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出演者インタビュー Vol.3 "DinoJr."(SOMAOTA ONE-MAN SHOW ”Trans”に寄せて)

[SOMAOTA]
トライコットとね、これって誰が呼んでくれたんだっけ?

[DinoJr.]
爽(サワ)さん

[SOMAOTA]
爽バンドとトライコットとDino君

[DinoJr.]
そう、スリーマンだったかな

[SOMAOTA]
で、Dino君がDUCK HOUSEに泊まりに来てた

[DinoJr.]
そうそう

[SOMAOTA]
夜行で来たんだよね、確か

[DinoJr.]
あの時は、そう。
いや、どうだったかな?

[SOMAOTA]
朝来てたね、俺が朝6時くらいに、自分の部屋のドアを開けて、リビング見たら、めっちゃオレンジ

[DinoJr.]
オレンジだったか覚えてないけど笑
夏だったのは覚えてる

[SOMAOTA]
Dino君がいて、「こんにちは」みたいな笑
それが初対面だったよね?

[DinoJr.]
いや、違うよ!

[SOMAOTA]
ライブ?

[DinoJr.]
ライブが最初

[SOMAOTA]
あ、そっかそっか

[DinoJr.]
NOON CAFEでね。屋根裏の楽屋で。
「お兄さんめっちゃいいっすね」って、話しかけてきて

[SOMAOTA]
そうだそうだ。
あの日、Dino君が(出番)一発目だったんだよね
ナオキ(高橋直希)と二人でやってて。
あれ、どの曲だったっけ? 肌色のガスまとうやつ、Bingoだっけ?

[DinoJr.]
Flying Sushiだ

[SOMAOTA]
Flying Sushiだ、あの曲から始まったよね。
で、聴いた瞬間に「うわぁ、すげー!」って感動してさ
そんなに感動するライブって、少なくなってきてるじゃん?でもそのライブは、メチャクチャ感動してさぁ、多分、その勢いで喋りかけたんだろうね

[DinoJr.]
うんうん
多分、それが最初かな

[SOMAOTA]
「お兄さん歌やばいっすね」って笑

[DinoJr.]

で、「僕、この後ラップするんで」って言ってたな

[SOMAOTA]
そんなこと言ったのか、全然覚えてない笑
普段だったら俺、絶対自分の演奏終わってから話しかけるんだけどなぁ

[DinoJr.]
確かそうだった気がするんだけど

[SOMAOTA]
なんか思うことがあったんだろうな

[DinoJr.]
それで、とにかく(ソーマの)ラップを聴いて

[SOMAOTA]
うんうん、トライコットのfeatでね、"Libra"って曲で俺が参加したんだよね

[DinoJr.]
そうそう
で、俺のトライコットの印象なんだけど、アブストラクトというか

[SOMAOTA]
かなりアブストラクト

[DinoJr.]
あえてぼかした色、色彩を表現してると思ってて

[SOMAOTA]
間違いない

[DinoJr.]
ただ、その中にソーマが乗って一気にくっきりした線がグワッて入ってきた感じ。それがすごい印象的だったんだよね

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
「トライコットの曲ってこうやって聴くことができるんだ」って。
それがめっちゃ印象的だったし、後、「単純にラップうま!」って

[SOMAOTA]
(照)
ありがたいな

[DinoJr.]
そしてその後DUCK HOUSEに(泊まりに)行って

[SOMAOTA]
そうだそうだ

[DinoJr.]
それで2日目に俺がデート行くはずだった子が「急に行けない」ってなっちゃって

[SOMAOTA]
あったな笑

[DinoJr.]
楽しみにしてたのに、、って落ち込んでたら
「じゃあとりあえず僕と散歩しますか?」って言ってくれて

[SOMAOTA]
夏の超暑い日に笑

[DinoJr.]
超暑かったね、コンビニにアイス買いにって

[SOMAOTA]
アイスコーヒーね!
あれだよね、ブルックリンコーヒースタンドみたいなとこ行ったよね?

[DinoJr.]
いや、それはまた別日じゃない?

[SOMAOTA]
また別日か!
さっきから、俺、全部間違えてるな笑

[DinoJr.]

で、お互いの話して

[SOMAOTA]
あれだよね、難波公園の入口のとこに座って

[DinoJr.]
そうだね。
で、その時、お互い坊主で「僕、ちょっと髪が伸びてきたんで、ちょっとディノ君剃ってもらっていいっすか?」て。その流れで、剃り合いして笑

[SOMAOTA]
懐かしいな笑
あれっていつだっけ?2021か!(Dino君の)ワンマン、21やもんね

[DinoJr.]
いや、違う、22だよ

[SOMAOTA]
笑笑 22か

[DinoJr.]
そう、その時に俺が作りかけの曲を聴かせてさ
「どうしたらいいかわからなくて行き詰まってるんだよね」って言ってたら

[SOMAOTA]
そうだそうだ

[DinoJr.]
「(このトラック)俺がラップしていいですか?」って言ってきて

[SOMAOTA]
やばいぞ笑
むちゃくちゃ不遜な奴だな

[DinoJr.]


[SOMAOTA]
その時、何曲か聴かせてくれたんだよね
で、断トツで ”Gain” が良くて...

[DinoJr.]
“Eh”ね笑

[SOMAOTA]
もぉ全部笑
”Eh”が良くて、「絶対これやん」ってなって

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
俺は曲を聴く時に、無意識に「(ラップを)乗せられるか否か」で判断するところがあってね、その時、一番乗れるのが”Eh”だったから...

[DinoJr.]
じゃあ頼もうかなって

[SOMAOTA]
いや、それで任せてくれたのやばいよね。
(制作を)一年くらいやってたんでしょ?

[DinoJr.]
そうだね。あれはそう

[SOMAOTA]
そんな曲を、会ってすぐの奴に頼んだのか笑

[DinoJr.]
うん、あの時「ソーマと(曲を)やる気がしてて」

[SOMAOTA]
そうかぁ、既にあの時

[DinoJr.]
そう。
で、”Eh”は自分の中で一番推し曲だったんだけど
「あ、こいつかも、頼むわ。」みたいな笑

[SOMAOTA]
すげえな笑
だから、最初の2日で関係性がグッと近くなったんだね

[DinoJr.]
そうそう

[SOMAOTA]
最初の俺の印象ってどんな感じだった?

[DinoJr.]
なんか「ヒョウキンなやつが来たな」って感じだったな
声も高いし、動きも、こう、軽やかな感じで
だから「めっちゃ典型的な関西人来たな」って笑

[SOMAOTA]
そうなんだ笑

[DinoJr.]
で、話聞いたら「神奈川なんかい」って

[SOMAOTA]
もう、無茶苦茶、神奈川。
いわゆる「関東の人が思う関西人」をやってるわけだから、そういう意味で、Dinoからしたら「典型的」だったんかも笑

[DinoJr.]
勘違いでした笑
後はやっぱ、ラップは目を見張るものがあったね

[SOMAOTA]
それはありがたいな
俺もDino君と喋ったことで、思い出に残ってることが多くて

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
それこそ”Eh”作るときに、渋谷のハロウィンの話してくれたよね?

[DinoJr.]
したね

[SOMAOTA]
渋谷のハロウィンで、暴徒化して路上の車を横転させたみたいに、人が集まって浮ついた気持ちになると、すごい悪い方向に狂気が使われてしまう、という

[DinoJr.]
そうそう

[SOMAOTA]
メッセージとしてはアンチ(ハロウィン)だけど、浮ついてる側の視点から歌詞を書きたいって、説明してくれた

[DinoJr.]
そうだね

[SOMAOTA]
"酩酊くらいがちょうどええ"

[DinoJr.]
そうそう笑

[SOMAOTA]
で、ちょうど安倍さんが撃たれた時だったから、俺のバースではそれを(歌詞に)入れてて

[DinoJr.]
あ、そうなんだ



[SOMAOTA]
そうそう、銃撃事件の蓋を開けてみるとそんなに深い理由はない。それっぽい言い分はあるんだけど、やっぱりどこか論理が飛躍しているというか

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
それで銃のケースを開けても、中にはチーズケーキが一切れ入ってるだけ、っていう表現をしてたり

[DinoJr.]
そういうことなんだ

[SOMAOTA]
そうそう
だから結構重いことを軽やかに言うっていうことを意識したかな
そうやって、テーマを一緒に共有して作るのが俺はめちゃくちゃ好きだから、結構楽しかったな。

[DinoJr.]
わかるなぁ
逆に中身のないものを作ろうとすると、俺は、途中で投げやりになっちゃう。愛せなくなっちゃう

[SOMAOTA]
うんうん
その後多分あれかな、"我愛日光"(読み方:アラブサンシャイン)を作った

[DinoJr.]
そうだね

[SOMAOTA]
あの曲は、俺の曲の中で最も明るいかもな笑

[DinoJr.]


[SOMAOTA]
DUCKでトラック作って、俺が1バース目を作った後にみんなで「(2バース目に)誰か入れたいな」って言ってたんだよね

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
その時に3人で「Dino君や!」ってなって。
ほんでお願いしたら次の日ぐらいに、バースが返ってきたよね

[DinoJr.]
そうだったな、俺はそういうとこがあるからな、気分が乗れば早い

[SOMAOTA]
早いよな笑 "anthem" も一瞬だったしな笑
その後、MV撮影のために大阪に来てもらったんだよね

[DinoJr.]
そう、だし、あの時は本当によく大阪に行ってた

[SOMAOTA]
そうだね、大阪、よく来てたよね
アラブサンシャインのMVとTiny Deskみたいな映像を撮ったよね。今見ても、すごくいい

[DinoJr.]
いいよね

[SOMAOTA]
いい感じ、あの時期楽しかったなぁ
結構、色々と話し込んでたよね

[DinoJr.]
話し込んでたね

[SOMAOTA]
俺はあの時期、仕事で無茶苦茶忙しかったんだけど、「Dino君が来たら絶対もてなさないといけない」みたいな謎の使命感があって

[DinoJr.]
あざす笑
あの時期は本当によくDUCK HOUSE行ってたなぁ

[SOMAOTA]
本当に来てたよね笑

[DinoJr.]
最後の方は「また来たの?」みたいな感じになってた笑

[SOMAOTA]

多分、あの時期があったから『noob』が出来たっていうのはあるよね
Dino君にとってかなり重要なインプットの時間だったんちゃうかな、って

[DinoJr.]
わかる、『noob』ね。
”Gain”は「そういえば、ソーマが速いビートに乗せてるの聴いたことないな」と思ってSA

[SOMAOTA]
そうそうそう、速いの、やりたいんだけどね

[DinoJr.]
絶対相性いいのになと思って。
だから”Gain”のスピード感あるトラックに乗せてもらったらおもろいだろうな、って

[SOMAOTA]
うんうんうん
じゃあ結構プロデューサー的な視点というか

[DinoJr.]
そうだね

[SOMAOTA]
そうなんだ
じゃあDino君は、最初に俺のラップを気に入ってくれて、実際に話したら、なんか気が合うやつだった、みたいな感じ?

[DinoJr.]
そうだね。でも、「こいつの音かっけえな」と思うやつはなんか思想とか哲学が近いことが多いな

[SOMAOTA]
あー分かるな

[DinoJr.]
不思議とね

[SOMAOTA]
”Gain” 作り始めたの、いつ頃だっけ?

[DinoJr.]
作り始めたのは、、確か去年の夏とかかな?

[SOMAOTA]
そうだそうだ
アラブサンシャイン出した後に、すぐ連絡来て。
「おーまたやるんか」ってなった記憶があるからその時期だ

[DinoJr.]
そうだね

[SOMAOTA]
少し遡るけど、俺はDino君のワンマンがエポックで。
さらに遡ると、俺は”TY Dace Alone”という曲で俺のラップ人生の第一幕が終わったんだよね、つまり家庭のことを、自分の生まれ育った境遇を歌にするっていうのをずっとやりたくて。それが”TY Dace Alone”で形になった。それで、その後どうしようかな?って。

[DinoJr.]
あの曲はヤバいよね


[SOMAOTA]
そう、で、ディノ君のワンマンに行ったら、SANABAGAN.のリベラルさんとか、ものんくるの吉田さんとかが一堂に会してでかいパーティーやってるんだけど、流れてる音はめちゃくちゃオルタナティブっていう

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
「こんなシーンあるんだぁ!」って衝撃的だった

[DinoJr.]
うんうん笑

[SOMAOTA]
てか、「Dino君ってめっちゃすげー奴じゃん」って。
俺はあんまり知名度とかは気にしないから、後から気づくことが多いんだけど

[DinoJr.]
(照)

[SOMAOTA]
そこで「このシーン面白そうだな」って思って またやる気になったっていうのがあった。だからそのきっかけをくれたっていう意味ではめちゃくちゃ感謝

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
後、これ絶対話そうと思ってたんだけどDino君のワンマンが2年前、で、Kingoのワンマンが1年前ってなった時に「俺も絶対やりたいな」ってもうその時から思ってて。
「次、俺じゃん」みたいな、意味わかんないけど

[DinoJr.]
俺は、それ、なんとなくわかるよ笑

[SOMAOTA]
だから、「11月に企画をやろう」って話はオク(※SOMAOTAのマネージャー)としてたんだけど、「ワンマンでいこう」って決めたのは俺で

[DinoJr.]
なるほどなぁ
俺の中では、やっぱり、KingoとSOMAOTAはかなり象徴的な存在だったな

[SOMAOTA]
面白いよね
俺とKingoはたまたま同い年だし、ラップ好きという意味でも一緒だし...

[DinoJr.]
それを同時期に見つけるという笑

[SOMAOTA]
そういう意味でも、Dino君ってプロデューサー気質があるよね

[DinoJr.]
うーん、やっぱそのラップスタイルがあんまり既存のスタイルにハマっていないというか、かなりネオだなっていう

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
よく言えばネオ、ニッチと言えばニッチだよね。
そのスタイルに、俺は音楽の進化の可能性を見た、だから、その二人にアルバムに入ってもらって一つの作品を作ったのが自分の音楽史としてもかなり

[SOMAOTA]
すごいよね

[DinoJr.]
とても革新的だった、そこからブラペとの縁ができていったっていうのもあんまり偶然とも思えないっていうか

[SOMAOTA]
anthemね、anthemも2回やってその時もよく喋ってたよね

[DinoJr.]
喋ってた

[SOMAOTA]
大阪編でルナちゃんと3人でちょっと散歩して喋るみたいなんあったよね
打ち上げ抜け出して、、あれとかすごい覚えてるな

[DinoJr.]
覚えてる覚えてる

[SOMAOTA]
anthem大阪編の思い出はやっぱり”Gain”を始めてライブでやった事かな
楽曲とはまた違って「ライブのノリ、こんな良いんだ!」って笑

[DinoJr.]
”Gain”は面白いよね

[SOMAOTA]
ライブで化けるじゃないけど、「全く別の響き方をするなっていう」

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
後、あの時のブラペのライブがすごい良かったんですよ、なんでか分かんないけど

[DinoJr.]
やばかったよね

[SOMAOTA]
すごい色々重なったというか。
やっぱりそのサマソニの不完全燃焼感が俺らはあったから。
演奏はだいぶ良かったんだけど、「イベントとしてどうなんだろう」っていう気持ちがあって、その気持ちがあそこ(anthem大阪編)で爆発した、って感じ

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
これはnoteにも書いたけど、anthem大阪編が終わって数日後にDino君から「ちょっと話があるんだけど」っていうメッセージが来て笑

[DinoJr.]
そうそう笑

[SOMAOTA]
「やばいじゃん!」みたいな

[DinoJr.]
笑笑
で、電話して

[SOMAOTA]
そうそう、最初は「ソーマ、東京来たら」気軽なノリだったよね

[DinoJr.]
そうそう

[SOMAOTA]
俺は最初、「えー、東京?」みたいな反応で
でも詳しく聞いたら、「Black petrolのライブは良かった、ああいう爆発力のあるライブをするアーティストが東京にいないからもっと東京で面白いことしようぜ」って

[DinoJr.]
そうそう、そんな感じだった
後やっぱり去年たくさん大阪に行ってた時期に、大阪のシーンをいくつか見てさ

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
目茶苦茶粒ぞろいのアーティスト/ミュージシャンが揃っているにも関わらず、なんか燻ぶってる空気があって

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
なんか、ちょっと諦めムードというか、小さくまとまってる感じがしてさ。
単純に「もったいないな」と思ったり

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
で、SOMAOTAは本当に稀有なスキルを持ってるラッパーだなと思ったから。
「もうここで研鑽は十分積んだんじゃない?」という思いと、「それを東京で試していく方が面白いんじゃないかな」って思いつきで、電話しちゃった

[SOMAOTA]
なるほどなぁ、似たようなことは感じてたので無茶苦茶分かるな。
で、数日後には東京に行く気持ちが固まってたんだよね。
っていうと、東京行きに関して、Dino君に責任を押しつけているように聞こえるかもしれないけど、「最後に背中を押してくれた」っていうのが正しいかな

[DinoJr.]
俺には変なジンクスがあって。
俺が「こいつと一緒にやるかもな」と思うとだいたい最終的にそいつが俺の周りに来ることが多くて...

[SOMAOTA]
モテ男じゃん笑

[DinoJr.]

次は、あれだね、今年5月にやった俺のリリパだ

[SOMAOTA]
あれめちゃくちゃ緊張したわ
本当に緊張した

[DinoJr.]
緊張してたよね笑

[SOMAOTA]
しかも、楽屋でも「俺は誰とも喋らん!」みたいな変な意地張ってた笑

[DinoJr.]
なんだそれ笑笑

[SOMAOTA]
まあそれはおいといて、あのイベントはすごい良かったよね

[DinoJr.]
うん
ちょっと俺の話になるけど、俺はずっと、「自分なんか愛されない」みたいな変なコンプレックスがあって

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
「いやでもそれって俺自身のバイアスなんじゃないか」ってことも同時に考えていて、だからかなり葛藤していた時期に...

[SOMAOTA]
イベントを開催して

[DinoJr.]
うん。で、あの日お客さんの反応を見て「やっぱりバイアスだったんだ」っていうのが確信に変わったんだよね。もちろん、まだ、完全にコンプレックスを抜け出せるか、っていうと時間がかかるけど

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
でも「やっぱりバイアスだったんだな」って知覚できたことが大事。
「ここから一歩ずつまたやっていこう」って思えた

[SOMAOTA]
いいなぁ

[DinoJr.]
うん、という意味で正に”noob”だよね
”noob”って「初心者」って意味なんだけど

[SOMAOTA]
そうなんだ、知らんかった

[DinoJr.]
そうそう、でも、初心者でいられる時間って短いから

[SOMAOTA]
確かに

[DinoJr.]
そういう意味で、すごく尊い時間だったし、あれが(コンプレックスから抜け出せるって思えた)初日だと思った

[SOMAOTA]
うーん(唸)

[DinoJr.]
そのタイミングでソーマがラップしてくれたのは印象的だった

[SOMAOTA]
こちらこそ、あざす
そう、だからね、振り返ると俺とDino君って、知り合った時期を考えたらたくさん喋ってるんだけどさ

[DinoJr.]
うんうん、そうだよね

[SOMAOTA]
半年に一回とか数か月に一回とかのタイミングで、お互いの大きな気づきみたいなのをシェアして、また一定期間離れてって感じだよね

[DinoJr.]
たしかに

[SOMAOTA]
だからこう、関係性に名前を付けられないんだけど、「たまに会って話すとめちゃくちゃ話し込んじゃう奴」なんだよね

[DinoJr.]
たしかにな

[SOMAOTA]
だから電話は毎回3時間くらいしちゃう笑

[DinoJr.]
そうそう笑
多分、お互い結構生きづらい性格をしていて、考えすぎっていうのもあるし

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
現代社会で脆い体で生きていく中で、お互いに収集した情報を定期的に交換して、「こっちはなんとかやってるぞ!」って

[SOMAOTA]
生存報告笑
でもさぁ、俺ら10代後半~20代前半みたいなノリで喋ってるよね笑

[DinoJr.]
そうだね笑

[SOMAOTA]
結構しょうもないっていうか、俺らは真剣なんだけどさ。
で、これ、みんなに共通して聞いてる質問なんだけど、俺と初めて会った時から今までで印象の変化ってあった?

[DinoJr.]
SOMAOTAの印象の変化ね、あるな
あのね、すごくとっつきやすくなった

[SOMAOTA]
?!
仲良くなったって感じじゃなくて?

[DinoJr.]
勿論それもあるかもしれないけど、、。
ただ、(出会って)最初の方は、掴みどころが無かったな

[SOMAOTA]
そうなんだ

[DinoJr.]
俺のワンマンにソーマに来てもらって「これでいろんなやつに紹介できる」と思ったらリハ終わって急にいなくなったりとか笑

[SOMAOTA]
すません......二郎行ってました

[DinoJr.]
「あれ、初めて会った時、めっちゃ仲良くなったつもりでいたんだけど...むずいなぁ」と思って笑
でも急に2023年ぐらいから急に動き出した感じが

[SOMAOTA]
そうだね

[DinoJr.]
だから元々のソーマの性格がそうだったのか、意識が変わったのか、それはわかんないんだけどさ

[SOMAOTA]
そうだな、意識してオープンになったな
「何事も自分事として捉えよう」って、特に、バンドとか、グループで活動する時はね。

[DinoJr.]
それはなんで?

[SOMAOTA]
うーん、じゃないと動きが停滞するからかな、ていう思いが2023年ぐらいから出てきたな
言われてみればそうだね、結構オープンにはなってんだよね

[DinoJr.]
それは感じるよ

[SOMAOTA]
ハングリー精神が出てきた、というか、「売り込まないとだめだな」という気持ちが出てきたっていうのがある

[DinoJr.]
でも、そういうの苦手なんだろうな、とも思う

[SOMAOTA]
むっちゃ苦手だね笑

[DinoJr.]
それ(自分が売り込むの苦手)を分かった上でやろうとしてる感じがあって......

[SOMAOTA]
苦手だけど、ただあんまり第一印象で悪い印象は持たれることなはいから、そういう意味では、まだマシかなぁみたいな

[DinoJr.]
そこは結構大事だよね、接しやすさね

[SOMAOTA]
そうそう、これ最後の質問になっちゃうんだけど、イベントタイトル”Trans”に関連して。文章(noteにあげたワンマンに向けての文章)で、お伝えしたかもしれないけど、自分はずっと「どっちつかずだ」という自意識があって、今もあるんだけど

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
例えば高校時代を例に出すと、俺小学校1年生から高校3年前までサッカーやってたんだよね、でも、振り返るとだけどあんまり好きじゃなかった。
義務感でやってたなって

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
で、同じ部活の、もっとサッカー好きなやつは行き帰りにサッカーのゲームやったり、プロサッカーの話とかしてるんだよね、「あのチームがどうこう」って
でも、俺は興味ないっていう。そんな周りのやつ見て「いいな」って思ってた

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
で、俺が行ってたのは、文化祭が盛んな学校で、一方で、祭りに全てを賭けて、部活も全部やめて髪染めまくって暴れ散らかす、文化祭実行委員の奴らもいた

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
彼らのなかにも共感する友達はいたし、俺もその委員をやってたんだけど、「本当の意味で入り込めない」みたいなのがあって。部活のグループと祭り集団っていう2つの集団の間にいたんだけど、どっちにも入り込めない=どっちつかずっていう自意識があってさ

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
ワンマンをやる上で、これまでの人生振り返るじゃないですか笑

[DinoJr.]
するする笑

[SOMAOTA]
そこで思ったのが、「どっちつかず」は「どちらの気持ちも分かる」って言い換えられるんじゃないかって。つまり、サッカーやってるやつの気持ちも分かるし、祭りに賭けてるやつの気持ちも分かる

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
音楽一本のやつの気持ちも分かるし結婚して生活を大事にしてるやつの気持ちも分かると。て、なったときに、境界線の上にいるってことは2つを繋げられる位置にいるって事なんじゃないかっていうのを思って

[DinoJr.]
なるほどな

[SOMAOTA]
「そういう役割を俺は担っていきたい」ということで東京/大阪・クラブ/ライブハウスという場所を繋ぐ役割になろう、と。という気持ちで”Trans”という名前をつけたんですけど。
”Trans”と聞いて思い当たることがあれば教えてほしいな、と

[DinoJr.]
そうだな、ちょっと時間もらうと、、そうだな
今聞いて思ってたのは、最近ちょっとプライベートでショックなことがあって、結構デカめの悲しみを経験して

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
俺は、自分がタフなことを自覚してるんだけど、その時は「これ、俺、ちゃんと悲しいかも。これが悲しみかぁ」みたいに思って

[SOMAOTA]
タフすぎる笑

[DinoJr.]

で、そういう悲しみに飲まれてしまう前に、意識を飛ばす瞬間が必要で

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
で、俺が今試しているのは、友達だったり、知り合いとひたすら対話をする、っていう。
音楽制作に没頭している瞬間はわかりやすくトランスだけど、実は、友達との対話もトランスなんじゃないかって

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
俺はずっとソロアーティストっていう活動形態で、誰かに手伝ってもらう事も少ないから、一人で色々やらないといけない

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
それは音楽活動だけじゃなくて、人生においてもそうで。
一人で暮らしてるってのもあるけど、あんまり人に頼れない、「頼ったら負け」っていう気持ちがどっかにあって、もちろん、頼らざるを得ないところは頼るんだけどね

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
そんな中で、今年に入って、俺は「人に頼る」もしくは「誰かと助け合う社会の中で生きていくということ」が少しずつわかり始めてきた気がする

[SOMAOTA]
大きな悲しみに直面して

[DinoJr.]
そうだね
人と話して、孤独感が紛れていくときに「今俺は人と繋がっている、一人じゃないんだ」という気持ちを味わう度に「あれ?」って思うんだよね

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
今、自分が感じている自意識が、自分だけのものなのか、共同体ありきのものなのか、、まだ、うまく言語化はできていないから、伝えるのは難しいんだけどさ

[SOMAOTA]
めっちゃ面白いな、すごいわかりますよ

[DinoJr.]
これって、トランスの一種なんじゃないかなって。
人がライブに来て、その音楽を目的に集まった人たちと、その空間の中で同じ気持ちを共有することでトランスできる

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
だから俺が共同体の誰かと一緒にいて、意識を共有することって、ある種のトランス状態にあたるんじゃないかって

[SOMAOTA]
うんうん

[DinoJr.]
そこで、癒しを得たり、安寧を得たり、悲しみをシェアして一緒に泣いたり、っていうのがある。だから、俺は最近、本当によく人に会ってる

[SOMAOTA]
うんうん、大事です

[DinoJr.]
人に共感してもらって初めて「自分が大丈夫だ」っていう気持ちを獲得していく、というか
コミュニティの中で「自分が、今、つながっている」という感覚を強く確かめる感じ

[SOMAOTA]
うんうん、すごいDinoが人間的になった笑 面白いなぁ
“Eh”の話につながるけど、人が集まった時に集団心理というか、自分が意図しない方向に大衆の心理が傾いていくみたいなのがあったけど、それもやっぱり共同体ならではの

[DinoJr.]
うん

[SOMAOTA]
もちろん、それが悪い方向にいくこともあるから、それは気を付けないといけない

[DinoJr.]
本当にね
俺のアルバム『NO MAN IS AN ISLAND』(人は孤島のようには生きれない)も、まさにそうだな。つながってきたな笑

[SOMAOTA]
面白い笑
俺は結構、アカデミックに考えちゃうんだけど、今Dino君の話を聞いて「集合無意識」を思い出した。人間が根源的に共有しているものの存在だよね、例えば神話とか、母の愛とか

[DinoJr.]
うんうん

[SOMAOTA]
そういうものを感じ取るから、国を越えて、みんなが神話に感動できる、ってよく言われるんだけど。それと、近いのかなと思ったり。
個人の悲しみを引き受けることが、自分が生きている時代の悲しみを引き受けてることになるというかね、こんな感じかな、面白かった


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