スイムベイトの魅力【ブログ】
この前結構面白い話になりました。東北日本海側の河川は太平洋側に比べて流速がぶっ飛んでいるわけですが、そういう河川における釣りというのは"釣れるレーン"を探す場合があるという話題。
これは太平洋側の河川でも一部そうで、流れがぶっ飛んでいる場合レンジ問題もあるのですが、ルアーが流れていく"レーン"がヒットのポイントになっている事があります。
去年あたりからビッグベイト系を主力に取り入れた理由もそのあたりが実は関係していて、流れが極端に速い場合はタイダルエリア、つまり潮汐の影響を強く受け、かつ水量比で川幅の広い箇所とは違うアプローチが必要だと感じる場面も多かったためです。
要はシャローフラットが絡んでいる下流域でのチンタラドリフトゲーみたいなものとは違うルアー違うアプローチが必要で、その理屈がわかると通常の釣りにもさまざまなアイディアが出てきます。
下流域であっても、大潮周りの下げで流れがぶっ飛んでいるときも少し似たような傾向があって、流心にダイビング系やバイブ、ワーム系をブチ込むのが極端に反応がいいタイミングがあったりします。
これは基本的に河口域の下げは"上の水"が1番走るので魚の摂食ゾーンが若干下がって海水層になっていたりするためですね。
早い流速を攻略するにあたって、ワタクシ個人としては一般的なシーバス用プラグで言えばアイボーン118を先発にする事が多いです。これは早い速度の流れをダウンで攻略するのにうってつけのルアーで、似たようなものだとエルドールなんかもそう。シャローランナーなんだけど、リップ付きスイミングペンシル的なルアー。ほとんどローリングしかせず叩くとある程度飛んでくれるタイプ。
アイボーンはいい動きが出るライン角度と水圧があるので、そこを調整しながら流すのが普通のドリフトでの扱い方。ダウン側から引っ張ってくるのも流速次第では非常によく効きます。
こういう水面直下キビキビ系ルアーが非常に効くのは確かなんですが、その下のレンジを通すとなると結構きわどい釣りになります。水深があればいいですが、浅くて川床にストラクチャーが大量に入っていると、通常のリップ付きミノーの場合ストラクチャーに突っ込んでいくので非常に使いづらい。
以前、大増水した河川の瀬にジャンプライズのかっ飛び棒130を突っ込んで釣る動画を見た事あるんですが、ぱっと見てほとんどの人がなぜ飛び棒なんか投げているのか理解できないと思います。
実際やってみるとわかりますが流れがあまりに走りすぎると、ルアー自体に相当な重さがないと流れの中にステイさせる事が出来ない場合が結構あります。軽いと一瞬で流されてしまい食わせの間がなくなってしまう。
こういう状況でもゴム系が強いのは、水に入っているだけ、流されているだけで食わせる動きが自動で出るからですね。ただ一般的なシーバス用のワームはセッティングから言って高比重、高速沈下しがちなので場所によってはもう一工夫あると取れる魚の数は増えると思います。
スイムベイトはなんだかビッグベイト系的な飛び武器だと思われがちですが、結構フツーに釣れます。細身のタイプで6インチをメインに、操作性を取るなら5インチとかでもいいと思います。
使い方はローリングベイトとシンペンの中間みたいな感じ。アップに投げてスラッグ出してダウンに入ったら徐々にテンションを掛けていきます。
1番万能な6インチ(写真のモデル)で15㎝35gくらいあるのでビッグミノーくらいのインパクトがありますが、釣獲力はローリングベイトに近いものがあります。届けばフツーに釣れますから。
昨今は情報過多でベイトサイズにルアーサイズを合わせないと釣れないとか勘違いしがちですが、流速に対して合った自重であるかどうか、反応のとれる動きであるのかどうか、気にすべき事は他にたくさんあります。
もちろん明確にそのベイトに偏食しているときもあって、たとえばイナっ子の群れにボイルしていたり目視で確認できる事もありますが、あからさまにベイトにベッタリしている状況は、釣り全体で言ったら少数だと思います。
巷で言われているほどスズキはエサに対してセレクティブじゃない事が結構あります。というか正確に言うと「目視できるベイト」に執着しているというより「流れてくるコース」の方が重要なポイントだったりするという事です。そしてそのコースを通っていけば何でも食べてしまう。
なんとなく予感のある人もいるかと思いますがこの場合、ルアーの比重が実は重要な要素で、重ければいい訳ではありません。体積に対してどれだけの重さがあるのか。そして同体積の水に対してどれだけ重いのかがどのコースを通せるか、どのレンジを通っていくのかの決め手です。
ほとんどのシーバスルアーは極端な急流や緩流で使用することを想定していないため、前提として一般的なシーバスルアーを使用しようとすれば、そのような場所・状況ではまず釣りにくいでしょから「魚が釣れない場面なのだ」という認識になりますが、実際は本当に「釣れない状況」なのかどうかは魚にきいてみるしかありません。
これは"釣れない場面なんだ'"とか"これが釣れる状況なんだ"という一般的な共有感覚みたいなものがあると思います。しかし、それらの判断の基準になっているのは道具の設計や支配的な価値観に準拠しており、良く考えればそれが未規定な自然に常に通用すると考える方が無理があるでしょう。
このサイズ感で普通に釣れるし、反応も結構あるともはやベイトパターンとは?みたいな疑問が噴出します。明らかに稚鮎に着いていて、時折15センチくらいのウグイが流れてきているんですが、魚の嘔吐物を見るとどちらかと言えば大きいベイトを好んでいるように見えます。それから意外なところで言うとカワゲラ系の虫。
一般的な理解でいえば、スズキはエサに対する嗜好性が強くベイトサイズが小さければ小さいルアー、大きければ大きなルアーを使用するのがマスト=マッチザベイトと解されます。
これが理論的なゲームフィッシングなんだという昨今の風潮ですが、実際には例外だらけで論理的にそれが妥当である根拠なんかどこにもありません。"魚が〈稚鮎・イナっ子〉などのベイトを食べてる"という事は"それらをイミテートしたルアーにしか反応しない"を必ずしも意味しません。
一見理論的に見えるが論理的ではなく、あくまで蓋然的。つまりもっともらしく見える事が昨今のゲームの支配的なムードです。実際にはやってみないと見えてこないものが沢山あって、それがこの釣りの面白さだと思います。