レンタルンバ
現代人は誰しもルンバに対する憧れを抱いて生きている。
少なくとも手に届く範囲の人間はそう。今部屋で一人なのでその定義でいくと私だけが現代人であるため、確信ができる。しかしルンバを買うほど部屋が広いかというとこれは違う。自分で掃除できるレベルだ。掃除ができるレベルだからといって掃除を頻繁にしているかというと、視線を外しながら「していないわけではない」と呟くのが精々だが。できないわけではないがそこで勝手に掃除をしてくれる物があれば頼りたいと考えるのが現代人である。
だからといってすぐ購入する踏ん切りがつかないのもまた人情だ。どれくらい使うのか。部屋に置いていて違和感は無いか。ゴミ捨てはどうか。音や家具への影響はどうか。そもそも本当に掃除してくれるのか。私はルンバに憧れているのか、ルンバを使用できる部屋に憧れているのか…。一口にルンバと言ってもエントリーモデルからハイクラスまでズラっと並べると結構な金額差がある。最高クラスまでは不要である事は理解できるが、最低クラスで使用感に問題ないのだろうか。せっかく買ったのに…なんてことになったら目も当てられない。
ぼんやりと逡巡しながら価格.com(神サイト)や検索などで比較をしていたところ、レンタルサイトに目が留まった。なるほどレンタルであれば購入して失敗したな、なんて経験は避けられる。量販店やレビューの良しあしでは分からない、実際の自分の部屋に対する合う合わないが試せるのだ。それならばとすぐに申し込んだ。
実際に届いて試して使ってみると、なるほどゴキゲンに掃除をしてくれる。忙しい現代人にはもってこいのパートナーである。サイトのユーザーレビューの内容も概ね間違いないことを理解できた。掃除をするルートは結構ランダムで100%の掃除はできない。踏み込み防止用のデジタルウォール?は優秀で、一日目に恨みを込めたかのようにぶつかりに行った既存の掃除機には二度と当たらなくなったし、玄関に落っこちてくたばる事も無かった。大きなカーペットを敷いてあるが、丁寧というかややむしる勢いで掃除してくれる。髪の毛や塵が残る事は無かった。
結論として、物品は非常に良い物であると認識した。しかし購入には至らなかった。理由としては、私の部屋はオタクの部屋であるからだ。一応床には置かないようにしているが非常に物が多い。床掃きだけしても仕方がない部分がある。それ以上に、ケーブルやコードが様々な経路を辿り存在している。それらは、例えば掃除中上に上げたりして片づけたり位置の変更はできないもので、それなりに高額な機器に繋いであるため巻き込まれたら非常に困るものだった。ルンバ自体の性能や機能には不満は無かったが、部屋には合わない。試行してよかったと思う。
レンタルを返却し、何事もない日常に戻ると難なく毎日掃除機をかけられた日々を思い出す。やや恋しさが残る結果となった。