【127話】【ネタバレ】俺だけレベルアップな件【翻訳】
「監視課の方々、こちらです!」
眼鏡の協会員は声を張り上げて、武装した犬飼たちをゲートへと案内した。
(すぐに動員できる協会精鋭の7人全員を連れてきたが··· これだけでは水篠ハンターの役に立たないことは知っている。 ただ万が一に備えただけ。)
「課長?」
「犬飼先輩?」
(これは···一体…)
ゲートの前に立った犬飼はその場から微動だにできない。
「君たちは感じられないか? 」
(この寒気は何だ···?)
「ひどい魔力嵐が···」
まるで死神の鎌をヒタリと首元に当てられているような感覚。
「近くにレイド待機中の大型ギルドはあるか? 」
「はい、ハンタースギルドがレイド待機中です」
「S級ハンターのお二人は?」
「最上ハンターも向坂ハンターも、共にレイドに参加されるそうです。 」
「ハンタースギルドに···緊急協力要請を入れてください」
(水篠ハンター···あなたは一体!)
天使像の6枚の羽が、6本の手に変形した。
相変わらずのニヤついた顔が、何のモーションもなしに突如その場から消えた。
咄嗟に体の正面に構えた旬の腕に、信じられないウエイトを乗せた石の拳が叩き込まれる。
「ガハッ」
旬は背中から壁に激突して、食いしばった歯の間から血が吹き出した。
苦しむ暇もなく打ち込まれた拳をすんでのところでかわすと、一瞬前まで旬の頭が存在した壁にクレーターができた。
なんとか避けたその先で、旬の体を挟み込むように全ての腕が振り下ろされた。
絶対に避けられない一撃。手応えを感じた天使像は込み上げる笑いを隠しもしない。
が、次の瞬間には余裕の笑みは驚きに変わっていた。
旬は複数の腕から繰り出される連撃を全て受け止めていた。
「驚いた…本当に驚いたよ!!君は僕の設計を上回っている!」
天使像は興奮して笑いながら、その声とは裏腹に旬を殴りつける。
一撃目を左頬に打ち込まれた。
ニ撃目は旬の左のこめかみを拳がかすめ血が飛び散った。
三撃目が飛んでくるより先に、旬の拳が天使像の顔面を捉えた。
後方に吹き飛ばされた先で、天使像は何事もなかったかのように起き上がる。
「まさか私が人間との戦いで興味をそそられるようになるとはね。 人間が私の相手になれるとは、長い間一度も考えたことがなかった」
「興味深いな」
(こいつは俺のレベルが101に到達したところでここに招待した。 今のレベルなら圧倒する自信があるという意味だろう。 だが…やるさ)
拳が掠めたこめかみから流れ出した血は左目の視界を奪って顎から滴り落ちている。
だがその目は闘志を失うどころかギラつきを増して目の前の天使像を見据えて、一つ大きく息を吐き出した。
「設計者、まだ聞きたいことが山ほどある。どうしてシステムを設計し、どうして俺をプレイヤーに選んだのか…今、この世界で何が起きているのか」
「答えが気になるのかな? そう…もし私を殺したら答えを聞けないと思っているみたいだな」
飛びかかってくる天使像から逃げるどころか向かっていく旬。
[スキル'支配者の権能'を使用します]
レベルアップした支配者の権能で相手を操ろうとする。
「その距離から打って当たると思うのか?見当違いだな」
同レベルの支配者の権能がぶつかり合い、衝撃で互いに吹き飛ばされる。
(奴も同じスキルが使える。 これでは遠距離攻撃も意味がない)
「どうせ、私を殺しても生かしても··· 得ることができる答えは決まっている」
床に転がる、元々石像の兵士たちの手に握られていた武器。
それらが天使像の6本の手に吸い寄せられた。
「私がすべてを設計したその時点からな!」
「あんたはどうやって全てを設計できたんだ? そして、どうしてこんな力を俺に与えることができたんだ」
悪魔王の双剣をその手に呼び出しながら落ち着いた声で問う。
「私は君を選択しなかった。 むしろ反対した。私は設計して進行するだけだ。 そのためのプレーヤー育成システムだからね。 私の設計は完璧だ」
表示されている残り時間は6分19秒
(時間がない。全力でぶつかるしか…!)
「残りの時間全力で相手してやる!」
天使像はそう言うと、その巨体からは想像できない跳躍力を見せた。
自重を最大限に活かした一撃が降ってくる。
攻撃をかわしながら、旬は自身の中に灯る一点の光を感じていた
(何だ?全身の感覚が …更によみがえってるんだ。感じる…剣、槍、刀、斧、感じられる。奴の動きが!)
6本の腕に握られた武器から繰り出される攻撃を軽々とかわしていく
(私の全力の攻撃をすべて阻止して反撃してくるだと…!?しかも更に速くなっている!)
ついに天使像の1本の腕が宙を舞った。
「クッ!偽物の肉体とはいえ、私をてこずらせおって!なるほど。お前を選んだ理由はこれか。少しだが···混じっている。人間の分際で···小癪な!」
[残り時間3分45秒]
倒したはずの石像の兵士たちが再び立ち上がる。
[残り時間3分31秒]
[残り時間:3分20秒]
王冠の石像もまた、その巨体を持ち上げる。
[スキル'支配者の権能'を使用します]
支配者の権能で石像の兵士たちを放射状に飛ばし、王冠の石像から放たれる拳を避けて天使像に迫る。
更に腕を一本切り飛ばした。
が、剣での反撃を後ろに飛び退って交わしたところに、待ち構えていたものが、旬の肩に一撃を落とした。
そこにいたのは盾の石像。
最初のデュアルダンジョンで旬の右足を潰した石像だった。
(この石像は···!! あの時の···!)
[残り時間:2分40秒]
残り時間が少なくなる中、それでも恨みを晴らすかのごとく、盾の石像の頭に肘打ちを落として頭部を砕く。
天使像の腕を2本まとめて跳ね飛ばす。
「待て。試験は終わった」
天使像の喉元に剣をつきつけた旬に、天使像が冷静な声をかけた
[残り時間2分11秒]
※毎度のことながらほぼ24時間遅れで申し訳ありません😂
こんだけの戦闘シーンをカラーで毎週連載するって…化け物ですよね?
REDICEスタジオの方々の体調が心配になるレベル…
追い詰められた旬にドキドキしてしまってもう心臓破裂しますっ😭😭😭
※次回は19日0時更新の予定ですね‼️
次回は寝ないと願いたいです…😂