして、改めて頑張ります!ということでこれでインタビューは終わろうかなと

[Kingo]
OK

[SOMAOTA]
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