新規事業開発の失敗を振り返る その2
※前回の記事の続きです。書き手がコンテンツを書けないのでピボットをした、というところから。
ピボットして気軽に書けるようにしてみたが
普段学習している事なら気軽に共有できるのではないか、という事でピボット。しかしまたもや問題が。
他の社員に共有できる学習内容が無い社員が大半でした。
つまり、現場固有の知識はあるが、そこから知識やスキルを一般化して社内に共有するという文化がなかったため、何を書けばいいか分からない、そもそも書くネタが無いという問題に当たりました。
顧客情報は社内に共有するわけにもいかないし、仮にできたとしても読み手にとっては嬉しく無い、と。
サンクコストと報酬設計と
次第に行き詰まるにつれ、サンクコストが積み上がってきました。早く社外にこのプラットフォームを売りに行きたいという派と、社内で成功するのが先決だという派に何となく分かれました。
また、書き手にはピアボーナスのような報酬を設計しようとも考えましたが、自然にループが回らない限り報酬が無くなった瞬間に書かなくなるのは目に見えていました。
キャリアより資格取得が人気?
自社では資格を取った人は合格体験記を書くという業務フローになっていました。しかし合格体験記はエクセルに雑多にまとめられており、場所すら知らないという社員がほとんどでした。
そこで、我々が作っているプラットフォームで見れる様にしたところ、社員の需要があったのか、MAUが30->100ほど伸びました。
一時的にMAUは上昇したが
ここで、プラットフォームに関する評価が分かれました。十分な価値を提供できている、という派と、本来の価値は提供できていない、という派と。
ここからどう発展させていくのか何時間も会議を重ねましたが、これ以上大きく発展させることができませんでした。
半年以上開発を止め、会議だけを行いましたが、打開できず、PdMが経営陣にギブアップ宣言。クローズとなりました。
正しい問いを使うことができなかった
「このアイディアで売れるのか、ユーザーは使ってくれるのか」
といった問いは今思えば最悪の問いでした。
「どんな情報が載っていたらユーザーは喜ぶだろうか?」
「どうやったらアイディアをもっと良いものにできるか?」
という問いから無意識的に逃げていたのです。
自分達の観察力、想像力の無さを目新しいアイディアを思いつく事で乗り切ろうとしていました。
「すでに競合がいるしなぁ」という言葉はユーザーと課題をそもそも理解していない
競合製品を使っているけど生じている不満を解決するのが、プロダクト開発の一番の核なのだから。
「結局、求めるものは人それぞれだよね」
この言葉はプロダクト開発者として絶対に言ってはならない敗北宣言に等しいです。ユーザーの事が理解できないなら、丁寧に事実を集める、観察する、そして想像しないといけなかったですね。
開発を止めて会議が続き過ぎた
退路を自ら絶ったことにより、小さく作って、早く失敗するという事が途中からできなくなっていいきました。
アイディアへかかる期待値だけが膨らんで、誰も決定できなくなっていきました。
振り返ってみての所感
こうやって文言化すると「基本ができてないな」とか「こういう本あるから読めばいいのに」とか突っ込みたくなります。
チームでも勉強してたし、新規プロダクト開発方法に関する書籍はたくさん読んでたんです。
でも、実践するとなると理屈通りにはいかないな、と感じました。
一生懸命、本気で取り組んでいたからこそ、間違えたのです。