「温泉ワーケーション」の入浴回数に正解はあるか?
連泊が基本の「温泉ワーケーション」では、滞在中に何度も温泉に入浴することになる。
どのくらいのペース(頻度)で温泉に入るのが理想なのだろうか? 今回はワーケーションを充実させるための入浴法について考えてみよう。
理想的な入浴回数は?
あなたは、温泉地に宿泊したとき、何度湯船につかるだろうか?
温泉マニアでもある私のケースは参考にならないが、1泊2日のうちに5回以上は温泉に入る。
宿に着いてすぐに入り、食事の前にもう1回。そして食後に入り、寝る前にもう1回。翌朝は寝起きに1回入り、可能であればチェックアウト前にもう1回。チェックインが早くできたり、チェックアウトが遅くできたりする宿であれば、さらに入浴回数は増える。
こんなことを話すと、多くの人は「えっ! そんなに入るの!」と驚くか、あきれかえる。本来、1日に何度も温泉に入るのは、温泉療養の観点からいえば、体への負担が大きいので好ましくない。過度に温泉に入りすぎると、のぼせたり、湯あたりの症状が出ることもある。
教科書的なことを言えば、通常、温泉療養をする場合、最初の数日は入浴回数は1回くらいが望ましく、その後は1日2~3回が適当だとされている。
しかし、現実的には1泊2日で訪ねる場合は、1回だけではもったいないし、複数の浴室がある場合は、はしご湯もしたくなる。それよりなにより、温泉が自分好みの湯であれば、何度も入りたくなってしまうのは仕方ない。
体と相談しながら、初日から複数回入浴するのが現実だろう。
1日4回の入浴とそのタイミング
では、温泉ワーケーションの場合はどうか。連泊で長期滞在する「温泉ワーケーション」の場合は、1泊2日の旅のように「せっかくだからたくさん入らないと」と焦る必要はない。温泉は逃げずに、湧き続けている。
経験則から言えば、1日3~4回がベスト。
私の場合、温泉ワーケーションで滞在するときは1日4回だ。
①寝起き、②昼間、③夕食前、④就寝前
まずは①寝起きに入浴。朝に入浴することで、脳と体が目覚める。このとき、少し熱めの湯につかると、交感神経が優位になり、仕事に望む意欲も高まる。
次に②昼間。13時前後に入ることが多い。昼間の入浴はリフレッシュが目的。仕事が一段落したり、気分転換が必要なタイミングで入浴する。脳と体がリフレッシュすることで、午後に仕事を続行する場合も、あらたな気持ちで臨むことができる。
③夕食前は、仕事終わりの入浴である。「おつかれさま」の意味合いを兼ねて入浴する。いわば「ご褒美温泉」だ。ただし、夕食前に入浴する場合は、食事の30分前までには済ませたい。体温が上がっていると、胃に血液が回りにくく、消化器官に影響が出る。
一日の終わりは④就寝前の入浴で締める。人の体は体温が下がっていくときに眠くなるようにできている。だから、眠る1~2時間前に入浴して一旦体を温めると、ちょうど寝る時間に体温が下がり、すんなり眠ることができる。可能ならぬるめの湯に入ると、副交感神経が優位になり、リラックスした状態で布団にもぐり込める。
「1日4回はちょっと多いなあ」と感じるなら、自分のペースに合わせて3回に調整してもいいだろう。②昼間と③夕食前は、どちらか1回でもよいかもしれない。いずれにしても入りすぎは禁物である。
なお、温泉ワーケーションの初日は、チェックインしてから就寝までの時間が限られるので、チェックイン直後と就寝前の2回くらいが現実的だろう。初日から何度も入浴するのは、体への負担を考えてもおすすめできない。
温泉にも相性がある
「温泉ワーケーション」を充実させるには、入浴の回数だけでなく、源泉そのものとの相性も考えたい。
ひと口に「温泉」といっても、ひとつとして同じ成分の源泉はない。自然由来の温泉には、地中のミネラル成分がふんだんに含まれている。その成分量や内訳は源泉によって異なるのだ。
もちろん、源泉ごとに泉温も異なる。40℃前後の適温で湧き出している源泉もあれば、100℃の源泉や20℃しかない源泉もある。
人に個性があるように、温泉にも個性がある。滞在中に何度もつかる「温泉ワーケーション」では、その温泉との相性も大切である。
相性を考えるうえで、最も注意を払いたいのは、源泉の濃さである。温泉にどれくらいの量のミネラル成分が溶け込んでいるかで、その入浴感が変わってくる。
温泉成分の濃さで源泉の優劣は決められないが、何度も入浴する「温泉ワーケーション」では、温泉成分は濃すぎないほうが付き合いやすい。成分が濃い湯に長時間つかっているとパンチが効きすぎて、体に負担となるからだ。
そういう意味では、「単純温泉」など温泉成分が比較的薄い源泉のほうが向いている。これについては過去の記事で詳しく書いているので参考にしてほしい。
「温泉ワーケーション」中の入浴回数は、源泉の濃さによっても調整する必要がある。濃い温泉なら入浴回数を減らすといった対応も大切だ。