砂の女 part2
以前に読んでいた、「砂の女」という作品を読み返していた。結果的には気になるフレーズのオンパレードであった。
まず、私はこの作品について致命的な勘違いをしていた。作品の最後に主人公の失踪届が地方裁判所から発行されて終わるのだが、それは現実世界の方における失踪であり砂漠で失踪したわけではない。
しかし私がこの作品を再び読む前に抱いていた印象は、最後に主人公が死んでしまう話であった。
失踪届を死亡届と勘違いしていたようだ。
砂の女を名作たらしめる理由は、砂の女側から見た男性の姿が描かれている結末近くにあると思う。
現実世界から砂漠の集落に迷い込んだ主人公は、蟻地獄のような棲家に転落しそこに住む女と砂かきをしながら暮らすことになる。最初は躍起になって現実世界に戻ろうとする主人公だが、次第に蟻地獄での生活を受け入れ始める。しかし現実世界に戻るアプローチをやめることはなくどうやって帰れるかを研究し始めるのだが、その研究を始めてから当初は当りが強かった女に対し寛容になっていく。
一緒に暮らす女性のことを顧みず一貫して利己的でありながら研究に慰めを得る男の姿が非常に男性のリアルを切り取れていると感じた。
男とは、一体何なのだろうか。