【6月組織づくりテーマ】幹部育成
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6月の組織づくりテーマは「幹部育成」です。企業経営において、幹部育成は永遠のテーマです。特に幹部の中でもナンバー2と呼ばれる、経営者の右腕のような存在は、喉から手が出るほど欲しいと話す経営者ばかりです。幹部・ナンバー2を経て、経営者になった経歴を持ち、7月20日に著書『最強のナンバー2をつくれ!』の出版を控えている、代表の長友威一郎社長にインタビューをしました。
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Q:長友社長自身が株式会社ソリューションで幹部だった時、創業者である経営者はどのような存在でしたか?
創業者である小西正行は、自分にとって「大きい存在」でした。今ではリフォーム業界で知る者はいないくらい有名な経営者ですが、ソリューションの立ち上げ当時で言うと、正直、知名度はそれほどなかったと思います。しかし、ソリューションの後継経営者となった今、改めて小西のことを考えると、10年以上も経営者という立場を経験した人であり、前職からの付き合いが長い相手なので、ずっとその背中を見てきました。一言でいうなら、この人からたくさん吸収できる・学べると思える「先生」みたいな感じですかね。だからこそ、小西を支える一人の人間として、創業者である【小西のやりたいことをどうやって形にするのか】ということを常に考えていました。経営者は会社の未来を描くための時間を取る必要があると思っているので、私の中では「経営者に現場を見させたらダメだ」という想いが強かったんです。ただ、頼れるところは頼るといった経営資源のような存在でもありました(笑)あと今だから言えますが、お客様や社員を問わず「この人とごはん行ってください!」といったリクエストをすることはよくありましたね。
Q:長友社長が「自分はナンバー2なんだ!」と自覚した瞬間はありましたか?
そうですね。自覚したタイミングで言えば、ずっと創業時から「ナンバー2なんだ」と思っていました。よく「どんな時に自覚するんですか?」と質問されることがありますが、【自分が動かないと会社が存続しない】と感じた瞬間が、ナンバー2ではないでしょうか。やばい!自分が動かないと、この会社は衰退しかないと感じる時、自分が「砦」のような存在だと感じました。会社をなんとかしないと!経営者に頼ってられない・・・そんな窮地に陥った瞬間の時こそ、自覚するものなのかもしれません。
「ナンバー2なんだ」と自覚しているとは言え、私の性格的な部分もあるかもしれませんが、社内外に「ナンバー2です」と言ったことはありません。正直、小西に「お前がナンバー2だ」と言われていたわけでもありません。特に、小西が代表を退いた時、もう一人の幹部が2代目の経営者に就任しました。その経験からも、やはり経営者とナンバー2では求められることが異なるからこそ、当時、自分は経営者よりナンバー2のポジションが向いているんだと思っていました。実際、経営者になることに興味を持っていなかったですし。
ナンバー2のポジションが向いていると思いつつ、いざ、3代目の経営者になると決めた時に何が大変だったかと考えると・・・案外、大変だったなと感じることはありませんでした。ただ、当たり前のことですが、社内外からの見られ方が変わり、やっていることは同じでも、周りの反応の変化で「経営者になったんだ」と実感しました。あと、最も経営者になったことを自覚した出来事は、銀行さんからお金を借りた瞬間ですかね(笑)
Q:経営者として、幹部から経営者になった経験が活かされた瞬間はありましたか?
ある程度、現場のことを知っているからこそ、現場で起こっていること・起きそうなことがわかるということですね。だからこそ、具体的なアドバイスができます。その反対に分かるがゆえに、ちゃんとしてくれという気持ちも湧いてしまうこともあります・・・。幹部から経営者にという点ではないかもしれませんが、お金の部分の知識を得られたので、総合的な経営を考えることができるようになったことは大きかったです。スキルや経験が偏ったり、特化したりではなく、経営のトータル知識を持てるようになりましたね。
経営者と幹部の違いを挙げるとしたら、スピード感の違いだと思います。経営者はすぐに情報を知ることができる存在なので、全部を知っているからこそ、もっと加速しないといけないと思いますし、問題意識のギャップを感じる瞬間もあります。当時、頭では理解できていたけれど・・・という発見が多かったですね。難しいですけど。知らぬが仏というか、気づかないことが楽なこともあるな・・・と実感しました。
Q:お客様と関わる中で、多くの経営者が幹部育成に困っている背景に、どのような理由があると考えていますか?
自身も同じ経験をしているからこそ、過去の自分と比較してしまうからでしょうか。自分の当たり前の基準やスピード感が、周りと同じだと思ってしまうと、相手のマイナス点ばかり目が行ってしまいます。幹部に対して「べき論」を求めてしまい、その結果、つぶれてしまったり、幹部になりたくないという人が増えてしまいます。
経営者はわかりやすく「懐を痛めている」んですが、幹部は「辞める」という選択肢を持っているからこそ、どうしても経営者に「孤独感」が生まれてしまいます。心の変化が大きいからこそ、どこかで諦めてしまう瞬間があるんでしょうね。今のままでいいや・・・やるべきことをやってもらえたらいいや・・・という気持ちになるんですよ。多くを求めなくなると言うか、必要以上のことを求めなくなってしまいます。
Q:長友社長が考える、経営者が「幹部育成に取り組むこと」のメリットとデメリットを教えてください。
■メリット
自分自身の考え方や実現したいことに共感する仲間が増えていくことですね。そうすれば、心強く、頼もしい存在になるので、組織をつくることが楽しみになると思います。組織をつくっていく上で、一人でできることの限界があります。幹部が成長すれば、お客様の数・価値・規模が広がって、より多くの人に喜んでもらえるようになります。
■デメリット
・力をかけたわりには辞めてしまったり、つぶれてしまったりすることです。その結果、かけた時間が無駄だったという気持ちになってしまいます。
・幹部育成に失敗してしまうと、正直、お客様にマイナスなイメージを与えてしまいます。
・人をつぶしてしまいそうな気がしてしまい、育成に取り組む気力がなくなる場合もあります。正直、そんな経営者をたくさん見てきました。そして、会社自体が嫌いになっている人もいるので、それはもったいないなと思います。
・逆に、幹部の好きなようにさせてしまった結果、幹部の属人的な組織になってしまうと、何も手をつけられない状態になることもあります。その幹部に対する関わり方を間違ってしまうと、自分をもっと評価してくれる企業に転職したり、自分で企業をつくりますと独立してしまうことも多いですね。
余談ですが、デメリットが表面化するきっかけの一つとして、経営者からの期待という名の圧力が一番大きいのではないでしょうか。期待の度合いを超えてしまうと、幹部が受け止められないという気持ちになってしまい、自分は何もできないとつぶれてしまいます。特に、期待しているからこそ、経営者はできているところよりも、できていないところを見がちになってしまうので、できていないところにばかり本人も目が行ってしまうんですよね。
Q:長友社長が考える、経営者が「幹部育成」と向き合う上で、大切にしてほしいポイントがあれば教えてください。
「仕事の充実度とプライベートの充実度が同じくらいないとダメ」だということですね(笑)幹部も仕事をがんばるがゆえに、プライベートをないがしろにする人も多い印象です。すると、現場は幹部のそんな状態についていけず、幹部の当たり前が孤立してしまうことがあります。意外かもしれませんが、仕事以外のプライベートの時間を創出してあげることが大事です。特に、これからの時代はより重要になってくると思います。これがなければ、これからの経営は難しいですよ。たまに「24時間働きます!」という幹部と出会うのですが、周りがついていけないはずです。
また、会社という組織だからこそ、幹部は力があるから役職を持っていると思います。限られた時間の中で成果を出すということも大切です。前提として、定時までに仕事を終えて、成果を出すことですね。成果が出ていない中、プライベートの時間のために「帰れ」と言ってほしいわけではないということは知っていただきたいです。
このようにお客様に伝えると「何から始めたらいいんですか?」という質問をいただきます。例えば、残業をしない「No残業デー」をつくったり、面白いと思える趣味を探してもらったり。私自身も、毎日帰宅が遅いタイミングがあったのですが、いざ早く帰ってみると「世の中にはこんなにも定時に帰っている人が多いんだ!」ということに気づけたんですよ。だからこそ、ちょっとした自分のスケジュールを変えてみるところから始めていただきたいです。もちろん、幹部にとっても業務時間を減らすことに対して、業績の不安はあるはずなので、少しずつ始めてください。
Q:最後に「幹部育成に取り組んでいるけれど、なかなかうまくいかない」「幹部を育成したいけれど、時間と労力が足りない」企業に対して、メッセージをお願いします。
■うまくいかない人へ
経営者と幹部の間に必ずギャップがあると思いますので、まずは目線合わせをすることから始めてみましょう。求めている幹部像の理想が高すぎたり、幹部自身が何をしたらいいのか分かっていない可能性もあります。目線合わせができたら、やり方は無限大なので、お互いの努力で成長できる問題だと思います。きちんとすり合わせて、目線が合えば成長する努力をすること。まずは、設計図・完成図がないと完成できないことと同じで、個の価値観で進んでしまうことが最もダメだと考えています。ちなみに、幹部がいない場合は、幹部候補を選定することから始めないといけません。何より、幹部は育てないと意味がないですから。
■時間と労力が足りない人へ
伝えることは一つです。時間と労力をかけてください!時間をつくってください!ということ(笑)私たちのお客様の多くも、これから組織をつくっていく中で、経営者の影響力が大きい文鎮型組織だからこそ、どうやっていいかわからないと悩まれています。経営者であるあなたが、自分でやらないと気が済まない人だからこそ、その時間をどうやって作るのかが大事ですよね。もし、どうしても難しい場合は、周りに相談しましょう。もちろん、私たちも力になります!