【145話】【ネタバレ】俺だけレベルアップな件【翻訳】
意識のない賢太にポーションを飲ませる。
[残余体力が 10%以下の時はヒーリングポーションにより 体力を回復できません。]
「2人の中でヒーラーはいるか?賢太を治療しろ」
右京と共にいた2人のうち、メガネのヒーラーが恐る恐る答える。
「あの、韓国語はちょっと···。」
「水篠はそいつを治療してほしいって言ってる」
そう答えたのは旬に殴り飛ばされたはずの右京。
シャツの脇腹の部分は破れ、殴られた跡が残っている。
それでも右京は凶悪な笑みを浮かべてゆっくりと近づいてくる。
「お互いに顔を見るのは初めてかな?水篠旬」
「もう一度だけ言う。 治療しろ」
メガネの男は先ほどより少しだけ余裕のある様子で答えた。
「私より私のボスを先に説得してくれよ」
次の瞬間には男は旬の手で横っ面を壁に叩きつけられて眼鏡が割れた。
「お前もヒーラーなのか?」
「右京さん! 水篠旬とは関係ないって言ってたじゃないか!」
黒人の男が右京に向けて叫んだ。
「治療魔法は可能かと聞いてるんだ」
「あ、いや。 俺は···」
答えを最後まで聞くことなく支配者の手によって地面に男がめり込んだ。
「やっぱり···お前だろ? 俺の兄貴右京隼人を殺したのは」
その時、意識を取り戻した賢太が消え入るような声で旬を呼んだ
「あ…兄貴…右京将人は…右京隼人の···、 弟···…気をつけてください···」
「もう何も喋るな」
「水篠答えろ。 お前が兄貴とそのチーム員たちを殺したのか」
2人が手の届く距離で対峙する。
「向こうで直接兄貴に聞けよ」
振りかぶって殴りかかってきた右京の拳を軽々と避けて脇腹に拳を叩き込む。
右京が血を吐きながら吹っ飛んでいった。
右京が起き上がる前にその頭を太い鉄の配管に叩きつける。
何度も何度も、配管が原型をとどめないほど曲がるまでガンガンと叩きつける。
「やめろ。」
旬を静止したのはトーマスアンドレの言葉だった。
「あれほど関わるなと言ったのに···。 ミスター右京···まだ生きてるかな?」
「一応」
右京に馬乗りになった状態で旬が答えた。
「だったら簡単なことさ。 彼を解放してくれ。 彼を釈放したら今回の事は水に流そう」
「嫌だと言ったら?」
右京の頭を野球ボールでも持つかのように片手で掴み上げてそう言うと、トーマスアンドレの表情も険しくなった
「頼みが頼みでなくなるだろう」
「望むところだ」
右京を後方に投げ飛ばす
(思った通りだ!トーマス、あんたはこのことに干渉するしかないだろう。
早く俺の代わりに水篠を殺せ。
水篠を殺せ、トーマス!)
「お前、もしかして私が誰か分からないのか?」
「お前が誰かなんて関係ない」
(私が誰なのか知っていながらこの態度…)
トーマス·アンドレは貧しい移民家庭で育ち。
周りは敵だらけだった。
何も持っていないように見えた彼に、天はただ一つ、最高としか言えない才能を与えた。圧倒的な暴力で敵を倒す力。
彼は後を絶たない無数の戦いの中で、天賦の才を次々に証明していった。 自分の力が自分に敵対していた彼らをどう変えられるか、はっきり見てきた。
力、権力、財力、暴力。 この世に存在する数多くの力で王のように君臨した彼は、この世に全く違う形の「力」が登場した時、真の王として君臨するチャンスをつかんだ。
行く手をはばむ者は倒す。自分を見下ろす者は膝を挫く。 暴力こそ正義!
彼は経験から,服従しない相手の取り扱い方を知っていた。
(自分の無知を恨め!)
「ここだ!」
スカベンジャーギルドの黒塗りの車が次々に到着した。
スーツ姿の者も戦闘服の者も、全員がその場に集まった。
「急げ!」
爆発音と地割れがおきて旬の一撃をガードしたトーマスが吹っ飛んできた。
衝撃で車が空を飛ぶ。
「マスタートーマス!!大丈夫ですか?」
ギルドメンバーたちを、無言で手で制する。
トーマスが鋭い眼光を向けるのは、当然旬のある方向。
「何してる!みんな戦闘態勢にはいれ!」
ギルド員が指示出しをしている時、旬もまた賢太を抱えるイグリットに指示を出していた。
「賢太を最寄りの病院に連れて行け。 なんとか治療が受けられるようにする」
賢太を抱えたイグリットはカイセルに乗ってその場を飛び立った。
戦闘態勢に入るトーマスとギルドメンバーたちが、呼び出された影の兵士たちと対峙した。
(そうだ。少なくともその程度じゃなきゃ相手にする気にもならん。
ミスター右京など関係ない。 ひびが入った自尊心を回復する方法は一つだけ。
あの生意気な小僧を殺す···!)
※け、賢太がイグにお姫様抱っこされてカイセルに乗って病院まで運ばれた……だと??
お二人さん戦ってる場合じゃありませんよ。
ヒロイン爆誕ですよ。
旬以外でカイセルに乗った人間で初めてじゃないですか??
どんだけ大事にしてるんですか。
賢太、良かったな……(´;ω;`)
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