どろソースとお好み焼きと私。
どろソース。私はその存在を数日前に知った。
関西圏でのみ流通しているそのソースは、妻がハマっているモデルさんがお好み焼きを作る際に使用していたものらしい。
実際に妻がお好み焼きを作ってくれ、どろソースを振りかけたものを食べさせてくれた。辛い、というのが正直な感想であった。
しかし妻は予め辛いことを知っていた上で購入していたらしく、辛いことは既に共有済みの前提である上でその先の実際に食べなくては分からない味覚に関してのコメントを求められていた。
誰からも求められていない「辛い」という浅い感想を放ってしまった私は、再びどろソースのかかったお好み焼きと対峙した。
そしてお好み焼き粉を一切使用せず山芋と長芋をすり下ろして作られたふわふわとした生地と海老やイカ、蓮根などの具材が生み出すシャキシャキとした食感がどろソースの辛みと組み合わさり独特の旨味がある、という感想に辿り着いた。
お好み焼きに蓮根が入っているというのは従来の形式とは違うが、これがなかなか歯ごたえがあって美味しかった。
妻曰く冒頭に触れたモデルさんがよくお好み焼きを作っていた時期があったらしく、その際にずっと同じ具材を使っていると変わり映えがしないことから蓮根を使おうと思い立ったらしい。
素晴らしい気付きである。
変わり映えの無い日々が繰り返される日常の中にもマンネリを打破できる突破口が潜んでいる。
私にとっての蓮根は何なのか。今後の人生でそれを探していきたい。
by神奈川在住の30代に突入した男