公務員のための資格取得戦略ガイド
年功序列や前例踏襲に悩む若手・中堅公務員の方に読んでいただきたいと思って記事を書きました。
私は、30代後半の上下水道局の主任級職員です。これまでにIPA高度試験や日商簿記2級を含むITや会計税務の資格を20個以上取得しました。 その経験から、資格取得こそ公務員がよりよく仕事をするための鍵だと考えています。
このガイドでは、私の経験に基づいた資格取得のノウハウを、体系的に分かりやすく解説します。 資格取得の目的から具体的な学習方法、モチベーション維持まで、あなたのキャリアアップを後押しする情報が満載です。
なぜ資格取得が重要なのか?
公務員の世界では、年功序列の傾向が強く、努力が必ずしも評価に反映されないことがあります。 しかし、資格取得は、あなたの能力を客観的に証明し、周囲(事業者や評価者)にアピールできる有効な手段です。
資格取得によるメリット
業務遂行能力の向上: 専門知識・スキルを習得することで、より質の高い仕事ができるようになり、業務効率も向上します。
自信とモチベーションの向上: 資格取得は、自分の仕事への自信とモチベーションを高めることができます。
調整に有利な状況の創出: 例えば、情報セキュリティに関する資格を取得すれば、セキュリティ対策の知識不足を突いて不当に多い工数を見積もったシステムを構築しようとする業者に対して、指摘を行い、適正な価格での契約交渉を有利に進めることができます。
市場価値の上昇: 公務員の場合、昇進や異動は難しい場合もありますが、資格を取得することで、転職市場での価値を高めることができます。特に、近年需要が高まっているITスキルやプロジェクトマネジメントスキルを証明する資格は、転職市場で高く評価されます。(転職を進めるわけではありませんが、転職できる状態にあることは良いことだと思います)
専門性向上と責任ある仕事への挑戦: 資格取得を通して専門性を深めることで、より高度な業務や、責任の大きな仕事に挑戦できるようになります。例えば、専門的な知識を必要とする委員会のメンバーに選ばれたり、リーダーを任されたりといった機会が増える可能性があります。
私が取得した中で、公務員におすすめの資格
ITパスポート: ITに関する基礎知識を証明する国家資格です。情報リテラシーを高め、デジタル化に対応する能力を身につけることができます。行政サービスのデジタル化が加速する中、ITパスポートは、あらゆる業務で役立ちます。例えば、システム導入の際に、専門用語を理解し、業者とのコミュニケーションをスムーズに行うことができます。また、取得難易度が比較的低く、約2ヶ月の学習で取得が可能です。
プロジェクトマネージャ試験: プロジェクトマネージャ試験では、プロジェクトの計画立案から実行、進捗管理、品質管理、リスク管理まで、プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系的に学ぶことができます。これらの知識は、規模の大小を問わず、あらゆる業務を効率的に進めるために役立ちます。
日商簿記2級: 日商簿記2級は、企業会計の基礎を習得できる資格です。社会福祉法人会計監査や公営企業会計などの専門的な業務はもちろん、財務諸表を読む必要がある部署であれば、幅広く役立ちます。
Google AI Essentials: Google AI Essentialsは、AIの基礎知識を短期間で習得できるオンライン講座です。AI技術の活用が進む行政において、AIの基礎知識は、今後ますます重要性を増していくでしょう。本講座では、AIの倫理的な問題や、AIを業務に活用する際の注意点なども学ぶことができます。
効果的な学習方法
学習計画を立てて、効率的に学習を進める
試験日を設定し、申し込みをしてしまいます。試験に申し込むことで、自分を追い込み、学習のモチベーションを高める効果もあります。
試験日から逆算してざっくりと計画を立てます。計画は柔軟に見直し、状況に合わせて調整することが重要です。
そのスケジュールに間に合うようにまずは進めていきましょう。
自分に合った教材で、学習効果を高める
分かりやすさ、最新情報、そして何よりも、自分に合った教材を選ぶ必要があります。必ずしもベストセラーではなく、自分が分かりやすく、やる気が出る教材を選ぶのが良いです。
隙間時間を活用して、学習時間を確保する
隙間時間 (昼休み、通勤時間など) は有効活用できます。自分が集中できる時間帯 (早朝、夜間など) を確保することも重要です。
昼休みは、短時間集中できるのでおすすめです。毎日継続することで、意外に多くの学習時間を確保できます。(私の場合、通勤は自転車なので、昼休みに時間をとっています)
休日や深夜など、まとまった時間を確保して集中的に学習するのも効果的です。(私は育児中のため、子どもが寝ている時間が勉強時間となります)
モチベーションを維持して、最後まで諦めずに学習する
目標を明確にし、達成イメージを持つといいと思います。進捗状況を記録し、モチベーションを維持することも重要です。
周囲に受験することを宣言することで、プレッシャーを活用し、モチベーションを維持するのも良い方法です。
勉強仲間やオンラインコミュニティを活用し、互いに励まし合いながら学習を進めるのも有効です。
挫折しそうになった時は
合格最低点を取ることを目標にする、全部分からなくても良いと割り切るなど、完璧主義を捨て、柔軟に考えていけばいいと思います。
合格したときの自分を想像し、モチベーションを高めていくことも1つです。(私は、レベルの高い国家資格を持っている自分を想像しています)
根詰めすぎることはよくなく、適度に休息を取り、心身のリフレッシュを図ることも大切です。
生成AIを活用する
生成AIを活用することで、学習効率を飛躍的に高めることができます。ただし、出力の正確性は必ず確認するようにしましょう。
分からない箇所を生成AIに質問して分かりやすく解説してもらうことができます。(私は、Google AI Studio や Gemini 1.5 Pro などを使っています)
図表が必要な場合は、図を描くコードを生成してもらうこともできます。
図解を活用する
複雑な内容を理解するのに役立ちます。シーケンス図などを用いて、システムなどの動作を可視化することができます。Notion (mermaid記法に対応) など、図解作成ツールを活用しましょう。(私は情報処理安全確保支援士試験で、シーケンス図というものを描いて勉強しました。)
アウトプットする
インプットした知識をアウトプットすることで、理解を深め、記憶に定着させることができます。
参考書をただ読むだけでなく、問題演習で知識を定着させます。
学習した内容をノートにまとめたり、ブログ記事を書いたりするのも効果的です。(私はNotionにまとめていました)
テキストの読み方を工夫する
テキストは、全体像を説明する「総論」と、具体的な内容を解説する「各論」で構成されていることが多いです。例えば、生成AIパスポートのテキストであれば、総論では生成AIの基本的な概念を説明し、各論では具体的なプロンプトの内容や活用シーンなどを解説します。もし、総論を読んで内容が抽象的で理解しづらい場合は、各論から読み進めるのも一つの方法です。
過去問を活用する
学習を始める前に、過去問を解くのも1つです。自分の現状の実力や、試験の傾向を把握することができます。
過去問は、アウトプットの練習にも最適です。繰り返し解くことで、知識の定着度を高めることができます。
過去問サイトを活用する
情報処理技術者試験は過去問道場という過去問サイトがあります。こういったものも積極的に活用することがおススメです。
XなどのSNSを活用する
同じ資格を目指す人の情報を手に入れたり、お互い励ますことで、効率的な情報収集やモチベーションアップを図ることができます。
まとめ
資格取得は、公務員がよりよい環境で仕事をするための強力なツールです。 積極的に資格取得に挑戦し、新たな視野や環境を手に入れ、公務員としてのキャリアアップを実現しましょう。