【131話】【ネタバレ】俺だけレベルアップな件【翻訳】
デュアルダンジョンのゲートの外では、旬によって追い返された勇気ギルドの攻撃隊メンバーが旬達が出てくるのを待っていた。
「ハンタースのメンバーが入ってもう1時間は経ったきがするけど…どうなってるんだ?」
「これ、うちの攻撃隊が潜ってたら、 本当に大変なことになってたかもしれませんね」
見つめたゲートの先に複数の人影が現れた
「ハンターたちが出てきた!」
消耗しきって自力で歩くこともままならず、向坂の肩を借りて出てきた最上と、俯きボロボロの攻撃隊メンバーを見て、勇気ギルドのメンバーが青ざめる。
(ハンタースの精鋭メンバーたちがあんなに変わり果てた姿で現われるなんて! C級ゲートで一体何があったんだ?!)
「勇気ギルドとおっしゃいましたか。戦死者の方々の移動を手伝っていただけますか」
「戦死者ですか?! 」
「はい···はい! もちろんです!!」
淡々と話す犬飼の言葉に、勇気ギルドのメンバーが驚愕する。
ハンタースのメンバーに続いて旬がゲートから出てくる。
(設計者の本体は多分別にある。 回答がなかったわけじゃないが…あいつの回答じゃどうもしっくりこない)
「トップクラスのハンターたちが20人近く亡くなりました。ダンジョンブレークが起こっていたら被害規模は想像もつきません。
これを水篠ハンターは一人で 止めようとしたんですか? 」
犬飼に声をかけられ、旬は並べられてシートがかけられた死体を見下ろした。
(勇気ギルドに、見つかった二重ダンジョンを報告してほしいと言ったが···まさか救援に来てくれるとは…死傷者を出してしまった)
「ハンタースギルドと監視課が動いてくださったおかげで助かりました」
「 S級ハンターが動いていれば監視課の耳には必ず入ります。
ハンタースに協力を要請したのは私の判断でした。 結果的にこんな惨事になりましたが···」
足元にはダンジョンで命を落とした者達。
旬が何を考えているのか、言葉に出さなくても分かった犬飼は、死傷者が出たのは旬のせいではなく自分の責任だと述べた。
「水篠ハンターはどうやって 二重ダンジョンの存在を知ったんですか?」
「ダンジョンが俺をよびました」
「…ダンジョンが呼んだ…?」
「はい、ここに来るようにというメッセージを受けました」
「そのメッセージを私たちも見ることができますか」
「俺の頭の中だけで見えるメッセージですから…」
(死傷者が出てる状況で冗談を言うわけないだろうし…まったく···私の常識では読めない人だ)
「水篠ハンターは大丈夫ですか? 」
「はい、私はもちろん··· 」
背後から声をかけてきた向坂に答えようとして、旬の体が揺らいだ
「いや、すこし···疲れたかも···」
「水篠ハンター!」
倒れた旬の体を、犬飼が受け止めた。
その頃DFNでは、大型トラックに積み込まれたマナ石が大量に1箇所に運び込まれていた。
「20万トンものマナ石だ。魔法陣に魔力を注ぐには十分すぎる」
戦闘服に身を包んだユーリ・オロフは満足そうにマナ石の山を見た。
「ゲートを中心に結界魔法陣を構成し、発動時の魔力はマナ石から抽出する。
そこから先は魔法陣が魔力を集める仕組みだ」
視線の先は首都の空にポッカリと空いた穴のような、真っ黒なゲート。
「ところで····変だな」
「はい?何か手違いでもありますか?」
スーツの協会員が疑問の言葉を口にした。
「いや、魔法陣は完璧だ。ただし···周りに誰かいるようだね」
その視線は周りのビル群に注がれた
「え?」
「お前は誰だ! どこにいる!?」
「……」
返事はない
「明日がダンジョンブレークだというのに、街に残るなんて命知らずな人いるんでしょうか?」
「人とは限らないぞ」
「は?」
「勘の鋭い男だ。 そういえば···彼の力がどこから出てくるのか考えれば何等おかしいことはないな。」
ビルの上から街を飲み込もうとするゲートを見つめる1人の男。
「それより···いよいよ始まるのか。すべてが予定通りに進んでいる。
予定された悲劇が始まる」
水篠潤一郎は誰にともなく静かに呟いた。
ユーリとは別の場所は、厳重に規制線が張られ、迷彩服の兵士たちと戦車がいた。
その近くには抜剣ギルドのカナ、ルノー、レイジがいる。
「魔獣たちに現代火器はほとんど効かないのに、軍隊を動員する必要がありますか?」
カナが溜息混じりに投げた質問に、レイジが答えた。
「もしユーリ·オルロフが失敗した場合、一線のハンターたちが攻撃に備える時間程度は稼がないといけないからな」
「弾除け···という事ですね。」
「最前線にいる限り、俺たちも同じだ」
「災いの前で人間がどんなに無力なのか確認するだけだ」
嶺二の視線の先で、災いが空に渦巻いていた。
ユーリは未知の両端に壁のように積み上げられた魔法石の間を歩きながら陽気な声を出した。
「素晴らしい、完璧だ!うまくいけば私一人でS級ゲートを封じ込める!」
「どうせならS級ゲートを一人でクリアした男、と言われたいところだが···。 残念ながら、その表現に適したハンターが既にいるから欲張るのはやめておこう」
「ユ、ユーリさん! 酒は···!」
止めに入った協会員を無視して、酒のボトルを口に運ぶユーリ。
「祝杯をあげるだけさ。肩の力を抜けよ。私が最高のショーを見せてあげよう。
S級ハンターたちは何人くらい待機しているんだ?」
「合計15人です。」
「私のショーの見物人としてはちょっと少ないね」
「アメリカは何をしているんだ?DFNにS級ハンターたちを派遣してくれなかったのか? 」
「米国東部メリーランド州にもS級ゲートが現れました。 日本だけでなくイギリス、インドなどでも出現していると…」
「世界のあちこちが人員不足に苦しんでいるんだな」
「おお、おお、おお! ゲートが! ゲートが開きました!」
けたたましい音と共にゲートが発光して開き始めた。
目を覚ましてハッとした旬は、起き上がって頭を押さえた。
「…病院…?」
「兄貴!」
病室の扉を開いたのは、旬を見てとても驚いた様子の賢太だった。
「賢太?何だ、どうしたんだ? 」
「起きましたか! よかったです! 本当に死んでしまったのかと思いしたよ!!
まさか3日間も目を覚さないなんて!! 」
賢太は青ざめてさめざめ泣きながら訴えた。
3日という言葉に旬自身がとても驚いた。
「俺3日も眠ってたのか!?」
「はい! すごく心配しましたよ兄貴!」
(3日か···それほど疲れがたまっていたのか。 しばらく休めなかったし···
何より設計者が見せた光景が頭から消えない。 ちょっとまて···3日も眠っていたってことは···!)
「賢太、どうなった? 」
「え?何がですか?」
「日本にできたS級ゲート。 あれはどうなったのかって。 」
「あ···」
賢太の表情が雲った
「それが···」
DFNでゲートから現れたのは無視を踏み潰すかのように大型トラックを踏み潰すほど巨大なモンスターだった。
「巨····巨人!」
「巨人だ!最上位A級ゲートボスとして登場する魔獣が先頭にくるなんて!?」
「これくらいなら問題ないさ。来い!!」
巨人にに向かってかざした手にユーリが魔力を込める。
魔獣がユーリの障壁を破壊しようと武器を振りおろす。
「ウハハハハハ!A級ゲートの魔獣ごときに、私の防壁を突き破ることはできん!」
その巨人の頭部を片手で掴んで投げ飛ばしてしまうほどの超巨大モンスターが現れたのは、自信に満ち溢れたユーリの高笑いが消える前だった。
「…え…?」
ユーリの顔から余裕の笑みは消え失せ、代わりに恐怖と絶望によって、酒に酔った赤ら顔がみるみる青ざめた。
「え…え…??」
巨人が武器を横に一閃した次の瞬間、ユーリの障壁は破られた。
※ダンジョン内の旬の活躍も、犬飼さんと最上さんも全部なかったのは残念ですが…まぁ小説版には載ってくると思うのでそちらを楽しみにしたいと思います!
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