あなたと
2021年 優しさ と 聡さ
「リアコ」だと感じるのは、その人の優しさが自分にぴったり合うからだと思う。
「この人が私のそばにいたらいいな」ということではないか。
まだ何も知らないバーノンから、きっと私の欲しかった優しさの香りがした。
その香りに導かれて、〈Lizzie Velasquez〉に出合い、バーノンという人の聡さを知った。
世界とひどく摩擦して、少年の肌に起こる痛々しい熱。それを淡々と、的確に言語化する聡明さ。
まだデビューもしていない少年時代にこんな歌詞を書いた人に、私は「敵わない」と思った。
「この人に敵わない」と思うことは、私にとっては希望であり、赦しだった。
誰にも話が通じないと思っていた私は、バーノンに「この人なら私よりもずっと物事をよく考えていて、たくさんのことを経験していて、私を教え導いてくれるかもしれない」という希望を抱いた。
それから、修行が始まった。
2022年 強さ と 弱さ
しばらく、バーノンのことを「ばーのんちゃん」と呼んでいた。
それはそれはキラキラした時間だった。
初めて「ファンサが欲しい」と思った人。
初めて全身全霊で憧れた人。
自分の価値観は決して譲らないのに、他人を決して傷つけず、場の空気を決して澱ませないバーノンのコミュニケーションが、心底理想だった。
私はそれまで、社会に馴染むには自分を犠牲にしなければならないと思っていたので、目から鱗だった。
自分も他人も100%大事にする生き方。
これができたら、どんなに生きやすいだろう。
私はバーノンの口数を、表情を、考え方を、佇まいを真似た。
私のコミュニケーション、そして人生そのものは、びっくりするほど楽になった。
この世界を生きる上で、絶対的に私よりも強い人。
それがバーノンだった。
全てがひっくり返った。
私は初めて、バーノンの弱さに直面した。
2023年 寂しさ と
せっかく普通のアイドルオタクみたいに、100%キラキラした気持ちで「好き」と言える相手に出会えたと思ったのに。
2023年の上半期は、概ね、ずっと地獄だった。
信用できない。尊敬できない。何を考えているのかわからない。私の知らない友達たちと楽しそうにしているのが恨めしい。
考える前に悪態をついては、自分の手元にいてほしくて縋ったり。
それでも「信じる」と決めた人だから、どんなに納得できない言動でも、真正面から見つめて、納得できる思考の道筋を考えようとした。
聡い人なのだから何も考えていないはずがない、と。
ずっと、あの人が何を考えているのかわからなくて怖かった。
嘘も隠し事も嫌いだと思っていた人に、嘘も隠し事もあるかもしれない。その可能性だけで、全てが真っ黒になった。
憧れていたはずの口数の少なさを、心底恨んだ。
あなたは音楽や映画に乗っかる時だけ饒舌に喋る。
〈Black Eye〉を「友達の話」だなんて言われて、私は何よりも大好きだったフィクションや芸術そのものを信じられなくなっていた。
「どうせ嘘」
でも、どこかでこれが本当なら。
人には、強くなろうとするだけでは埋められない穴がある。
私はあなたと一緒に、私の弱さ、私の寂しさと向き合うことを始める。
今の私の人生を動かすのは、バーノン、いつもあなただ。
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