ジャズスタンダードナンバーに於けるⅡ7-Ⅰの進行
「ドック・オブ・ザ・ベイ」のコード進行について書きましたが、その中で出て来るⅡ→Ⅰの進行について、ジャズスタンダードナンバーで出て来る曲を見ていきたいと思います。この進行は少ないです。ドミナント・モーションとかパッシング・ディミニッシュとか偽終止とか、頻出するコード進行ではないためにアドリブも取りづらいですねー。なので後で書くようにリハモして演奏されることもよくあります。
まずガーシュウィンの「エンブレイサブル・ユー」。「Original Orchestration」と書いてあるので次に張るやつがオリジナルなんでしょう。動画の下にその進行の出て来る部分の時間とコード進行を書きます。
1:11~
Cm→CmM7→Cm7→F9→E♭onB♭~
Ⅵm→ⅥmM7→Ⅵm7→Ⅱ9→ⅠonⅤ~
同じ曲をフランク・シナトラのバージョンで。
0:47~
Gm→C7sus4→C7→B♭onF~
Ⅵm→Ⅱ7sus4→Ⅱ7→ⅠonⅤ~
次に「ジャスト・イン・タイム」。これも次のが多分初吹込みかと。
0:42~
B♭m→B♭mM7→B♭m7→E♭9→D♭onA♭~
Ⅵm→ⅥmM7→Ⅵm7→Ⅱ9→ⅠonⅤ~
次は「ザ・ボーイ・ネクスト・ドアー」これは「若草の頃」というミュージカル映画の曲なので下の動画がオリジナルですね。
1:45~
G♭→A♭7→G♭onD♭~
Ⅰ→Ⅱ7→ⅠonⅤ~
続きまして「恋人よ我に帰れ」。「ニュー・ムーン」というミュージカルのために書かれたものですが、直接の録音はないようです。しかしすぐに多くの録音がなされだいたいそれで次の動画のようにコード付けされてるようです。
0:55~
Em→A7→GonD
Ⅵm→Ⅱ7→ⅠonⅤ~
こうしてみるとⅡ7→ⅠonⅤとすることが多いですね。その前にⅥmのクリシェが入ることも多いのかも。しかし時代が下るとonⅤとすることはあまりなくなるようです。
オリジナルがⅡ→Ⅰとなっていても、リハモしてなめらかに繋げる場合もあります。上の「エンブレイサブル・ユー」もなにかしらリハモすることも多くバリエーションが豊富ですが
Ⅵm→Ⅵm onⅤ→Ⅳ#m7(♭5)→Ⅳm→ⅠonⅢ(Ⅲm)
としてるのも多いようです。多分誰かの有名なバージョンのが広まったんでしょうか。とは言えこれが絶対的な定番というわけではないですね。
このⅡ7→Ⅰのリハモとしてよく見るのはⅡ7→Ⅱ#○→Ⅰとか間にトニックディミニッシュ系のコードを挟むことです。まあ普通にⅡ7→Ⅴ7→Ⅰとするのもありますが。最初に書いたようにⅡ7→Ⅰってアドリブも取りづらいですしリハモもしたくなるってもんですよ。
さてスタンダード・ナンバーに出て来るⅡ7→Ⅰの進行を見てみました。数少ない中から曲の中でどのように実際に使われてるか見てみましたが、Ⅱ7はⅥmのクリシェから繋がることが多いっぽい、ⅠはⅠonⅤであることが多いっぽいというだけで、それがなぜなのかまではよくわかりませんでした。ごめんなちい。この進行についてはずっとモヤモヤしてたので整理したかったのですが、「で?」という結果に終わってしまった感が無きにしもあらず。リハモする際の参考ぐらいにはなったかな。しかし私のモヤモヤは続くのです。