「ソロ温泉」だから得られる4つの自由

ひとりで温泉旅に出かける「ソロ温泉」の魅力のひとつに「自由」がある。

いつ行くのも自由、どこへ行くのも自由、何をするにも自由だ。

旅とは本来、自由であるものだ。誰かに任せてついていったり、振り回されたりしているなら、もはや旅とはいえない。旅には主導権が必要だ。

「ソロ温泉」は、自由である。思う存分に温泉を愉しむこと以外は、自由である。唯一「温泉に入る」という制約はあるが、その条件が抜けてしまったら、単なる旅行にすぎない。

今回は家族や仲間と出かける旅行にはない、「ソロ温泉」の魅力についてお伝えしよう。

まわりに合わせる必要がない

ソロ温泉は単独行動である。だから、思いのまま自由に動ける。

朝寝坊したら昼過ぎに出発してもいいし、無理して興味のない観光スポットに立ち寄らなくてもいい。移動手段は電車でも、車でも、飛行機でもかまわない。電車の中で眠ってもいいし、ひとり酒を飲んでもいい。同行者に合わせたり、気を遣ったりする必要がないのは大きなメリットである。

旅館に着いてからも自由だ。湯につかったあとに、ごろごろと惰眠を貪ってもいい。本を読んでもいい。酒を飲んだっていい。

宿の食事だって、時間に合わせて食べる必要もない。外の食事処やレストランで好きなものを食べてもいい。極端な話、食にこだわらいなら、コンビニの食材や総菜を持ち込んでもいいだろう。最初から素泊まりか1泊朝食付きプランを選べばすむ話である。

もちろん、全面的に宿に身を預けて、上げ膳据え膳を満喫するのも自由である。

チェックアウトも自由だ。ぎりぎりまで宿で温泉を満喫するのも自由だし、温泉街を散策したり、温泉地近くの自然と触れ合ったりするのも自由。何時に帰路に就くかも自分次第だ。

当日の「そうだ、温泉行こう」もOK

人は「自由」という言葉が好きだ。誰もが自由であることを望んでいる。だが、現実はどうだろう。

日常では決められた枠の中で生きなければいけない。会社勤めであれば、基本的に出社時間も退社時間も決まっている。その時刻に合わせて通勤しなければならない。休日も決められている。

そんな窮屈な日常を送っているからこそ、旅行くらいは縛られたくない。自由でいたい。誰かに合わせて旅に出かければ、さまざまな制約に縛られてしまう。

予定も行き先も他人に合わせる必要がないソロ温泉なら、自分でプランを立てて温泉に出かけられる。「今から温泉に行こう」と気分に任せて出発することだってできる。

ひとりだから今日明日の急な旅にも出かけられる。たとえば、仕事や人間関係でしんどいことがあった日の夜、「そうだ、明日温泉へ行こう」と思い立つのも自由だ。

仕事が早めに終わった午後に、電車に飛び乗ったっていい。大まかな行き先だけを決めて、移動中の車内で宿を探す。旅行サイトで検索すれば、当日宿泊OKの宿は難なく見つかる。

東京に住んでいれば、とりあえず新幹線や特急列車に乗り込んでしまえば、温泉地まで運んでもらえる。湯河原(神奈川県)や熱海(静岡県)、箱根(神奈川県)、鬼怒川(栃木県)など有名な温泉地も1~2時間ほどの移動で到着する。

誰かに見栄を張る必要もない

ソロ温泉は宿泊する温泉旅館も自由である。ラグジュアリーな高級宿で優雅な時間を過ごしてもいい。価格も設備もそこそこだけど温泉自慢の宿で入浴三昧を楽しむのもいい。ビジネスホテルなどの格安宿にステイして入浴は温泉街の共同浴場で、というのもありだ。

「〇〇さんといっしょだから」と宿選びで余計な見栄を張る必要もない。自分が満足できればどこに泊まってもいいのだ。

私の場合、基本的に温泉がよければ満足するたちなので、高級宿でも格安の湯治宿でもかまわない。それゆえに、温泉ががっかりだとダメージが大きい。だからこそ、温泉宿を選ぶ際は湯の質に最大の注意を払う。

また、ソロ温泉は誰かに報告する義務もない。ひとりで勝手に出かけて、帰ってくればいい。だから、お土産を気にかける必要もない。

もちろん誰かのためにお土産を選ぶよろこびも理解できるが、あくまでも自分がお土産を贈りたい相手に渡せばいい。職場の同僚などのために義理で買ってくるお土産は、果たして誰がよろこぶのだろうか。誰に買って、誰に買わないか、その線引きも面倒だ。たいしておいしくもないお菓子をもらったほうもリアクションに困る。そんな煩わしいお土産問題ともソロ温泉は無縁である。

ソロ温泉は「やめる」のも自由

「日常生活に疲弊している」「人間関係が煩わしく感じる」という人は、ぜひソロ温泉を試してみてほしい。

もちろん、「誰かが隣りにいないと耐えられない」という人には強制はしないが、ソロ温泉はやめるのも「自由」だ。

「やっぱりひとり旅は苦手」「温泉はそんなに好きになれない」ならば、ソロ温泉に向いていないか、または、まだそういう時期ではなかった、ということだ。ひとり旅には旬がある。無性に行きたくなる時期が、これから訪れるかもしれない。

「ソロ温泉という選択肢がある」ということだけでも頭の片隅に留めてもらえれば十分である。


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高橋一喜|温泉ライター
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